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空間と時を操るもの  作者: TKSZ
27/216

27、閑話 アカリ

一話目の友人アカリの視点です。

3月24日土曜日


アカリは友人のシュンとともに坂道を歩いていた。


時刻は間もなく午前10時になる。


アカリもシュンも花が好きだ。


彼らにとって、この時期はカタクリの花の撮影は恒例行事だ。


カタクリ。


樹々が葉を出す前の春の一時に芽を出し、花茎を伸ばし、花を咲かせ、実をつける。


樹々が葉を茂らす頃には地上からは姿を消す。


春植物だ。


球根からは片栗粉が作られていた。


今、市販されているものはジャガイモの澱粉から精製だそうだが。



球根が育たないと花をつけない。


種が落ちてから花が咲くまで何年もかかる。


カタクリは緩やかな北斜面か東斜面がいいという。



5月の白馬は付近はスキー場に多いし、富士山近くの養鱒場の中にもあったよね。


東斜面とは限らないよね。



カタクリの花がきれいに撮影できるのは晴れた日の午前10時ごろだとアカリは思っている。


花弁がきれいの反りかえりいい色になった花を見つけることができる。


ここ多摩地区では3月の終わりごろがいい。


桜が開花するころだ。


今日はいいはず、だから片倉に行こうといったのに。。。



今日になってシュンは急にある神社に行きたいといった。


昨日の夢がとか。。。。



シュンは坂道をどんどん登っていく。


後ろを振り返ると橋本の高層マンションが春霞の中に?


黄砂かな?


花粉症は嫌だよね。



「どこに行くの。」


アカリがシュンに声をかける。


「もう少し先だ。」


春の日差しの中、シュンが答える。


鳥居を潜り神社の本殿の前に着いたシュンは呟く。


「確かにここのはず」


「本当に何があるのさ。それより早く片倉に行ってカタクリの花でも撮影しようよ。今日はそういう予定だよ」


アカリはたまらず文句を言う。


シュンはアカリの方を見たが急に神社の横を通る道に目を止めた。


何かを見つけたように。


そして何かを追うようにそちらに向かった。


「今度はどこに行くの」


アカリの言葉聞いていないようにシュンは坂道を上り、神社の北側にある公園の遊歩道に向かう。


見えない何かを追うように。


そうアカリは感じた。



急いで進んでいくシュンをアカリも置いて行かれないように追う。


樹々にかこまれた遊歩道の片隅でシュンは声を上げた。


「え・・・」


そして、そこから一歩踏み出したシュンは空間に吸い込まれるように消えた。



そう目も前でシュンが消えた。


神隠し!


昔からシュンは不思議なことに巻き込まれたり危ない目に遭う。


しかし、不思議なことに奇跡的の助かっている。


だから目を離すことができない。


誰か仲間が近くいるようにしている。


仕事もみんなでやっている。


それなのに・・・・


今回は目の前で消えた。


もう会えない?


どうしたらいい?


仲間に連絡してどうにかなる?


思考が停止していく。


ふいに電話が鳴った。


シュンからだ。


2分ぐらいしか経っていない。


「どこにいるのよ!」


怒鳴ってしまった。


シュンが自分からどこかに行こうとしたのでなく連れていかれたとなんとなく理解していても。


涙が出る。


花粉症のせいではない。


怖かった。


シュンが消えるのではないかと思って。


「ごめん、アカリ。これからの仕事の話をしている」


「本当に驚いて、心配したんだから」


涙声になってしまった。


あいつは女の涙なんて汗と同じといって気にしないだろうけど。


本当に心配したのだから。


でもどこで仕事の話をしているのよ。


シュンはただただ謝罪してきた。



そして2時間後にいつもの喫茶店でしっかりと説明することを約束してきた。


他の仲間にも集まってもらいたいとのこと。


直前まで電話が通じなくなるそうだ。


何か不思議なものを感じる。


でも、もう大丈夫だろう。


シュンを中心に何かが動きそうな感じがする。


シュンに頼まれたことをやろう。


いつもの喫茶店に電話する。


仲間に電話する。


緊急招集だ。


詳細は不明。


何かが起きるよ。


私も喫茶店に向かう。


もうカタクリの花どころではなくなった。


さあ、仲間たちが動きだします。

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