3、始まり(3)
神様との話し合いです。
「異世界の停滞した文明を変革・発展させてほしい」
「はあ?」
「順を追って説明しよう」
この神様は人間だったころは陰陽師だったという。
1000年前、平安時代の人物だ。
有名ではないが実務的な事では、その能力が認められていた。
何よりも空間と時を操ることができた。
他には同じ能力をもつ者はいないので、この能力は周囲には秘匿されていた。
死の直前に創造神に召喚されて亜神・下級神を経て中級神になり、地球時間で約340年前に新たな世界を創った。
亜神・下級神の頃には地球を管理する上級神や他の世界の神の下で働き、そこで得た経験を基に3億年で近世まで人類の文明も発展させた。
地球では46億年かかったというのに。
結果としてそこで頭打ちとなった。
近世が長く続いている。
神として介入するのに制限があるので賢者として文明の発展に寄与してほしいと。。
「地球340年で3億年進めたということは、地球の約90万倍の速さで時代を進めたわけですか」
「初めは約100万倍。人類が誕生してからは約2000倍だ。地球に文明が近づいたところで同じ速さにすることになっていたのだが、近世の状態が1万年続いている。この間は約500倍で進めていたが、今は100倍じゃ」
「人類の歴史は?」
「現生人類は約20万年。地球と同じように歴史を進めたから中世までは同じようにいったのから良いと思ったのだが。。。」
「地球との大きな違いは?」
「君たちが言うところの魔法がある。地球にも実際にはあるけど制限がかかっていてほとんど使えないが、この世界では適性があればかなり使える」
「魔法に頼って文明が発展しないのかな?」
「それもあるかもしれないが、それから石油と天然ガスがない」
「え・・・」
「地球では環境破壊の一翼を担ったと考えて石油のない世界にした。石炭はわずかにあるけどな。産業革命に失敗した」
「・・・・・・・」
「石炭の煤による公害などもまずいからな。循環型社会というものにしようと考えたのじゃ」
「それだけですか?」
「いや・・・・」
「まさか石油や石炭の作られる時代を飛ばしたとか?」
「地球温暖化の二の舞はまずいから・・」
「本当ですか?正直に話してくれないと依頼を受けれませんよ」
「初めての世界構築に浮かれて人類誕生までを端折りすぎた。おかげで石油や天然ガスができなんだ。すまん」
ちょっと残念神様でした。。