※ 各種設定・特殊用語 【1】
第1章に登場した人物・生物・特殊用語の解説です。
今後のネタバレを避けるため、情報が曖昧な場合もあります。
◎登場人物
【リム】
リム・ローゼンストック
男 14歳 156センチ 48キロ (216年時点)
レウスティ連合王国リュタシア出身
長くも短くもないライトブラウンの髪にダークブラウンの瞳。
顔の造形は悪くないが、童顔で実年齢相応には見てもらえない。
子供時代の栄養不足の影響で体格も小柄で、筋力もイマイチだが運動神経は相当に高い。
投げナイフなどの投擲武器を得意とするが、短剣を使っての接近戦もこなせる。
対人戦でも毒物や薬物を平然と使うものの、人の命を奪うことには抵抗を感じている。
幼少期に両親を相次いで失い、親族に引き取られるが虐待を受けて出奔し8歳で浮浪児に。
リュタシア郊外を縄張りとする不良少年グループの一員となるが、2年後にグループ間の抗争でリーダーが死亡しグループは壊滅。
警邏兵に拘束された後、不良少年を矯正する教護院に送られる予定だったが、抗訝協会の関係者にスカウトされ訓練生となる。
【ライザ】
エリザベート・ド・レウスティ
女 16歳 165センチ 57キロ (216年時点)
レウスティ連合王国リュタシア出身
肩で切りそろえたくすんだ金髪と灰色の瞳。
容姿は整っているが、体形はスレンダーでやや中性的な雰囲気。
レウスティ国王であるフィリップ・ド・レウスティの第二王女で、王位継承権第五位。
主武装は長剣だが、槍や弓やメイスといった各種武器の扱いにも長けている。
戦闘技能に突出した部分はないものの、勘の良さと反射神経によって熟練の傭兵以上の動きを見せる。
父王からの命により、選択の余地なく求綻の道へと進む。
養成所の訓練課程を終えた直後、竜であるディスターと共鳴を起こして求綻者に。
叙任から5ヶ月間で2桁の解訝に成功し、異例の速度で【新士】へのランクアップが認められる。
一方で、検訝の旅の中で様々な不公正や理不尽を目にし、各国政府や抗訝協会に対する疑念を深めつつあり、人を雇って独自に調査を進めている。
【ディスター】
本名なのかどうか不明
男 外見は20代 190センチ 92キロ (216年時点)
出身地不明
長めの黒髪を縛ってまとめている。
黒い瞳で精悍な顔立ちだが、雰囲気は柔和。
実在すら疑われている竜なのだが、人間としか見えない姿で行動している。
使用武器は材質不詳のハルバードで、戦闘能力はファズと同等かそれ以上。
竜に転変すると何もかもが桁違いの能力を発揮するのだが、滅多にその力は使わない。
自分の意思や意見はあまり表に出さず、従者のようなスタンスでライザと共に旅をしている。
竜の行動原理や存在理由は謎めいていて、ライザに対しても明かそうとはしない。
各分野に対する知識や見識は極めて深く、知能の点でも人間を凌駕しているのが予想される。
【グラウ】
男 38歳 身長180センチ 体重120キロ
ガッツェーラ王国イリネア出身
2年前、王国軍と独立派武装集団の戦闘に巻き込まれ、レウスティへと避難してきた豚人。
現在は難民達のリーダー格の一人として、難民間のトラブル仲裁や地元住民との交渉事を担当。
ノーデンホッブ近郊の難民村を拠点に自警団活動を行い、凶暴化した新生物を狩っている。
【ホルフェ】
男 34歳 身長155センチ 体重60キロ
ガッツェーラ王国イリネア出身
グラウと同じく、ガッツェーラからレウスティに流れてきた緑人。
イリネアの有力者一族の出身で、王国政府と独立派の和平交渉に携わっていたが、紛争で家族の殆どを失う。
難民達の実質的指導者として、亜人達の生活基盤を確立しつつ、故国に安全に戻るための道も模索していた。
【タヴェルニエ】
男 44歳
ノーデンホッブ伯爵から領地の統治を一任されている中年の代官。
政務能力は平凡だが、主家への忠誠心には篤く私腹を肥やすこともない。
難民への対処は、面倒を避けたい伯爵の思惑に従った結果、かなり冷淡なものになっている。
◎特殊用語
【求綻者】
世界を崩壊させる原因となる“綻び”を突き止めるために世界を旅する冒険者。
かつては少年少女の憧れだったが、死亡率・失踪率の高さから微妙な扱いに。
【求綻者養成所】
求綻者を教育・訓練し、一人前の冒険者として育て上げる施設。
訓練期間は基本的に三年間。
【レゾナ】
求綻者が行動を共にするパートナー。
通常は新生物か亜人がレゾナとなる。
【共鳴】
レゾナとなる相手と求綻者候補生の間に起きる現象。
特殊な絆のようなものが生まれ、互いに念話での意志の疎通が可能になる。
【新生物】
ある時期を境に、世界中に出現した奇怪な生物群の総称。
既存の動物に似ているのだが、特殊性の際立つ生物であるケースが多い。
【不明新生物】
新生物の中で、生態が不明だったり目撃情報しかなかったりの存在をこう呼ぶ。
巨大であったり凶暴であったりと、人の手に余るものが主にカテゴライズされる。
【亜人】
新生物の中で、人に似て人ではない知的生物の総称。
【豚人】【犬人】【緑人】【毛人】の四種が有名。
【訝】
世界の綻びではないかと疑われる怪事件や怪現象の総称。
求綻者はこの訝を調査するのが主な任務となっている。
【検訝】
求綻者が訝を調査すること。
事前に連絡所に届け出ておくと、解決時に報酬が出る。
【解訝】
求綻者が訝を解決すること。
解決の定義が曖昧な訝だった場合、報酬が減額されたり出なかったりもする。
【抗訝協会】
全世界の求綻者を統べる組織。
養成所で求綻者を育て、連絡所で求綻者をサポートしている。
訝に関する情報収集の他、新生物・不明新生物の調査研究なども行う。
運営資金は大陸各地の政府から拠出されており、幹部には各国の貴族や高官が就任している。
【連絡所】
抗訝協会が大陸各所に作っている、求綻者の旅の拠点となる場所。
情報収集、活動費の支給、貴重品や現金の保管、検訝の届出、解訝の処理など、
様々な物事をこの場所で行える(逆に言えば、ココでしか出来ないことも多い)。
◎登場生物
【竜】
『世界の始まりと共に在るもの』と呼ばれる謎の生物。
現在、ライザのレゾナとなっているディスターを名乗る竜は人間体で行動をしている。
だが、他の竜がどうなのかや他に竜がいるのか等は一切が不明。
竜としての正体を現した姿は、絵画に残されたものとは似ても似つかないという。
【飛礫蜥】
トカゲに似た肉食性の新生物。
体長は120~150センチ程度と大型で、全身が茶色っぽいウロコで覆われている。
先が三叉に分かれた尾を使って石などを投げ、鳥や小動物を狩る。
獲物は丸呑みにするので、大型生物に攻撃をしかけることは滅多にない。
通常は山岳地帯の森林部などの高地に棲息。
【昏絶鱆】
タコに似た肉食性の新生物。
体長は平均して60センチ前後だが、1メートル近い個体が確認されたこともある。
体色は赤褐色を基本に赤が濃かったり茶色が濃かったりとマチマチ。
麻痺性の黒い霧を放射して獲物を弱らせ、触手の一本にある霧の効果を濃縮した毒爪で獲物を仕留める。
主な餌は小動物で、不意の遭遇を除けば人間を襲うことはまずない。
足(触手)は6~10本と不定で、水棲ではなく陸棲。
【塞栓蝙】
コウモリに似た雑食性の新生物。
体格差が激しい種で、大型の固体では翼を広げると80センチほどになる。
吸血の習性はないが、牙にある毒で対象を弱らせて捕食する。
人間が咬まれても気分が悪くなる程度だが、襲われた子供が呼吸困難から死に至った例が確認されている。
夜行性で暗所に営巣し、基本的には洞窟とその周辺にしか現れない。
【膨潤鼡】
ネズミに似た雑食性の新生物。
20~50匹の集団で行動して、外見は掌サイズの青い毛玉のような雰囲気。
通常時は大人しく、主に虫や木の実を食料とする無害な生き物でしかない。
しかし、仲間が攻撃されてその血を浴びると、90センチから1メートルほどに巨大化し、群れを守るために外敵に応戦する。
【萎凋鼴】
モグラに似た雑食性の新生物。
体長は50~60センチで、全身が濃い土色の硬い毛で覆われている。
モグラと同じく土中を穴を掘って移動するが、地上も普通に移動するし水中も短時間なら泳ぐ。
栽培された野菜を好むらしく、よく農村から畑を荒らされた被害が報告される。
【鬼城蚓】
ミミズに似た詳細不明の不明新生物。
体色は黒く、体液は黒ずんだ赤色で、内部構造は調査前に体組織が崩壊したため不明。
今回確認された2体のサイズは、小さい方が直径1.5メートルで体長18メートル、大きい方が直径2メートル体長25メートル。
古い文献の記述によると、数十年に一度の周期で目覚めて、生物無生物を問わず手当たり次第の暴食を繰り広げた後、唐突に姿を消す天災にも似た存在とされている。
今回のノーデンホッブ近郊の訝を引き起こしたと思われるが、事情を知るはずのホルフェが秘密を抱えたまま死亡。
二匹を操っていたと思しき球体の謎や、テロ行為の目的については未解決のままに終わる。