第3話〜初陣
7月22日午前9時、【第37戦車中隊】はいつものとうりパトロールを行っていた。
新井中尉の戦車がそれを発見したのは9時15分の事だった。
「中尉、9時の方向に戦車の一隊が居ますが?」と砲手から報告が入った。
「妙だな?こちら側にあんなに戦車はいない筈だが。」
「前方の戦車隊から応答ありません。」
「前方の戦車、こちらに砲を向けてます。」
「違う、あれは味方じゃない、エジプト軍だ。」
この言葉を後に新井中尉の乗る戦車から通信が途絶えた。
【福岡司令部】では、エジプト軍の襲来で慌しくなっていた。
「【第12防空中隊】はエリア18に発進させろ」
「【護衛艦群】は沖合いにいる敵艦隊を攻撃しろ」
「【第1防衛ライン】戦闘開始しました。」とオペレーターが指示をしていた。
その頃、沖合いではエジプト海軍の艦艇が地上部隊を指揮していた。
「【第2戦闘群】をもう少し前にだせ」と指揮しているのは、エジプト海軍少将のボーレスだった。
「敵潜水艦3隻、こちらに向かってきます。」
「【対潜ミサイル】発射せよ」
「間に合いません、魚雷きます。」と報告の後に魚雷6発中2発が護衛艦1隻に旗艦である潜水艦に4発命中し撃沈した。
【福岡司令部】では、敵艦隊壊滅の報が入ると司令部全体に歓喜の声が溢れた。
基地防衛隊も次々に前線に出て、敵軍を攻撃しに行った。
工藤少尉の戦車もエジプト軍兵士が5、6人集まっている所に砲撃した。
初陣で、6人者敵兵を倒したのである。
しかし、工藤は新潟の時と同じ様な吐き気に見舞われた。
砲撃した所には、体がバラバラになった兵士が居た為である。
中には、内臓等が飛び出した死体もあった。
その後の事は覚えていなかった。
目が覚めたら、ベットの上に居た為である。
軍医の話によると、戦場で気絶して担ぎこまれたらしい。
「くそ、大事な時に倒れたのか俺は」と悔やんでいた。
しかし、工藤の気持ちなど関係ないまま次の戦いが行われようとしていた。
初戦闘で、6人の兵士を倒した工藤
しかし、彼はこの戦闘で何を思うのか?
次回は、先に戦場へ旅立った2人の話を書きたいと思います。
次回第3次世界大戦『第4話散る命』をお楽しみに