56、スラム(5)
スラム問題解決の第一歩
賢者の塔に帰ってから少し打ち合わせを行い、神殿に向かった。
神官補佐君の話を聞くためにね。
すでに、医療拘置所から治療室に移っていた。
今日はここで休んでもらう予定だそうだ。
神官補佐君はロン君というらしい。
「で、いつマルク神官がおかしいと思たんだ」
「書類を整理していて気が付きました」
彼は事務仕事が得意なようだね。
書類の吟味も。
使える人材大歓迎。
彼に断わって鑑定をしてみる。
ロン
ヤマシロ聖国神殿神官補佐
魔力3
体力2
俊敏4
耐性3
能力
防御魔法下級
生活魔法上級
事務
調査
分析
官僚
内政
指揮
これはいいね。
文官向きだ。
分析で書類の偽造を見破ったか。
すでにマルク神官が書類を偽造していたことが判っている。
沢山出て来たよ。
偽造を見破りるのは鑑定では簡単だったけど。
そんな鑑定は私だけできたんだけどね。
おかしな隠蔽がかかっていたからね。
呪いのような。
解呪したら鑑定を持っている者は皆偽造を見破れるようになったよ。
ロン君はマルク神官を調べてスラムの嵐と繋がっており、炊き出しの資金が流れていたことも掴んだ。
さらにスラムを出て頑張っていた者をスラムに戻るように仕向けていたのもマルク神官だった。
スラムの問題が解決しない理由がわかってきた。
後支配の針の影響だね。
あの針を除去したスラムの住民は目に見えてい嬉々としてきた。
これでいい方向に行くのだは。
ロン君はわかったことをまとめていたようだ。
途中までまとめた報告書を出してきたよ。
ああ、そこなら見つからないね。
私は知っていたけど。
しかし、マルク神官に気が付かれてスラムの嵐に襲われた。
マルク神官とスラムの嵐の頭の会話を聞いていたらしい。
一人で頑張りすぎだよ。
誰を信じたらいいかわからなかったのか。
仲間はいるよ、ここに。
嫌疑は晴れたし、むしろ殊勲賞ものだね。
よかった。
正義感が強く、優秀な人材を確保しなくては。
教皇様、聖女様とともに神殿の教皇執務室へ。
「彼はいいですね」
「はい。同感です」
「正義感が強く、優秀な人物だと思います」
「彼を取り立てて、宰相秘書官にしたいと思いますがいかがでしょうか」
私の提案に二人とも驚かいね。
二人は同意してくれたよ。
数日後からということで決定した。
彼にはスラム問題を担当してもらいたいな。
あ、何かあったらすぐに報告連絡相談、ほうれんそうだよ。
忘れないでね。
まだまだスラムはこれからだけど確かな一歩だね。
今回の事件、変革への一つ目の成果かな。
さあ、前進しよう。
お読みいただきありがとうございます。




