93、救出
「不思議なパン」45、穴の処理ー実行のシュンからの視点です。
ハンさんが用があるならここに来るかな?
そんな予感がして朝から『ジュンとポチの隠れ家』へ。
『いや、ポチ君元気かい?』
『シュンさん、お久しぶり』
『はい、お土産、今日は山梨のブランドニジマスだよ』
『わーすごいな』
『もらいもの、おすそ分けだよ』
さて、ハンさんは今日来るかな?
こちらから連絡するのもな。
ヤマシロ神様の話によるとどうも異世界ドルジェのごみが地球に捨てられたらしい。
ごみ投棄なんてとんでもない話だね。
『シュンさん、隆司さんが大変だよ』
『どういうこと?』
『隆司さんが危険だよ、感じるんだ』
ポチの意識を同調する。
ポチは隆司君の所在がわかるらしい。
これは次元の割れ目。
隆司君が塞ごうとしているのか。
ああ、障壁か!
無理だそれでは塞げない。
隆司君が次元の狭間に落ちてしまう。
急いで彼のいるところに空間を繋いだ。
こちらの姿を見えなくして手を差し伸べる。
そして、隆司君を掴む。
諦めるな。
引き寄せてやる。
彼もこちらの見えない手を手繰ってきた。
彼はこちらに戻ってきた。
亀裂と割れ目を空間支配で修復する。
これは普通ではできないよ。
隆司君がありがとうと言ってきた。
これで大丈夫だろう。
原因はあの魔道具か。
こちらで回収するわけにはいかないな。
解析だけしてデータを持ち帰るか。
あ、ハンさんたちだな。
異常の気が付いてこちらに向かっているのか。
リサさんたちもいるな。
私は撤退するかな。
『ジュンとポチの隠れ家』に空間を接続して戻るか。
隆司君に私の加護が付いたのか?
彼は沢山加護を持っているな。
能力も面白い。
彼と一緒に仕事をするのもそう遠い事ではなさそうだな。
『ジュンとポチの隠れ家』に戻ってからアカリたちには状況を説明をした。
ポチにも隆司君を無事助けてことを報告したよ。
電話で連絡したハンさんとは夕方、『ジュンとポチの隠れ家』で会った。
ハンさんの知ってる情報をもらった。
いいのかこちらに教えて?
「シュンさんには隆司さんを助けてもらいましたから」
「知っていたのですか?」
「はい、隆司さんは気が付いていませんでしたが。お手伝いしていただいたのに報酬を支払えないのは心苦しいのですが。これらの情報を報酬ということで」
「食えないお人だ」
「お互いに」
異世界からのごみ投棄か?
ヤマシロは大丈夫だろうな。
心配はあるな。
厄介な話だ。
『ポチ君お手柄だね』
『シュンさんがいたからよかったんだよ』
『しかし、それでもポチ君のお手柄だよ』
翌日隆司君がリサさんと『ジュンとポチの隠れ家』に来た。
隆司君はリサさんのところで働いているんだよね。
ポチ君、だめだよ、隆司君に念話を送っては!
折角、隆司君に気づかれないように隠蔽を行っているのだから。
隆司君はポチにチーズをあげて、肉球を楽しんでいる。
彼は大丈夫だな。
すごい恐怖だったと思うのだが、彼は強いね。
一日で克服か。
えらいね。
ユルリ先生とも話をしているね。
そう言えばユルリ先生から精霊について聞かれたけどぼかしておいた。
不思議な顔をされたよ。
私が精霊と親しいと思っているみたいだ。
何か知っているのかな?
シュンさん久しぶりって。
ああ、隆司君がこの店に来るのは久しぶりか。
今年の春は彼と自然観察に行っていないな。
この季節は高尾山のスミレを見にみんなで出かけるのに。
実は昨日会っているなんて言えないけどね。
お読みいただきありがとうございます。




