虎の威を借るピーチクパーチク囀る鳥がウザイです
ふと寝る前に浮かんだお話。
軽~く突っ込まずにお読みください。
いろいろと突っ込んだら負けです(笑)
※7/30加筆修正いたしました。
ふう、先程から目の前の御仁方は何を囀ずっていらっしゃるのかしら。
へー、私が貴方達の後ろで嘘泣きをしている女性に嫉妬して虐めていたというのですか。
証拠もある?
では、今すぐ誰もが納得する証拠を出してくださいな。
あら、その証拠をもとに私を糾弾するためにここに呼び出したのでしょ?
何を戸惑っていらっしゃるの?
全校集会まで開いて……全校生徒を証人にするつもりなのでしょ?
さあ、早く証拠とやらを出しなさい!
まさか、証拠があると言いながらここには持って来てないとか言いませんわよね。
あるならさっさと出しなさい!!
まったく、時間の無駄遣いをしないでいただきたいわ。
私、公私共に忙しいんですのよ。
一分一秒でも無駄にしたくありませんの……
貴方達の尻拭いだけに時間は割けませんのよ?
あら、ご自分に与えられた職務を放棄され遊びまわっていた貴方達の仕事を代わりに行っておりますのよ?
校長と理事長に泣きながら頼まれましたので……
これは全校生徒が知っていることでしてよ?
ねえ、皆様。
ふふ、援護ありがとうございます。
皆様の協力があるからこそ私でも生徒会の仕事が務まりますの。
改めてお礼を申し上げますわ。
あら、貴方達はご自分の置かれている立場をまだ理解されていませんの?
ああもう!
ピーチクパーチク煩いですわね。
そんなに囀ずりたいなら貴方達の後ろにいる彼女に囀ずりなさい。
まあ、ここで彼女に囀ずり始めたら貴方達の未来はありませんけどね。
あら、身分を盾に私を処罰なさいますの?
別に私は構いませんわよ。
だって、私の方が身分が上ですもの。
何を笑っていらっしゃるの?
ええ、存じておりますわ。貴方方が侯爵家・伯爵家・子爵家の御子息であることは。
でも、その爵位は貴方の父君のものであって、貴方のものではありません。
貴方自身は何の爵位も持っていないただの子供ですわ。
まさか、気づいていらっしゃらなかったのですか?
王族以外、貴族の子供は成人するまで平民と同じ立場(地位)だって。
初等科の授業で習ったはずですわ。
学校を卒業して陛下より爵位を賜るか、親から爵位を譲られるか、著しい功績を認められて特別に爵位を賜らない限り身分などないものだということを…………
だから平民の皆様と同じ教育を受けているということに……
あら、顔色が悪くなっておりましてよ。大丈夫ですか?
え?私ですか?
私は3年前に国王陛下より女伯爵の爵位を賜っております。
小さいですが領地も頂いており、その地でこの国の新しい名産品を数々産み出しておりますのよ。
社交界では有名な話ですが…………ご存じありませんでしたの?
最初は父に『こんなのがあったらいいですわね』とか、『あれを加工すればもっと需要が広がるのではないのかしら』とか夕食の席での些細な会話でしたのに…いつの間にか新しい市場を開拓してしまいましたの。
それを認められて爵位を賜ったのですわ。
私は成人するまでいらないと申しましたのに……
陛下も王妃様も大臣様方も諸外国との交渉に有利なものを生み出したからと半ば無理やりでしたが爵位を下賜されたのです。
私一代限りの爵位ですけどね。
一時期話題に上がっておりましたのに……それすらもご存じなかったのですね。
あら、貴方達が付けているそのカフスやタイ、宝飾類・衣類は私の領地が生産・販売元でしてよ?
それから貴方達が一品ものだといってそちらの女性に贈った宝飾類等はすべて私がデザインしたものですのよ?
ちなみにその品々は本来王女殿下に献上する予定だったものなんですよね。
ああ大丈夫ですよ。
王女殿下から許可を頂いたから貴方方に販売したのですから。
でも、王女殿下への生誕祝いだとおっしゃっていた品がまさか……そちらの方へのプレゼントだとは思いもしませんでしたけどね。
あら、顔色が悪いですが大丈夫ですか?
ああ、王女殿下にはそのことは伝えていませんわよ。
伝えられるわけないでしょ?
王女殿下の名前を使って平民の娘へのプレゼント依頼してきたなんて……
まあ、王女殿下はそのデザインはお気に召していなかったのでちょうどよかったですわ。
え?なぜ私がこと細かく知っているかですって?
何をいまさら……
ああ、その名前は私のもう一つの名前ですわ。
貴族の令嬢が手に職を持つのを厭う方が多かったので別名で活動しておりましたの。
まあ、今では暗黙の了解で私の事は知れ渡っておりますけどね。
今では私がデザインした宝飾品やドレスを持つことがステータスになっており少々困っておりますが…
あら、話がそれましたわね…
それで、私をどうなさりたいの?
学校追放?
ええ、構いませんわよ。
卒業に必要な単位は全て取得しておりますし、すでに領地経営も行っておりますから生活に困ることもありませんし……
貴方達にその力があればですけど……
あらあら、本当に頭がお花畑ですのね。
長期間にわたって職務放棄していた貴方達の言葉を誰が信じるというのです?
ここにいる全校生徒の目を見てみなさい。
もう誰一人として貴方達の言うことは聞きませんわよ。
ああもう!
また御実家の権力を笠にするおつもりですか?
まあ、その力も無効化されますけどね。
はい、これがその証拠ですわ。
各家の家紋が刻まれておりますでしょ?
各家の当主様より直々に頼まれた証拠です。
私に貴方達の処分を一任するという証拠ですわ。
それから国王陛下からも一任されております。
将来有望だと期待していたが的外れだったと皆様嘆いておられましたわ。
ええ、侯爵家の跡取りであった貴方ではなく、私にゆだねられましたのよ。
貴方達の未来を……
さて、どのような処罰がよろしいかしら……
あら、チャンスが欲しい?
なんのチャンスですの?
私達は十分に貴方達に更生の機会を与えておりましたのよ?
3年という長い時間の間に幾度となく…ね。
それを悉くつぶしたのは貴方方ではありませんか。
まあ、いくら私が当主様方から一任されていると言っても貴方達を廃嫡する等はできないので学校内での処罰になりますから甘んじでお受け下さい。
もちろん、理事長や校長の了承はとってありますわよ。
教師ですら手を焼いていた貴方達の処分……
退学なんて生ぬるい処分は下しませんわよ。
貴方達には私達がどれほど迷惑を掛けられたのかその身をもって知ってもらいます。
ねえ、皆さま
どんな処罰が彼等の目を覚まさせることが出来るかしら……
皆さま、一緒に考えましょうね。
架空の国なのでいろいろと突っ込んだらいけません。
一応補足として・・・
彼女の国は王族以外どんな高位の貴族の家でも子供は成人するまで(又は親から爵位を譲られるまで)平民と同じ地位にいると教育されています。
(国の90%を占める平民との良好な関係を円滑に築かせるためという建前がある)
成人する(学校を卒業する)までは身分がないと言った方が分かりやすいかな?
あと、彼女のように業績を認められると在学中でも爵位を下賜されることがあります。(十数年に一度くらいだけど)
ふと、貴族の子って爵位を賜るまでは平民と同じなんじゃないだろうか…という思い付きで書いてしまいました。
貴族社会なんて知らないので適当です(笑)
囀り鳥の彼等への処罰は……読者様に委ねます(苦笑)
私では生ぬるい処罰しか浮かんでこないので…(^▽^;)