22、閑話 リリィ=セントヤマシロ
教皇視点です。
私は教皇、リリィ=セントヤマシロ。
14歳。
聖女のカオルお姉さまとは6つ違い。
セントヤマシロは教皇に与えられる姓。
3歳の時に魔力の量、そして治癒魔法と生活魔法の浄化の適性が評価され、神殿に入らないかというお誘いを受けました。
普通の商店を営む両親とも相談して神殿に入りました。
両親とあまり会えなくなりますが、それ以上にいいことがありました。
神殿では様々なことを学べました。
お部屋も、寝具も素敵です。
美味しい食事もあります。
優しいお爺さんもいました。
お爺さんが温泉というお風呂に連れて行ってあげようと言ってくださいました。
見たことのない扉を開けると来たことのない場所に出ました。
偉い人だけが来れるところでしょうか?
教皇になった後も来たことがありませんが。
お爺さんと青いカーテンのある温泉の入り口に着いた時、神官長のコンさんが怖い顔でやってきました。
お爺さんはコンさんに叱られてどこかに行ってしまいました。
コンさんが赤いカーテンのついた温泉に連れて行ってくれました。
気持ちがよかったです。
フルーツ牛乳がおいしかったな。
また行ってみたいな。
あ、コンさんに連れて行ってもらえばいいのか!
そんなことのあった後、私の周囲には男の人がいなくなりました。
女だけの方が気楽でいいなと感じています。
コンさんにも男は怖いから気をつけなさいと言われています。
9歳の時カオルお姉さまがコンさんに拾われてきました。
森で記憶をなくして彷徨っていらしたようです。
カオルお姉さまは優秀な方です。
美しくてスタイルもよく憧れます。
私がカオルお姉さまを聖女と鑑定したことでカオルお姉さまが神託を受けることができることも判明しました。
カオルお姉さまは15歳で聖女様になられました。
カオルお姉さまの歳も私が鑑定しました。
私はこの功績で12歳で教皇となりました。
前の教皇が引退して私を推薦してくださいました。
初老の男性の方と聞いていますけど、お会いしたことがありません。
3歳から12歳まで男性の方とはお会いしたことがないのですから。
教皇になってからお会いする男性も私に近づくことができません。
周囲が近づけません。
でも寂しくありませんよ。
先輩の方々からお借りした物語では女性だけで愛を育む素敵なお話がありました。
そういう世界にも憧れます。
もちろん素敵な王子様との恋もいいですよ。
男性は男性だけでも愛を育むようですし。
あ、借りた御本はコンさんに見つけられてしまいました。
没収されました。
このような本は読んではいけないといわれました。
何ででしょう。
先輩たちは叱られているのに嬉しそうな顔をしていましたね。
今日、賢者様が降臨します。
賢者の塔の7階の賢者の間で聖女のカオルお姉さまとお出迎えです。
がんばります。
光に包まれて賢者様が現れました。
まぶしい。
あ、ちょっと素敵かも。
男性とのお付き合いもいいかも。
「ようこそ、賢者様」
賢者様に声をかけさせていただきました。
「初めまして、神より遣わされました賢者シュンです」
「早速、謁見の間にご案内します」
魔法のエレベータで2階に移動です。
謁見室に到着しました。
賢者様は一段高くなっている壇上の賢者の椅子に着席されました。
聖女のカオル姉さまは賢者様の横に立っていられます。
私は多くの神殿関係者や他国の使者らが左右に並ぶ中、中央の通路を進みます。
賢者様の前で跪いて首を垂れます。
「賢者様の降臨、心よりのお慶びを申し上げます。なにとぞこの世界のこと、あらゆる人類のことよろしくお願い申し上げます」
「承りました。力を尽くさせていただきます」
賢者様も頭を下げてくださいました。
「ここにヤマシロ神様によりの治癒の魔道具を下賜いたします」
治癒の魔道具が賢者様の手の上に出現しました。
光っています。
わあ、素敵。
治癒の魔道具が手渡れるとき、賢者様の指と私の指が触れました。
何かうれしくて頬が赤くなってきました。
ドキドキします。
あ、カオルお姉さま睨みつけないでください。
賢者様はカオルお姉さまと神殿のテラスへと移動されました。
何でしょうこの心のざわめきは。
カオルお姉さまが賢者様に取られてしまう不安?
それとも賢者様がカオルお姉さまに取られてしまう不安?
私は14歳、まだこれからですよ。
賢者様のお言葉ご立派でした。
私も賢者様に協力して頑張りましょう。
豊かで平和な世界を目指して。
私の愛も育めるでしょうか?
さあ、次はパーティーです。
がんばります。
それまで少し休憩できますよね。
前の教皇って?
ヤマシロ神様です。
現教皇がこうなったのは?
ヤマシロ神様のせいです。
あのような腐った先輩でこの神殿大丈夫?
不安です。
ヤマシロ神様への判決は?
有罪です!
契約破棄は?
駄目です、困ります。




