01話
ジリリリリ・・・
だまれ目覚まし時計、俺には夢の世界に旅立つという使命があるんだ、邪魔するな。
ジリリリリリリリ・・・
ジリリリリリリリリリ・・・・
ジリリリリリリリリリリリリリリ・・「うるせえ!」ガシャッ!
「はぁ~~~~~~~っ」
今日も新しい朝が来た。来てしまった。何も考えていないだろうチビッ子や、老いぼr・・・ゲフンゲフンお年を召した方々からすれば希望の朝だろうが、普通の学生からすれば絶望など正反対の言葉が入るだろう。
少なくとも俺はそうだ。
いつも通りにさっさと着替えて憎き学校の用意をする。ほぼ無意識にでもできるようになってしまっているあたりにちょっとした苛立ちを覚える。
今日の朝食は何にしようか、と考えたところで昨日の残りがあったことに気づいた。カレーだ。
「朝からカレーは精神的にも体調的にも悪そうだな・・・」
しかし食べないという選択肢はないし、ほかの物があるわけでもないので食べるしかない。
あとで洗うのが面倒だ。次カレーを食べるのはいつになることだろうか。
俺は一人暮らしなので家事はすべて自分でやらなくてはいけない。両親は実家に住んでる。
高校入学するにあたって一人暮らしを始めたのだ。思ったより家事めんどくさい。
玄関を開けると、青色の空が見える。今日の天気は晴れだ。季節は春だが朝はまだ寒い。東には太陽が出ているところだ。今日もご苦労様です。これからも永久にがんばれください。
カギはきちんとかけた。まぁ、空き巣に入られようが、とられて困るものなんてないし、かけなくてもいいのだがすっかり習慣になってしまっているので、辞める気はない。
「じゃあいってきます、っと」
そう今日も俺は静かな家につぶやき、歩き始めた。
20xx年、地球は核の炎につつまれた、なんてことはないし、そこらへんの道並みに、筋肉モリモリマッチョマンの変態がいるわけでもない。いないと信じたい。
いたって普通で、外交関係が少し先行きが怪しい以外には特に何もない退屈な世界だ。
俺は 長月 霜夜 (ながつき そうや)、現在16で高1のいたって普通の人間だ。
・・・ちょっと違った、素行不良で夜型のゲーマーである。・・・ごめん、かなり違ったわ。
ちなみに彼女はいない。いても面倒だというのが持論だ。しかしリア充は爆破しろ。慈悲はない。
学校は家から徒歩で通える程度しか離れていないので徒歩で登校している。車とか使いたいがまだ未成年、まだ我慢だ。そもそも乗る車なんて持ってないんだが。
適当な考え事をしていたらいつの間にか学校に着いていた。ちなみに考えていたのは日本はこの先どうなるのかなーということぐらいだ。至極どうでもいい。
HRの2時間前というおかしな時間に登校しているので教室には誰もいない。どころか先生さえいない。なんで学校空いてるんだろ・・・セキュリティガバガバじゃねえか。しっかりしろ校長。
クラスは1-A、席は一番窓側の一番後ろだ。教室の窓から見る景色はもう見慣れたものだ。授業中ずっと見上げてたりしたからな。先生が睨んでいたのなんか知らない。知りたくもない。
HRが始まるまでの時間は昼寝の時間だ。なに、勉強はどうしたって?・・・知らんな。
「ふぁあ~~、おやすみー」
やっぱ寝るのって最高だわ・・・
起きたら学校が終わっていたでござる。誰も起こしてくれないとは、なんて薄情なやつらなんだ。ちなみに起こしたら消すと脅したのは俺だ。先生は無視を決め込みやがった。おのれ担任め!
「おはよう霜夜、それにしてもよく一日中寝てられるな。呆れを通り越して尊敬したくなるぜ」
「そっちは授業ちゃんと受けてたのか?よだれ垂れてるぞ、汚い」
「うっそぉ!マジで?!」
「冗談だ。おまえ人のこと言えねぇじゃねえか。そっちこそ授業受けろよ。来月中間試験だぞ
赤点回避できそうか?」
このいかにも脳筋みたいなやつは 岩倉 剛 (いわくら つよし)という。背が180くらいあり、全体的にがっちりしている。ちなみに髪の毛はある。こいつを一言でいうなら馬鹿だ。物凄い馬鹿だ。先生が教えるのを放棄したといううわさがあるが、あながち間違ってもいなさそうだ。
「お、長月がいる!そのうえ起きてる!珍しいこともあるんだね!」
「俺を珍獣扱いするな。居ちゃ悪いか」
こっちの腰まで届きそうな長い髪を一つにまとめているのは立花 汐音 (たちばな しおん)、成績優秀、運動神経もよく、容姿もいいという、まさに小説の主人公とかになりそうなやつだ。ただし本人曰く背がちいさく、150に届くか届かないかくらいなのが悩みの種らしい。友好関係もよく、こいつと仲が悪いやつを俺は知らない。告白も何度もされたそうである。すべて速攻断ったそうだ。ははっ、振られた奴らざまあww
「そうだ、お前も今日あれやるのか?あの世界初のVRMMOの」
「当然だろ。だって世界初だからな。やらない手はないだろ」
「それ私もやるよ。面白そうだもんね!でも、題名がないっておかしくない?」
そうだ。この世界初のVRMMO、題名がないのだ。公式にも題名が載っていないので、みんなそれぞれ適当な呼び方をしている。アンノウンとかな。
「まぁ、普通にやるのも面白味が足りないからな・・・どうしようか」
「もうお前が何やっても驚かない自信あるぜ」
「でもその上を行きそうで怖いね」
「それは帰ってから決めようか、俺はそろそろ帰るぞ」
「俺は補講逝ってくるぜ、じゃあな、今夜ゲームの中で会おうぜ」
またこいつは補講か。こいつに物を教える先生に、合掌。
「私もやることあるから~また今夜ねー」
「ああ、じゃあな」
さて、さっさと帰ってゲームのログイン時間に備えようか。
最初くらいきちんとINしたいからな
・・・ああ、カレーの容器洗わなくちゃ・・・面倒くさいなぁ・・・




