61、識字率向上
様々な考えはあると思いますが。
「やはり識字率を向上させたいね」
サオリの発言に皆が頷く。
ヤマシロ聖国は識字率が高い。
それでも70%ぐらいだ。
王都も同じだ。
大人の中には職業訓練の中で文字を学ぶ者もいる。
10歳での識字率が60%ぐらい。
就学率も6歳で55%程度だという。
検討の結果すぐにできることを2つ行うことにした。
明後日4月1日からは新学期も始まる。
今回だけ4月15日開講の4月生も初等教育において開始する。
そして、初等教育1年生から3年生は義務教育にする。
対象は現在8歳まで。
現在8歳までの子供は3年以内に初等教育を受け始める。
初等教育の義務教育化にともなって無償での給食と希望生徒への無償での寮の提供を行う。
寮では朝食と夕食も用意する。
また簡単な仕事も必要なら斡旋する。
1年から3年までは授業に出れば修了できるようにする。
但し成績が悪い場合、期末休暇中の補習を義務化する。
実は初等教育で成績が悪く修了できなかった者は2%にも満たない。
それも全教科が悪いのでなく1~3教科が悪い事による不合格だ。
補習等を充実すれば問題がないはずだ。
短期間で生徒が増えて大丈夫か?
これも問題なかった。
子供全員が就学できる設備と人員は国が用意していた。
かなりの遊休設備と人員が存在していた。
問題は食費だということだ。
次に大人を対象にした識字率向上だ。
スラムに関しては炊き出しの提供を受ける者は職業訓練を受けることを条件にする。
その中で文字の教育も行う。
その他の民衆に関しても飴を与えて文字の学習をさせる。
これは雇用者に対しても同様な処置が必要だ。
雇用者は使用人の識字率100%にすることを義務化する方がいいということになった。
一方で目標を達成したら褒美を与えるか。
生活に便利なちょっとした魔道具を大量生産するかな。
文字が判らない人間を雇わなくなるのではという懸念も出たが、そういう人材を雇用したことを申告すればよいようにする。
学習を開始することを義務付ける方向性がいいか。
むしろ、識字率向上に寄与した団体や事業所を褒美付きで表彰するか。
それ以外にも学習するための場所を増やしていくことも必要になるな。
ちょっと厳しいかもしれないが。
識字障害の問題に関しても議論された。
読字障害・読み書き障害等色々あるが地球でも結構理解されていないようだ。
この世界にどのくらいいるのかわからない。
そちらは研究するチームを設けることのする。
少しでも改善できればいいが。
まあ、すぐ取り組めるところから頑張ろう。
予算が少し心配だから金儲けも考えないと。
教育改革担当の人材確保も必要だね。
お読みいただきありがとうございます。




