新たな仕事
パーピー君の体から、幾筋もの光。
「あ、あ、ア……」
そして、体がバラバラに砕けた。
「……」
「やったっスね」
肩の剣を引き抜き、チナツが駆け寄る。
「まだだ」
ヒイロは、瓦礫と化したパーピー君の中に手を突っ込み、何かを取り出した。
黄色い基盤。
パーピー君の本体である。
「こいつを割れば、完全に終わりだ」
ヒイロが、両手で基盤を掴む。
「……」
「ほら、ひと思いに!」
「……」
「何、してんスか? 早く!」
「でっ、でぎねぇ」
ヒイロは顔をクシャクシャにして、赤ん坊のように泣き始めた。
さっきの子供時代の出来事を思い出してしまったせいで、情が沸いてしまったのだ。
目からは涙、鼻からは鼻水、それ以外にも何か色々出てる。
「でぎねぇっ、でぎねぇよおお~」
「馬鹿やろっ、てめぇ、ケジメ付けやがれ!」
足蹴にされるも、基盤を抱え込むように守るヒイロ。
「はあっ、はあっ…… わたしゃ、どうなってもしらないスからね。 面倒はアンタがみるっスよ」
「うんっ」
何故か捨て猫を拾ってきた少年みたくなってしまったが、これでひと段落が付いた。
それから、5年後。
会社に退職届を出したヒイロは現在、フリーとなり、何でも屋に近い仕事をしていた。
あの事件から数ヶ月後、妻アンジーのお腹の子供も産まれ、ヒイロはようやく人並みの幸せを掴むことが出来た、と思えるようになる。
そして、フリーになった分、家にいる時間は増え、子供と接する時間も取れるようになった。
「放置してっとグレちまうからな」
自室のパソコンモニターを眺めながら、独りごちるヒイロ。
すると、1件、メールから仕事の依頼が入っていることに気が付いた。
内容はこうだ。
私、漫画家をしている者です。
とあるギャグ漫画を執筆しているのですが、ネタが尽きてしまったので、一緒に探して頂けないでしょうか?
報酬は3千円を考えております。
若干安いな、とヒイロは思ったが、久々の依頼である。
軽い気持ちでヒイロはオーケーと返事をした。




