2、始まり(2)
「ここは」
青年は呟いた。
彼は執務室のようなところに立っていた。
「ようこそシュン君」
目の前には初老の男と先ほどの少女が立っている。
「とにかく座ろうか」
来客用の椅子に座ったシュンは初老の男に問いかける。
「あなたは私のご先祖様なのですか?」
シュンは昨晩夢を見た。
リアルな夢を。
先祖と名乗る初老の男性に手伝ってほしいことがあるという夢を。
そして、あの神社まで来るように頼まれたのだ。
夢の内容を鮮明に覚えている。
今までになかったことだ。
夢は起きれば忘れてしまう。
それが普通なのに。。。
そして、初老の男性に親しみを感じた。
家族のような。
夢の中の男性が目の前にいる。
夢の中でこの初老の男性の後ろに控えていた巫女装束の少女もいる。
少女は神社まで迎えに来てくれた。
夢のことは友人には話してはいない。
会えるという自信がなかった。
「その通り。君の父方の先祖でもあり、母方の先祖でもあるのだよ。そして一応、神だよ。やっと中級神だけど」
「では詳しい話を。友人が驚いているでしょうから早く戻りたいと思います」
「いや、シュン君は冷静だね」
「不思議な経験は以前にもありましたから。神様という方に山で助けてもらった事。一人で行ったときはあったはずの山道を友人たちと行くと再び探すことができなかったり」
「知っているよ。だから来てもらった。君は空間を操れる。私と同じように」
「魔法や魔術みたいですね」
「まあその様なものだよ。地球でも久しぶりの逸材だよ。君の国では350年ぶりかな」
「でもあまり実感がないのですが」
「飛んできたボールや落ちて岩が逸れた事があるだろ。あれは無意識に君が空間を操ったからだよ。」
「確かに」
「あと時間も操れるよ」
「過去に行けるということですか」
「それは無理だ。時間の流れを操れると言ったらいいかな。自分と周りの時間を流れを変化をつけることができる。難しい内容だから詳しいことは後で説明するよ。ここまではいいかな」
「はい。では私への依頼というのは調査か何かですか?」