第7話 お買い物その1
次の日に起きると、隣にはシークが涎やらしながら寝ていた。イラーリとクリスはすでに起きてスープを作っていて、ウィズは朝に弱いのかボーと空を眺めている。
イラーリはシーク起こすと5人でご飯を食べ始める。昨日の夕ご飯が旨かっただけに少し味気ない。クリスは意外にも気にしないでがぶがぶとスープを飲み、それ見たシークとウィズも少しでも沢山食べようと急いで食べ始める。
「今日から作り置きはやめだ、朝作ってもこの大きさの鍋じゃ残らない。仕事もあるから腹いっぱい食べないと体に悪いからな」
それを聞くと4人は嬉しそうに頷く、特にクリスは一番うれしそう。
(顔が幸せって書いてあんぞ)
「それと今日は休みをもらって必要なものを買わないとな。木材も買って家の隙間を塞ぎたい。クリスさんは食べる量が多いみたいだし鍋とか、服も色々と買いこまないとだめだ。皆は欲しい物は無いか?」
イラーリは遠慮気味に話す。
「鍋を温める魔法具が欲しいです。働くと薪を集める時間がないので、魔石を使いますが」
なるほどな、コンロみたいなものかな。
「紙がほしいです、アルスさんとクリスさんに算術と文字を教えてもらいたいので」
ウィズはどうやら勉強がしたいらしい、確かにこれも必要だな。
「剣がほしい、カッコいい剣が欲しい」
二人の希望を聞いて自分もほしいものを言い出すシーク。
「食べ物がほしいです」
クリスも食べ足りないのかそんなことを言い出す。
「シークは却下、今は無駄に使う金がないから。クリスさんには今日の朝は我慢してもらおう、買い物が終わったらまたご飯にしょう。紙っていくらするんだ? あんまり高いと買えないぞ。魔法具は高そうだな。とりあえず見てみて買えそうなら買うけど」
シーク残念そうだがそこまで不満じゃなさそうだ、3人は嬉しそうに期待した目で見てくる。正直頼られると結構うれしい。ご飯食べた後にトイレに行く、ちなみにこの世界のトイレは臭い。一応この家は男性と女性で分けてあり、紙の代わりよく分からない葉っぱが置いてある、汚物が溜まると処理場から無償で手押し車とツボを借りて汚物を運ぶ。
店に行き何日か休みがほしいというと二日酔いのターチャは残念そうにしていたが休みを出してくれた、頭はあんまり回ってないらしい。
商業ギルドからお金を20万Rほど出すとクリスに渡して、イラーリに案内されて市場に行く。市場は相変わらずすごい熱気だった。両側には煉瓦作りの家が並んでおり、どうやら家兼お店のスタイルで2階建てが多い、全長は数百メートルはお店が並んでおりそのため人が溢れかえっていて、道はかなり広くおそらく30メートルはある。ここにいる人はクリスが言うには商人が多く、港町なだけに物とお金が集まる。
とりあえず服が置いてある店に行くと、やはり安い店なのか服はそこらへんに積んであって、どれも古着でそれでも今着ている服よりましだが。
とりあえずイラーリとクリスは任せてほしい勢いよく迫ってくるので任せると、これでもないそれでもない悩んでいて、男3人はもはや精神的にへとへとになってる。3時間ほどかかってやっと決まった。
結局面倒くなって全員黒色にお揃いにした、荷物運びは服が汚れやすいのだ。この世界にはチャックはないのでほとんどが骨か木製のボタン。ズボンに関してはゴムが存在しているらしいがなんでも魔物から取れるため高級品扱いで、ベルトに関しては少し安いがそれでもぜいたく品に入る。そのため代わりに縄を代用している。
イラーリは銀髪が黒い服にとても映える、大きく赤い瞳にひょこひょこ動く犬耳が愛らしい。
ウィズは緑色の髪色と金色の瞳に黒い服はあんまりに合ってないような気がするが本人は気にしていない。大人になればイケメンになりそうな顔をしてる、さすがエルフ。
シークは茶色の髪と黒い瞳と割と俺に近い特徴を持っているが顔の彫は深く、顔はあんまり似ていない、黒い服を着ると真黒の俺と結構似てる。
クリスは今着れる服があるからと赤いベストに茶色のスカート着続けるそうだ。
忘れないようにと革のブーツ買おうとしたら値段が5万Rを超えていて手が出ない。結局布製の安い靴を4足買った。
とりあえず2着ずつと靴を買うと5万Rほど使ってしまった。
着替えて紙が売ってるという店に行く、店に近づくにつれてウィズのテンションが上がり歩く速度が上がる、こうした姿を見るとやはりまだ子供だと分かりかわいく思える。
店に入ると中には古本のどこか懐かしい匂いが流れてくる、本の値段を聞くと一冊10万は超えていてとても手が出せなかった、魔法習得の本や魔物の生態の本など気になるが現状では手が出せない、もっと金が欲しい。
紙の方は大量生産で安いらしくA3サイズほどで1枚10R、それでも元の世界の何倍もする値段だ。400枚ほど買いおまけで40枚をもらい、4000Rがまた飛んでいく。おまけはイラーリが値切ってくれた、店主は最後は負けたとばかり悔しがっていた。
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