1、始まり(1)
2作目です。
部分ごと短くして、できるだけ読みやすくしたいと思います。
「どこに行くの。」
「もう少し先だ。」
春の日差しの中、後ろを歩く友人に声をかけられた青年が答える。
住宅街から外れ、坂道を上り鳥居を潜る。
「確かにここのはず」
神社の本殿の前に着いた青年がつぶやいた。
地元に根差した小さなの神社だ。
「本当に何があるのさ。それより早く片倉に行ってカタクリの花でも撮影しようよ。今日はそういう予定だよ」
カタクリの花は晴れた日の午前中が見ごろだ。
また写真コンクールに応募するつもりかな?
青年は後ろに立つ友人の方を見た。
橋本の高層マンションが見えた。。。
その時、神社の横を通る道に若い巫女装束の少女が立っていることに青年だけが気が付いた。
少女は静かに頭を下げるとこちらへというように招く。
「今度はどこに行くの」
少女の姿に気がついていない友人に声を掛けられた青年は坂道を上り、神社の北側にある公園の遊歩道を歩いて行く。
遊歩道の広場からは富士山や高尾山も見えるのだが、少女の歩みが意外と早く、振り返る余裕もない。
樹々にかこまれた遊歩道の片隅に小さな祠がある。。。
以前に来たときはなかったはずだ。
「え・・・」
少女は祠に吸い込まれるように消えた。
追いかけるように祠の前と一歩踏み出した青年はまばゆい光に包まれるのを感じた。
何かを追いかけるように遊歩道を歩いていた青年が消えるのを見て驚く友人を残して。。。