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完璧な幼馴染と凡人な僕  作者: Kouga
一学期
6/20

六限目

「わかった、お前を信じるよ」


 未来予知が存在するとして、こいつが金曜の夜に語ったことがすべて真実だとして、僕は今後どうすればいい?そんなに正確なのであれば、あいつが僕を殺すって未来のことをもう少し詳しく教えてくれてもいいと思うんだけど。まだ何か隠してるな。


「なぁ、その力が本物なら僕が殺されるときの情報もお前にならもうわかってるのか?」


「はい、ですが教えることはできません、もし仮に教えれば、回避できるかもしれませんが、私にとっては難易度が大幅に上がります。」


「どういうことだ?」


「秘密です」


 これ以上訊いても無駄だと思ったので、話を変えることにした。だいたいなぜ僕が殺されなければならないのか皆目見当がつかない。何か悪いことしたか?


「じゃー、質問を変える、お前はいつから僕のことを見ていたんだ?」


「へ?だから言ったじゃないですか、10年前だって、忘れちゃったんですか?」


「それはお前の力の話だろ、僕が言いたいのは物理的な話だ、金曜日の放課後、僕と未来を後ろからつけてただろ?」


「えっ?何のことですか?」


「とぼけるなよ」


「いえ、とぼけていません、何のことですか?私が先輩を10年ぶりに見たのは金曜日の夜のあの時です」


「え?ほんとに?」


「本当です!」


 てことは、あれはただの気のせいだったのか?僕の被害妄想?でもこいつじゃないってことは、他に誰が?


「先輩?先輩聞こえてます?何もぬけの殻になってるんですか?」


「あぁ、悪い、少し考え事をな」


「まぁ、良いですけど、とりあえずこれで先輩は明日雛先輩に会わないでいてくれるわけですね!」


「いや、普通に嫌だけど」


「えぇ?いやって、どうして?信じてくれたんじゃ?」


「信じはしたけど会わないに関しては承諾した覚えはない!だいたい僕が避けてもあいつが寄ってくるんだからどうしようもないだろ」


「でも!このままだと、先輩殺されるんですよ?」


「それもまだ猶予があるんだろ、お前の反応を見ている限り、すぐって感じでもないし」


「そうですけどー」


 まぁこいつも詳しいこと話そうとしないし、現状維持が一番楽なんだよな。帰ったら未来にいくつか質問してみるか。


「わかりました!それでは、先輩が殺される時まで私が先輩をサポートします!」


「サポート?助ってことか?」


「そうです!先輩の未来が見えている私なら先輩の未来を変えることもできると思うので」


「じゃー、僕が殺されないようにしてくれよ」


「それはできません、私には難しいです!先輩自身が何とかしてください」


 何で出来ないんだよ。サポートって何する気?面倒ごとはごめんなんだが。


「じゃ―先輩、明日からよろしくです」


 と言って彼女は帰っていった。僕もそろそろ帰ろう。未来が家にいるだろうし



~家~



「いっ君、おかえりー」


 いや、こいつ本当にくつろぎ過ぎだろ!自分の家の如くうちの冷蔵庫のもの勝手に食べてるし。


「良いじゃん、もう家族みたいなものでしょ?お姉ちゃん的な?」


「こんな姉いらねーよ!」


「ひどいな~!あっ、そういえばおばさんが、今日帰りが遅くなるから夕飯は冷蔵庫の中だってー」


「あぁ……」


 なんでこんなにもうちの事情に詳しんだよ!うちの親、こいつのこと信用し過ぎじゃね。


「そういえば、後輩とデートどうだった?」


「ブッ!!!」 


 つい口に含んだお茶を吹き出してしまった。こいつなんで知っての?帰ってきてから、あの後輩の想像はしてないのに。


「あーもう、汚いなー」


 てことは全部知ってんのか?僕の考え全部読まれた?


「まぁー、雑念が混じってるから全部ってわけじゃないけど知ってるよー」


「そっかー、ちょうどいい、お前にいくつか訊きたいことがあるんだ」


「いいよー、真剣な話だね!嫌いじゃない」


 まー、ナイーブな話なのは間違いない、実際未来の家族について聞くわけだし、話したくないことだってあるかもしれない。無理に聞き出すのだけはやめよう。本当のことを言ってるとも限らないしね。


「そーゆう優しい所は好きだよ!いっ君にとって井上さんの話も半信半疑みたいだしねー、私も嘘をつかないでおいてあげる」


「そうか、ありがとう」


「で何から聞きたい?私の家のこと?それとも井上さんのこと?」


「おまえ、あいつのこと知ってるの?」


「まあね、昔あったことあるし、うちの学校で知らな人いないと思ってたけど」


「あいつ、そんな有名人なの?」


「まぁー、いっ君は友達いないから知らなかったのかもねー」


 このやろー、笑いやがって。でも、だから今日の帰り道、やけに注目浴びていたのか!井上が大声出したのもあるだろうが。まぁ、あいつのことはとりあえず置いておこう。


「じゃー、お前の家のこと教えてくれ、どこぞの高貴な一人娘って聞いたんだけど」


「うん、間違ってないよ、高貴かどうかはわからないけど、いっ君でも名前くらいは訊いたことあるんじゃないかなぁ、いっ君でも」


「どうして2回言った!?」


 それはあれか、「友達のいない、いっ君でも」って意味か?なんでこんなに僕をなじるんですか?なんか恨みでもあるんか?


「そのどこかは教えてくれないのか?」


「うん、ごめんね、隠してるから」


「そっか」


 心が読めない僕でもわかる。どこの有名な家の出身かわかってしまえば、僕の態度が変わるかもしれないと思って怖いんだ。そんなんで態度を変える僕ではないが。


「うん知ってる、いっ君はそういう人間だって、でも怖いんだ、今までそうだったから」


「でも僕、お前と長いこといるけど知らなかった」


「隠してたからね」


「そっか、じゃー次の質問!あの後輩がお前が危険なことに手を出してるって言ってたけどそれは?」


「あーそれね、多分あの子の勘違いだと思う、今の生活を続けるために家のことを少しお手伝いしてるんだけど、周りには秘密だからばれないようにしてたら、そう見えちゃったのかもしれない、全然危険なことじゃないよ」


「それならいいんだ、危ないことなら辞めさせないとって思ってたから、よかった」


「うん、ごめんね心配かけちゃって」


 危険なことでないのであればとりあえず大丈夫だろう。あの後輩は僕の未来が見えるだけでなんでも知ってるわけではないんだ。勘違いすることだってある。


「じゃー最後の質問!」


 これが一番大事だ。


「あいつはお前が近いうちに僕を殺すって言ってたんだけど、本当か?」


「そんなこと本気で信じてるの?馬鹿だなー、そんなわけないじゃん」


「そうだよな」


 本人から「僕のこと殺すの?」って訊いて「はい、殺します」っていう方が馬鹿げている。本当に殺すつもりでも本人には言わないよな普通。


「信じるかどうかは任せるよ、私は本当のことしか言ってないから」


「おう」


 気が付けばもう夜の9時になっていた。思った以上に話し込んでいたらしい。


「今日は帰るね」


 と言ってあいつは家に帰った。各局重要な部分は何もわからないままだ。まぁ少しはあいつのことを知れたので良かった。


 明日も学校なので冷蔵庫にある夕飯をたべて早めに寝ることにした。あんまり考えすぎてもあいつに聞こえてしまうしね。



~朝~



「昨日は寝るの早かったねー、よく眠れた?」


「なんでわかるんだよ?」


 便利だなこいつ、人の睡眠時間までわかるのかよ。怖いわ。


「それよりも昨日のアニメのあのシーンがやばくて!」


 未来もいつも通りなのでよかった。昨日は話した後、気まずかったからな。無理して元気を出しているのかもしれないけど。


「いやー昨日は眠れなかったよー!!」


「えっ?お前、寝てないの!?」


 まじかこいつ、深夜テンションをそのまま持ってきやがった。だから妙にテンションが高いと思ったよ!僕の気遣い、返せよ!!


「授業で寝るんじゃねーぞ」


「いっ君もね!」


 まじ何なんだこいつ!腹立つわ!


「大丈夫、一限目体育だから」


「何が大丈夫なんだよ、一番ダメな科目だろ!!」


 もうこいつ何考えてるか、マジ意味が分かんねー。

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