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などと思っていた時期がありました

――この先生きのこるには――?





雲州との戦に勝った勝ったと戦勝祝賀会を開いて喜んでるのが下々なら、おいこの先どうすんだよと頭を抱えてるのがお上なわけで。



皇太子と決定的に関係がこじれたんでこれからどうするの? とか、雲州南部から買い付けた約3千人の奴隷をどうするの? とか、伯州解放軍とか名乗り出した連中の旗頭に伯州王の末娘が据えられちゃってるけどどうするの? とか問題が山積みで。



――どこから手をつければいいのやら



どれもこれも地雷感満載な問題で、誰もがどうぞどうぞと譲り合いの精神を発揮している今日この頃の会議。

いつまでたっても話が進まないのに業を煮やした方護君が「自分の蒔いた種は自分で刈り取れ」という基本方針を打ち出してくれたお陰でほぼすべての問題がこっちに降りかかってきたんですが。



「まあ、皇太子との軋轢以外は全て御館様に起因していますから。責任を取らせるなら妥当な考え方だと思いますが」

「そういう安易な考え方だとまた問題が膨らむだけだと思おうよ」

「――御館様。よくぞそこまで成長されて」




――自虐したハズが感動されるとか




自虐しようが感動されようが問題が解決するわけじゃないので、商会から頭の切れそうなのを呼び出して考えろー、と丸投げするまでがわずか一日。


「方護様の問題はと言えば皇太子と事を構えるのに王弟派に与すると宣言されたとか」

「俺は伯州王になる! とか言い出さないようで何よりだ」

「まあ、まだ春日様生存説を主張されておりますから」

「そうでもなきゃ身持ち堅くない、か」

「そうですね。連日連夜夜這いをかけられて凌げるのはある種の才能かと。これが御館様なら……」

「その初日に籠絡されて以降は連日連夜事に及んでるでしょう、みたいな溜息はなんだというのか」




――ホント何でしょうね







扇とたわいのない会話をしつつ、手元に積み上がっている書類を右から左と確認していくと、いかに真庭が、備州が置かれた状態が危ういかが改めて解ってくる。


今や備州は国王・皇太子・王弟の派閥に分かれての内戦状態。

しかも片山崩れ直後のようなどこかの派閥が優勢というような状況ではなく、どこもあっぷあっぷで覇を唱えるには色々足りないという可哀想な状態だった。


経済面では国王派は、前宰相の重度の商業政策からの反動なのか重農主義に傾斜したようで開墾開墾また開墾と農地拡大に走ったが、経済活動そのものには否定的な政策が周辺国に嫌われて経済が悪化中。


皇太子派は、例の人間至上主義とそれに端を発した異族狩り、それから逃れようとした異族の難民化とウチからのネガティブキャンペーンの結果、流通が崩壊し経済がほぼ自給自足の原始的な状態に陥っていた。そしてそれは国王派から自領の統治ができない皇太子失格という口撃の口実になっていた。


王弟派はといえば、後ろ盾だった東河公爵がいなくなるわ、その領地の後任に皇太子派が入ったことで沿岸部の商品、特に塩が暴騰するわ。塩の買付けのために軍備費を削るハメになるなどじわじわと金が領外へと流出する事態に見舞われていた。



軍事面ではどうかというと、国王派は四公のうち西と南の支持は変わらず、その軍事的な優位は揺らいでいなかった。

特に、片山崩れおよびそれ以降の混乱でも兵を減らしておらず、今日明日総力戦が始まるとなれば圧倒的な物量を誇るのは間違いなかった。



皇太子派は人間至上主義の影響で動員は人間に限られること、一人で十人力を誇る獣人がおらず戦場での突破力に難があること、また動員数の穴埋めで囲い込んでいた傭兵部隊も金不足で寝返りかねないなど軍事面での不利がジワジワと表面化していた。

また、後ろ盾だった北山公爵もウチのとばっちりでインフレ真っ只中で経済がガタガタ、とても軍事活動を起こせるような状況ではなくなっていた。



そして王弟派はといえば、片山崩れで東河公爵以下派閥の大多数が居なくなったこと、山間部の津山では兵を養いにくいこと、傭兵を雇うにも金が用意できないことから兵力は最下位、かろうじて王弟自身の軍事センスで持ちこたえているという状況だった。







「正直、沈む舟に乗り込むようなマヌケなことはしていただきたくないのですが……。まあ、端っから皇太子派は無かったわけですが、国王派の方が良かったのでは?」

「売れる恩の大きさで言えば、王弟、艮公が一番大きいし、皇太子を血祭りにするにしても否とは言われにくい立場だからねえ」

「艮公にしても東河公爵の汚名を注ぐ必要がありますか」

「舐められたまんまじゃ収まりがつかないのが政治の世界だからねえ。それにこれ以上どこの派閥かの旗色をはっきりさせなかったら本当に伯州王狙ってるって言われかねなかったし」

「なれなくはないけれど、統治できない、でしたか?」

「流石に山一つ向こうを統治するには真庭だけじゃ人材不足で相当時間がかかるだろうし、何より伯州に手を出してるうちに艮公が金欲しさに蹂躙しに来るからね」

「謀反の疑いを口実に手を出される可能性が怖いなら国王派についた方が良かったのでは?」

「それだと皇太子八つ裂きにできない可能性があるからって」

「――完全に私怨ですね」





――ホント、完全に私怨ですね









この頃の真庭のというか、方護の方針はいたって明快で、一日でも早く皇太子を八つ裂きにするにはどうすればいいか、というものだった。



内政も外交も全てはいかに皇太子を殺すための手段となりうるか、または皇太子を殺す邪魔が入らないようにするか、だった。




――だから、皇太子が近い将来に攻め込むだろう艮公についたってんだから真性だよねー。ともあれ皇太子は八つ裂きにされるべきです




方護の基本方針が明快すぎたため、それに引きずられる形でアレコレと政策が固まっていく。


一番大きい問題だった伯州解放軍の件は、二番目に面倒だった雲州から買ってきた奴隷3千を後方支援、兵器製造だとか食糧生産だとかをさせる専業部隊として投入することで、こっそり支えることにし、真庭の兵力を皇太子がいる南側赤磐方向に集中させることに。




「変に反乱されないように真庭公司ってことで組織作って、ちゃんと組織にお勤めするんなら衣食住の保証とか規定年数働いたら退職金だすとかやってみた訳だけど」

「手厚過ぎて備州や雲州から自分も真庭公司に入れてくれと大量の難民が流れ込んでるそうですが……」

「……べ、別に荒れ放題だった農地耕す分には問題ないし」

「真庭公司が耕している土地はどこに帰属するのか、と伯州で疑問の声が上がっているそうですが……」

「……べ、別に耕すだけの人口が用意できるようになったら返還するだけだし」

「その場合、奴隷の扱いは?」

「規定年数働いた扱いで解放すればいいんじゃないかなー、と」

「ここは自分達の土地だと言って伯州で蜂起するような気がしますが……」

「……そ、その頃までには赤磐落してるだろうから、そっちで働いて貰うことでどうでしょうか?」

「艮公が仕切る論功行賞で文句を言わせない戦果が必要なのでは……?」




――最近、扱いが粗雑を通り越して新しい境地に達したっぽいんですが……




戦果が必要らしいので、皇太子との戦争に集中できる環境を用意しましょう、ということで方々に放っておいてそのまま忘れてた密偵にまだ仕事する気がある? とアンケートするところから。

現状、皇太子と戦争する場合、大義名分どうするという問題以上に、心置きなく戦争をするために他所から横槍を入れられないようにする必要があって、その工作のお時間。











「珍しく吉報ですよ御館様」

「……播州でも内乱?」

「正確にはその兆し、ですが。津山の目と鼻の先、国境の美作がどうも播州の中央と折り合いが悪くなったようで」

「理由は?」

「播州の宰相が『実は自分、備州の草だったんだよ』と暴露して美作に逃げ込んだとか」

「……え?」

「播州の中央は大混乱、どこからどこまでの情報が流れていたのか把握が出来ず宰相の身柄を拘束しようと躍起だそうです。で、逃げ込んだ先の美作の当代は宰相の庇護で家を継ぐことが出来たという事情があって恩義を盾に引き渡しを拒否していると」

「しばらくは美作と中央がにらみ合うから、美作からの侵攻の可能性がなくなった、と?」

「……もう一歩踏み込んで、美作を取り込むことができるのではないか、と」

「……随分踏み込んだ報告だけど、誰だよそれ報告してきたの」

「差出人が浦上春日、となっております」

「……え?」

「あの二人も生きているそうです」

「……え?」





――播州で生きてたらしいですよ?





片山崩れの際、皇太子の追撃をかわすためにあえて播州に逃げたのが事の始まりだったそうで。

逃げ切ったとはいえ、配下は十人ほど、その誰もが手傷は酷く満足に動けるようになるのに二年、備州に帰ろうとするも国境が皇太子の土地となり無事に抜けるのには問題が大きく、かといって海路を使えるほど金がないため、路銀稼ぎに傭兵しつつ、陸路なら播州の中心である姫路を経由して美作から津山そして真庭へ、海路なら姫路から一気に倉敷へと移動しようとしたそうだ。



が、傭兵部隊を装ったことからケチがついたらしく、あれこれと泥縄な対応をやっているうちに姫路で宰相に目通りできるまでの実績が出来てしまったらしく、目通りした結果、春日の正体がそこで発覚。



さらにその場で播州の宰相が実は備州前宰相の手下だということが分かり、あっという間に一蓮托生の関係となったと。

周囲に発覚しないうちに備州に帰ろうとしたらしいが、この頃になると皇太子領である備前一帯が海路を含め世紀末並みの無法地帯となり、無事に通過するには問題があり過ぎになり。



力尽くで押し通ろうとすると、どこかで皇孫女だとバレて皇太子が軍勢を差し向けるだろうということで、陸路、美作経由で帰ることになったが、そこへ美作の当主が死んで美作領内が跡目相続の内紛で治安が悪化、通るに通れない状況となってやむなく跡目候補の一人に手を貸しているうちに今になったと。




「御館様に連絡しようにも、草が活動していなかったから播州にいるウチの手下が誰なのか確認できず今まで連絡できなかった、ということです」

「最近活動再開したから、ようやく草が確認できたから連絡してきた、と」

「信用が置けるものを真庭に送ることも考えたそうですが、万一を考えると二の足を踏んだとのことで」

「皇太子と事を構えることを決定した直後に、事を構える原因の無事が分かったのはどう考えればいいんですかね?」

「それを考えるのが方護様や御館様の仕事では?」



――いやホントに大義名分がなくなったような?







それとは関係無しに、春日無事の報告をしたところその日のうちに方護は美作にすっ飛んでいって。

その後を伯州王の末娘が追いかけていって。




――修羅場? 修羅場?





そういうのは当事者でなんとかしてくださいと耳を塞いで、こっちは春日と播州の宰相が仕込んだ計略の確認作業でてんてこ舞いの生活に突入。


――扇に言わせれば、流石御館様の薫陶を受けて育った二人だと、要と祥を評価したんだけど、その……泥縄っぷりがよく似てるとか……




春日と宰相が美作に逃げ込むための工作として備州の皇太子と通じている偽装工作をしたり、美作に逃げ込んでも領主に裏切られないように美作が艮公と通じてるような偽装工作したりと。

一番の被害者は美作の当代では? という扇の指摘がもっとも過ぎて。



そう指摘しながら扇は艮公と美作の当代を結婚させれば、後方の憂いなく皇太子を攻められませんかね、と言い出す始末。



春日と方護の数年振りの逢瀬がお盛ん過ぎたのと、春日に逢えたことで気が抜けた方護がウッカリ伯州の末娘からの籠絡をかわし損ねて修羅場ったとかたわいのない話を酒の肴にしつつ、先に真庭に戻ってきた要と祥から聞いた報告の中身が酷かった。


皇太子をくびりころすための政略、と銘打った方針書によると、美作の当代を支援したのは独身女性だったからと、どうみても艮公との婚姻同盟前提のチョイスです。



艮公の領地である津山を攻められるのは、国外からは播州の美作からぐらいしかないし、また逆に美作を攻められるのも津山ぐらいしかない、双方陸の孤島みたいな地理のため、津山と美作が手を組めば安泰じゃないかしら? なら、婚姻同盟狙うしかないでしょ、という結論になったんだとか。




これが播州に旨味のある地域であればまた対応が違ったのだろうけど、大した特産もないただの山奥として半ば放置されており、今回宰相が逃げ込みさえしなければ重臣級ですら美作ってどこですかLevelの扱いだったとか。



そのため政治工作が専門っていう海千山千の連中が出てこなかったことで、祥や要程度の工作が通用したんだとか。





「御館様の工作が成功した体裁を取り繕えるのもひとえに金の力ですしね」

「……ごもっとも」







――津山の逢瀬が一段落したところで、今後の予定詰めないとなぁ……






じゃ叔父さん美作の領主と結婚しといてね、という恐ろしく軽い春日のセリフで、艮公・皇孫女・辺境伯・強欲長寿を主要とした会議が幕を開けた。








「いや、あれは無くね?」

「普通の神経では無いでしょうが、あの会議にいたのに普通がいたのかと言われると……」

「よくよく考えなくても、片山崩れの時に因縁あったもんなあ、美作とは……」

「まさか片山崩れの時に仕掛けた食糧買付が元で前の領主が体調崩して没してたとは思いませんでしたねぇ」

「普通に仇扱いされておかしく無いよなぁ、ソレ」

「あちらの領主の親族、特に現領主の兄弟はほとんど艮公に討ち取られてますからそちらが先になるかと。御館様はといえば確かに嫌がらせ工作が原因で死んでいるようですが、なにせ直接討ち取ったわけではありませんし優先度で行けばかなり低いのでは?」

「先約が解消したら次はお前だ、って言われるのが分かってるのってどんな気持ちだと思う? ねえ、どんな気持ちだと思う?」







あ、あと叔父さんの養子に私をしといてね。一蓮托生って意味もあるけど、お前の娘だなんて名乗ってられるかって意味で、ここまですればあの屑でも挑発だって気がつくだろうし、という軽いセリフでなんとか持ち直そうとしていた会議がほぼ麻痺し。






「まあ、仮に艮公が国王か皇太子に殺されても後釜に春日いれば真庭としちゃ困らないから選択としては有りだけど」

「ブタの娘扱いされるのが嫌だから他所の子になります、という申請文は挑発としては最上でしょうか」

「流石は妾の娘、というとこか。親を捨てたなんて悪評、春日にとってはどうでもいいし、そんな面子よりも艮公の所領という実を取るとこなんか昔からまるで成長がみられないよなぁ」

「妾殿の口癖は、空いてる正妻の座よりも悠々自適な妾の座、でしたか? ですが、縁組で嫡子になったとしても艮公と美作の領主の間に子供が出来れば後継ぎから外される恐れがあるのでは?」

「速攻で仕込んでも産まれるのは来年だし、産まれても元服するまでは確実に後見人として津山を治めるつもりでしょ。それに、そこまで時間をかける気もないだろうし」

「これ以上ブタと同じ空気は吸いたくない、でしたか」








それでもなんとか持ち直したところに最後のトドメと、私達結婚します。と、春日が方護の首根っこ掴んで宣言したとか。







――はいはい、はっぴーえんどおつおつ







「まさか方護と結婚するための口実として艮公の養子になったとは……」

「ヘソを曲げた伯州の末娘が即二号さん宣言した上に伯州奪還の折には正式に伯州王の位を方護殿に、とか言ったとか」

「対抗して春日が皇太子廃嫡してその座に着くから実質方護が次期国王よ、とか口走ったとか」

「どちらもできなくはないから問題ですねぇ……」

「実行するのは誰だろー」

「棒読みのところ恐縮ですが御館様になるかと」

「正直、艮公に丸投げしたいんですけど……」

「みんなコイツが悪いんです、って言って御館様の首を差し出す可能性があるわけですし下策かと」

「みんなコイツが悪いんです、って言って皇太子の首をこっちから獲りにいくしかないわけかー」






――尻拭いするババ引いた……






――えー、でーもー、大義っていうかー、名分が無いっていうかー





などとごねたところ、総社に残してた娼館から子供が大量に送られてきて。





――え? なに? 認知イベント?





などと疑問符浮かべてたら、片山崩れで取り潰しにあった家の私生児達です、って。

これを担ぎ上げれば大義名分は立ちます、ですからお義兄様の仇を!! ってシチュエーションプレイさせてた娼婦達から連名で嘆願書が送られてきたり。





――いや、まあ、片山崩れを、皇太子が播州と密通して東河公爵を討つために仕組んだ謀反である!! っていって廃嫡させる準備はしてたけどね……


――敵討ちを強いられるとは思わなんだ……





「しかし、一番年嵩だと数えで九つになってるとかもうそんな前のことだったか」

「御館様と毎日顔を突き合わせているだけだと年月経っていることを忘れやすくて困りますね」

「行間にまるで成長がみられない、と仕込まれているようですが?」

「確かに娼館は総社で一番儲かった商売でしたが、東河公爵領の直系含め皇太子領となったほとんどすべての領主の血筋が揃っているとは……」

「こまめに調べたからなぁ……。どこの誰の子供が入学するとか、どんな性格だ性癖だ、と」

「それに合うように仕込む訳ですから、抗うことすらできずに猿になる訳ですね」

「迷宮探索の戦力として仕込んだハズなのに、どーしてこうなるかなぁ……」













美作に播州の宰相がいるので身辺警護の手間と引き換えに、皇太子に不利になるような皇太子と播州ご内通していたようにみえる書状を幾つも偽造させては、津山や美作に忍びこんできている忍び連中にそれを盗ませる流れ作業。





特に、皇太子と一部で領地を接しているために大量の難民が流れ込み治安が悪化している南海公爵をターゲットに東河公爵を討ったときと同じ遣り口で皇太子が南海公爵領を狙っている、なんて文書を流したり。











南海公爵が国王に皇太子への召喚を要請いしたとの知らせが倉敷の貴族から届けられたのが工作活動三ヶ月目のこと。密告の御代はシチュエーションプレイでどうぞよろしく。



東河公爵と同じ手口ではめられると分かって手を打たないほど馬鹿ではないこの公爵。



ここ最近倉敷に戻ってきていないが今後の備州をどうするか一度膝を突き合わせて語らいたいという国王からの書状を建前として送らせたそうだ。


が、皇太子はそれをことごとく無視。

それどころか送った使者が帰ってこないという異常事態に。


親とはいえ、国王の呼び出しを無視どころか黙殺したことでいよいよ南海公爵は事態を憂慮、国王に対して皇太子の出方如何によっては廃嫡も視野に入れるべき、という話をしたと。





――街道沿いに使者狙いの暗殺部隊を配置して襲わせるだけの簡単なお仕事でした!!





並行して皇太子領には皇太子の息子が新しい皇太子になる、皇孫子が皇太子になれば年貢が減らされるとか色々都合のいいデマを流しに流し、最後にコソッと皇孫子が 南海公爵と手を組んだというデマを付け加えることで皇太子一家を完全な疑心暗鬼に陥らせ。








「御館様。皇太子が皇孫子を謀反の疑いで斬首したと皇太子領の草から報告が」

「残るは無能な敵ばかり、と」











ウチが拍手喝采で迎えた知らせも倉敷からしてみれば愕然騒然とする知らせでしかなく、皇太子廃嫡した後を皇孫子にするつもりだったのに肝心の当人がアッサリと殺される始末。



この国はもはや、と暗雲立ち込めたところに








「狙い澄ましたように春日参上、と」

「誰が見ても作為的です。ほんとうにごくろうさまでした」







春日の身辺警護と称して真庭から軍勢3千引き連れての帰参とあって、倉敷が緊迫した空気に包まれる中、その春日が公然と皇太子の廃嫡を主張した。

その理由として東河公爵を播州と手を組んで滅ぼしたこと、また近々南海公爵を滅ぼそうとしていることそれを諌めようとした皇孫子を処刑したことを挙げるにいたり、ついに国王が皇太子の廃嫡とその処刑を決断することになった。






「春日が備州の国王の座を方護にって、要求しなけりゃ皇孫子が死なずに済んだんだけど、要求されちゃったからねえ」

「生きているだけで邪魔になるからなんとかならない、という御要求でしたが、まあなんとかなるものですね」

「春日に踊らされていると分かっていても流石にあの皇太子は無いしなあ」

「ウチが散々な目にあわせた雲州の南部がまともにみえるほど酷い状況だと聞けば」

「略奪に行った山賊が一番身なりが良かったとか、流行語が村を捨て山へ帰ろう、だとか。むしろ五年程度でよくそこまで酷い状況にできたものだと」

「人間至上主義を掲げて獣人を迫害したことで経済が回らなくなったのが。まあ、御館様があれこれと回らなくなるよう手を回した結果といえば結果ですが」

「ま、皇太子とお別れしたら領地全域で大規模に補助金ばら撒いたりするから帳消しになるんじゃないかな」

「バレなければ問題にはなりませんからね」






――皇太子のリストラ(物理)が成功すれば殺されるリスクが格段に下がるし、お金は十分あるし、これでようやく平穏な生活ができるかなー


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