16、閑話 ヤマシロ神と地球神
裏側の話。
短いです。
時間は遡る。
シュンがヤマシロ神の執務室からコンに連れられ拠点へと移動していった。
ヤマシロ神の執務室は拠点のあるヤマシロや地球とは異なる空間に存在する。
「ふう~」
「疲れたかな」
何もない空間から一人の男性が出現した。
「神を疲れさすシュン君もすごいね」
「やめてくださいよ、地球神様」
「私もびっくりしたよ。まさか他の空間から覗いていた上級神の私の存在に気が付くなんて」
「ヤマシロで覗きはしないくださいね」
「君と一緒にするな」
「私は仕事です」
「精霊女王や大精霊たちは文句を言っていたぞ」
ヤマシロ神と地球神は親しく会話をしている。
ヤマシロ神は地球神の部下だったこともありこのように冗談も言いつつ話せるのだ。
他にも理由があるのだが。
「本当に良かったのですか」
ヤマシロ神は複雑な顔で地球神に尋ねた。
「心配かな、子孫のことが」
「確かに彼の能力は素晴らしいけどまだ人生経験が少なすぎると思います」
「わかっている。しかし、前の候補者の時のことを知っているよね。彼の前世であり曽祖父のことを」
「わかっています。覚醒する前に亡くなってしまいました。我々が招く前に」
「そうあまりに不自然に。子孫が残されたのは幸運としか言えない。そして、シュン君も何度か危険な目にあっているようだ」
「はい、無意識に自分の身を守っているようですが」
「不自然だよね。おかげで半分能力の覚醒が起きたけど。そしてこちらに来たことで覚醒が完全に起きたよ」
「しかし、やはり荷が重いのでは?」
「これの能力なのか前世やその前の前世の経験が無意識に役立っているようだよ。そして今回は偶然、彼の周囲に素晴らしい能力を秘めた者が仲間として存在する。さらに、彼を助ける能力を持った者たちが彼に惹かれて集まってこようとしている。運命のごとく。今回はまたとない機会だと思うよ。地球にもうまく経験が還元できると思うよ。彼にもいい修行となるだろう」
「亜神になる前から修行ですか」
「君も彼に簡単に追い抜かれないようにな」
「お言葉をそのままお返しさせていただきます」
2柱の神様はお互いを見て笑った。
おっさん同士の見つめ合いは周りから見たらあまり見れたものではないのだが。
シュンの前世はまたの機会に。




