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怨み・はらさでおきますか

――信じられるか? 総社に来てもう四年、あの備前の敗北から二年も経ったんだぜ



「片山崩れ」以降の備州は、それまでの泰平が嘘のように緊迫した空気が漂う国となっていた。



ことの発端は独断で備前以東を統治下においた皇太子の政策。人外へのヒトラーやホーチミンを想起させる弾圧と、ソ連や東ドイツを思い出させる計画経済の導入。


この二つの政策が劇物のように備州全体を蝕んでいた。



特に問題となったのは弾圧政策で、農村で行われた皇太子の政策に従順であることを証明するための死体の掲示は、腐敗した死骸が原因となり疫病がいたるところで発生、それを獣人の呪いであるとしてさらに獣人を殺すという悪循環。



獣人であれば、住人だろうとよそ者だろうと御構い無し。他国の商隊の護衛であっても襲うという有様。


特にこの被害を受けた播州側は、この行為を、人殺害にかこつけた皇太子が主導する私掠として非難。

事態が沈静化するまで、交易を見合わせると通告してくる事態となった。


この結果、東の買い手が突如として消失することとなり、中央および西側の商業に大打撃を与えることとなる。



この打撃により、従来の備州の基本政策であった重商主義とその利益を源泉とする軍備拡充が狂うこととなり、目ざとい北の雲州は真庭や北山公爵領へと威力偵察を繰り返す事態へと発展。



また国の西側でも問題が発生していた。

それは「片山崩れ」の際に備前への援軍として出向きのちの騒乱で殺害された貴族への補償問題で、本来ならば備前一帯の領地を配分するなどの対応で済ませられるところを皇太子が独断で統治下にしたことで支払いに当てることができず、また交易収入が大幅に落ち込んだことで金銭での補償も困難となり、この二年なんの手当もされないという異常事態となっていた。



これについては、西原公爵や南海公爵が私財から捻出し、これ以上の内乱が発生しないよう凌いでいたが、やはり国への忠誠は悪化、特に皇太子の廃嫡論が取りざたされるようになっていた。




その問題の皇太子は、国王からの再三再四の召喚に対し、備前一帯の掌握が先決であるとして二年経った現在でも応じず、また倉敷からの問責の使者も十人送って十人とも都合よく反乱を企てた東河公爵の残党によって殺害されていた、という報告を返す始末。



倉敷では国王派の家臣が影に日向にいずれ皇太子は国王に反旗を翻だろうと囁きあい、それがいつになるかというのが時候の挨拶のようになっている、と言われるまでになっていた。



この時点で備州は三つに分裂している状態と言えた。


一つ目が国王派。二つ目が皇太子派。三つ目が王弟派。



もっとも三つ目の王弟派、つまり艮公の派閥は、先の「片山崩れ」の結果、最大の後ろ盾だった東河公爵家が取り潰し、艮公自身の軍勢も立て直しに時間がかかっており、実質脱落しているというのが衆目一致した見解である。



このため、国王派と皇太子派との争いがどうなるか、というのが備州はもとより周囲の播州、芸州、讃州、雲州の関心事であった。


国王派は南海公爵と西原公爵が、皇太子派は北山公爵が、陣営の中心として動き、落ち目と目されている王弟派への切り崩しを強めており、切り崩しが一段落ついた段階で、雌雄を決するのではないか、と見られていた。



この根拠として、皇太子が本拠地を岡山から離れた赤磐へと移したことがあげられる。

皇太子の言い分としては、備前に少しでも近い場所で指揮をとるためとしているが、国王派からは倉敷との間に隔てるものがない岡山を嫌ったからというのが一致した見解だった。






その空気はそのままこの総社にも蔓延していた。



国王派の貴族の子弟が暮らす場所と皇太子派の子弟が暮らす場所が東西に、国王派が倉敷寄りに皇太子派が岡山寄りにと緩やかに分かれつつあった。




――商人には関係ないと言えれば良かったが、懇意の貴族がどちらの派閥かで商いに支障をきたすようになった、なんて話まで出てきたしなぁ……




うちはホールディングス制とったから、看板架け替えただけの商店がいたるところに食い込んでるんで関係ないけどね。



「しかし二年か」

「もう、とつけるかそれとも、まだ、とつけるか。なかなか悩ましいですか? お館様」

「扇としては、どうなの?」

「もう、でしょうか。仕込んだ赤児が独り歩きを始めるだけの時間ですから」

「あー、まぁそうだねえ」



さらりと扇が悩ましい問題に触れてくる。


問題というのが、「お義兄様」接待で出来た御落胤ズのこと。無事に産まれすくすくと成長している訳だが、このうちの半分近くが「片山崩れ」で取り潰しとなった家の子だということ。


相続権は放棄してるといえども、山中鹿之介とか大石内蔵助みたいなお家再興Loveな家臣とかにバレたら面倒なことになるよなぁ、とため息の材料。


実際にため息をつくと、子供に罪は無いしそもそも計画したのは貴方でしょう、と扇に頭を突かれる。



――変わったといえば、いなくなった者の分までスキンシップをしてくるようになったのも変わったことの一つか



あの一件は、戦力だけでなく、人の温もりも奪っていた。それを埋めるようにして、人と交わり仕事を作り縁を繋ぎ拡げていってはみたものの、こうしたふとした弾みでそれは顔を覗かせる。



真庭方護の変化はそれ以上に苛烈だった。

浦上春日は未だ生死不明のまま。備前ではその生死が確認できるものを見つけるだけで一生遊んで暮らせるだけの大金が皇太子から払われるとの話もあるなか、この総社から離れることはなく、ただひたすら剣の腕を磨いていた。



――いまではすっかり開幕斬鉄剣の達人



剣一筋というかなりののめり込み様でむしろ取り憑かれてるんじゃね? という具合だったので、たまには剣以外をと勧めれば領地経営を学ぶように。

あの脳筋が……、などとちゃかせる雰囲気などどこにもなく、贖罪かのようにひたすら剣の腕を磨き、経営学を修めていた。




――不幸中の幸い、実地で領地経営の勉強ができるしね







正直なところ、皇太子の人外排斥政策は長生きな身としては、さっさとやめて欲しいが、情勢が情勢。

とはいえ、やめてお願いプリーズ、と陳情したところで効果がないのは目に見えている。


なので、皇太子が国王に反旗を翻したところを潰す方針に切り替えていた。

それも、政軍両面で、だ。






「片山崩れ」の敗因は、領主を向こうにまわして勝つだけの基盤がなかったことが原因。そういう総括してからの方針は単純なものだった。



――乗っ取り上等




「片山崩れ」によって、また以降の皇太子発の不況の余波でぐずぐずになった貴族をピックアップしては、煩わしい領地経営など当商会に任せて倉敷で優雅な生活をしませんか、とカモ探し。



――領主がアホだから経営ができへん!



貧乏な貴族は前例踏襲主義だったり、誤った制度を導入して自分の首を締めていたり、イエス=マンしか揃えてなかったり。

働けど暮らし豊かにならず、という生活を送っていた。それは、総社の子息の暮らし振りをみているのでよくわかっていた。



そんな貴族に、三色昼寝付き。毎月領地を自分で経営しているのと同じかちょっとだけ多く金が入ってくる生活ってどうですか? と勧誘する訳だ。

生活費支給? ベーシックインカム? 生活保護?



――働きたくないでござる!! 絶対に働きたくないでござる!!



一人転び二人転び、コロコロと転び始め僅か二年で、とある侯爵から備州屈指の街である高梁の経営まで請け負うまでになっていた。


貴族の階級でいえば、公爵の次である侯爵級から受託している、というのはいい売り文句になったようで。



――やっておいてなんだけど、こんな経営で大丈夫か?




雇われ経営者として受託した領地に次々と商会の支店を進出させ、領地ごとの得手不得手をやりくりさせることで備州内部にウチの商会による経済圏を作りだす。


具体的には、備州という国の中で対皇太子派へのブロック経済導入するような所業。


――もちろん、表立ってやるようなこともしなければ、バレるようなこともしないように努力したし



当初見込み通り、複数の貴族の領地をまとめて運営することでかなりのバイイングパワーが確保でき、いままでの茶だの塩だの絹だのといった諸々の購入額や売却額との差額分だけで貴族への生活費のかなりの部分がまかなえるほどで。



実績だしてるんだから領地経営に余計な口出すな。口出して収益減ったらテメエの収入からさっ引くぞ? と、牽制して着々と皇太子を敵国とした戦争準備を推し進め。




――バレなきゃ犯罪じゃないんですよ




皇太子領は播州との国境一帯、海岸部から山間部までうなぎの寝床のように南北に長い構図。


内陸部に位置する艮公とは異なり塩で足元をみて金を巻き上げるやり方も取りにくい。



何か一つが突破口というよりは、揺り籠から墓場まで、満遍なく圧力をかけて潰していくのがコチラの手口。



ざっとまとめるとこんな構図?

政略が長寿族でも生きてける世の中のために人間上主義者を滅ぼせ。

戦略が国王が在命中に今の皇太子に反乱を起こさせてコレを滅ぼして人畜無害なのを皇太子にする。

戦術は使えるものなら猫の手でも使う。フルバレルオープン!! みたいな。



とりあえずこの二年、滅ぼされた東河公爵などに仕えていて皇太子に登用された家臣達の家系を洗って、少しでも獣人だったり長寿の血が混じっていればそれとなく不安を煽る行為を繰り返していたり。


皇太子は純血主義者だから備前の混乱が収まったら難癖つけて殺されるよ、とかね。



――だから、バレなきゃ犯罪じゃないんですよ



お陰で既に二、三十人が引継ぎが終わったから辞めますという扱いで寝返ってたり(一部家系図偽造を含む)。



――だから、バレなきゃ(略



代官級をかなり寝返らせた甲斐あってか、備前一帯の政情は収まらず。

なんかなかには梁山泊ごっこ始めた地域があったり?



高梁とか経営してる領地で、野盗団による襲撃が頻発してるので常設の軍隊用意します、って自作自演するつもりだったのでコレに便乗したり。



梁山泊そのものは備前一帯から出ることは無かったが、エセ梁山泊はぽこぽこと雨後の筍のように出てくること出てくること。



「片山崩れ」の際に、貴族に雇われたはいいが賃金未払いのまま貴族が取り潰されて、借金返済出来ずに食うに困った傭兵連中がその正体。



当初予定じゃ、借金のかたに商隊襲えってやる予定だったのに、タダで自発的に襲ってくれるとかマジ親切。



傭兵が8人いるから大丈夫だろうと襲いにきたので、農民上がりを延べ100人ぶつけてみたり。


餌に釣られて襲撃にきては失敗して逃げ出し、別の餌に釣られて襲撃にきては逃げ出し。



エンドレスエイトで、経験値を稼がせて頂きました。あざーす。



まあ、飢え死にしないように食糧だけはワザと成功させるんだけど、……いつからそれに毒が入っていないと錯覚した?



たっぷりと青いうさぎが見えるようになるお薬盛り込んだ食事を三食取り続けた結果、みごとに末期の戦場に出てくる錯乱兵役にジョブチェンジ。


切られても笑い、刺されても笑い。



もうろうとした意識の中で奇声を上げて商隊を襲いにくる野盗に涙しつつ、ウチの部隊に所属した連中の成長具合にびびったり。

半年経たずに自作自演の野盗以外を蹴散らすようになるとか。

その面子の中に、



――野盗殺し、とか呼ばれるようになった貧乳の女傑がいますよ?




そいつが、竜破斬とか言い出したら逃げるんだ、俺。






「飛び抜けた才能持ったのが相変わらず釣れるわけだが、戦乱期ってこんなもんかね?」

「戦乱の種を蒔き続けるという点ではお館様も変わらないのでは?」

「失敬なことを言うな。俺のは単に打つ手が裏目に出やすいだけだ」

「結末はみえた! とか仰ってからのどんでん返しがすっかり板につきましたし」

「備前からの難民だと思ってたのに伯州からの難民とか無いわー」

「下心などないに決まってる、と断言して手を差し伸べた童女が実は亡国の姫君」

「相手の言ってることを鵜呑みにした結果がご覧の有様だよ」

「お陰で雲州から飛んでくる虫の量が酷いことになりましたし」

「北の国境、弾幕薄いよ?! お手軽なアイシクルフォールでも撃ってんの?!」



一難去ってまた一難。

昔の祥と要を彷彿とさせる姉妹を餌付けしたところ亡国の姫君というイタい設定が発覚したり、やはり生きていたか御覚悟!! とかはしゃいだ鉄砲玉が飛んできたり、亡き殿への御恩に報いるために!! とか、ウチと関係ないところでやって欲しかった。



こういう「おい、のび太。いいモノ持ってんじゃんか。ちょっと亡命政権立てて隣国挑発してこいよ」みたいなイベントは、政敵に邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。



ということで、上半身の理性がお引き取り下さい札を建てようとしたところ、下半身の理性がそれを捨てるなんて勿体無い、と。



――よくある、よくある、と自己弁護



あってもらっちゃ困るんだけどねッ!!



勿体無いお化けが出そうなので今日からウチの子にしますと宣言して、また病気が再発したかという扇らの冷えた目に晒されて涙目になりつつ、身元だ置かれた状況だのを調べた結果、人生の難易度がガリガリとアッパー入ってたことが理解できました。




――こんな無理ゲーで大丈夫か?!





今は雲州に組み込まれているものの、備州の北の国境は伯州という国だった。


それが雲州からの電撃戦で首都を落とされたのが今から五十年前のこと。

以降、伯州全域で雲州への抵抗戦が散発的に行われ、例えば要や祥の一族「語らずの咆声」も雲州への抵抗戦を仕掛けたりと、この五十年毎年のようにどこかしらで蜂起が起きては鎮圧されていた。



いいこと探しをするなら、備州的には伯州が鎮圧されてないから雲州が本格派の侵攻を仕掛けてこなかった、ということか。



――というか、なんで散発的に蜂起するの?バカなの? マヌケなの? それとも死にたがりなの?



吊られた伯州国王はウンザリ系の絶倫だったらしく国内の方々に御落胤こさえてたようで、それが直接蜂起してた最初の二十年、御落胤の子供が御輿として担ぎ出されて蜂起してる今にいたる三十年。


一年に御落胤が四、五十は仕込まれてたとかなんとか。



拾った童女は孫の代らしいけど、家系図的には王位継承権が行方不明なのを除けば第一らしいですよ?



――そんな一番クジいらないんですけど



首都陥落時にたまたま郊外にいた皇太子の末娘。

御年70の時の娘だそうで。



――ここの王族は皆生涯現役かっ?!




頭に詰まってるのが軽石だったり漬物石だったりした兄姉は、煽てられた豚か煙のように御輿に乗せられて蜂起してドナドナのようにそのまま磔台送られたり行方不明になったり。



乳母がまともだった末娘は、御輿として担ぎ出そうという伯州の部族の魔の手と、そろそろ伯州を鎮圧し終わりたい雲州の王家の魔の手を掻い潜り、今日まで無事に生きてきたそうな。



そのまま静かに暮らしてれば良かったのにね。と言ったら貴方がお嬢様を見初めさえしなければとマジレスされた。



――だから責任とってなんとかすることになりましたよ?










責任取って国を取り戻すとか、ガルーダとかガルムとかそういうコードネームを真顔で使う人達に頼むべきだと思います。



――だってのに、方護君が乗り気みたいですよ?



とりあえず、それは代償行為だから止めたら? と釘を方々から刺させたのに。



――乃公出でずんば他にあらじ


と言って動いたとか。



大体、親の跡継いだら、マジで雲州、元の伯州との国境を統治するんだし、爆弾抱えるの止めない? ダメ? どうしても?



――男の涙目は効果が無かったようだ!!




今度こそ護るんだ、と意気込む方護君の後ろ姿に、これで末娘が方護に惚れれば実は生きてた皇孫女が出てきて修羅場するんですねわかります、と言っていたのが、まさかあんなことになろうとは……。





この時点では、ことここにいたっては、と言いながら伯州の残党に備州に皇太子の末娘がいるらしいよ? とお気楽に一本釣りを仕掛けてた訳だ。



思っていた以上の釣果でどうしよう……、とか言ったりしてたけどね。

あまりにも移動希望が多すぎて、街一つ分がゴソっと動くとか、止めない? ダメ? どうしても?



――男の涙目は効果が(略




雲州の何度目かの威力偵察に便乗して真庭へと大量の移住を行った訳だが、獣人が大漁すぎて皇太子派への挑発行為にしかなってませんよ?






予想外が重なる時は重なるもので。



――予想外が重なって、予定通りのほうが予想外、とか部下から言われましたがなにか



元の伯州から出奔してきた獣人連中の生活の場を真庭に用意するのじゃー、とせっせと開墾を進め、開墾した農地で出来たものを買い上げて農家に金をばら撒きつつ、伯州の特産品と称して備州一帯で売り捌いた結果、倉敷の官僚どもが色気を出しすぎて開墾地を伯州自治領とか呼んでトップに末娘据えやがりましたよ?



――金は出さないが要らん口は出す、とかなます斬りにしてやろうか



オマケに世が世なら伯州の王女だし、と備前の純血政策の結果空位に戻った皇太子妃の座を薦める始末。

これに対し、末娘はやんわりと混ざり物ゆえとか言って断った上で、地縁も歳も近い方がとか言って方護を指差したらしいですよ?




――そうは言っても君、十歳だよね?



そら五十近い北山公爵とか三十超えたその息子とかよりは近いけどさ。方護君だって気がつけば20歳目前な訳ですよ?

セーフ? アウト? よよいのよい!




未熟ゆえ、と行方不明扱いのままの春日に未練しかない方護君がやんわりと言えば、納得いく時まで待ちます、と方護の事情を知った上で返す末娘。



――末恐ろしい娘!!




末娘を抱き込んで伯州の継承権を獲得したかった官僚連中は地団駄踏んだとか踏みすぎて床が抜けたとか色々あったようだけど、伯州自治領が難物になっていた。





――やべぇ


伯州の各部族の御落胤を担ぎ出しての蜂起熱を舐めてた。


伯州では部族といっても獣人のことだけを指す訳ではなく人間のことも指すらしい。


末娘の乳母に聞いたところ、伯州の王家は結構な頻度で反乱やら隣国やらで滅ぼされており、その都度王家の遺児が担ぎ出されて国を再興、担ぎ出した部族は重要な地位を占めるということを繰り返しているそうだ。


ある部族単独で再興させたケースとあれば複数部族の連合で復興させたケースもあり、と。

中には隣国の力を利用して再興させたケースもあり。

今回の末娘のように隣国の力が利用出来そうだ、ともなると時期を見計らっていた部族や日和見を決め込んでいた部族まで、勝ち馬に乗り遅れるな、と大集合。



気がつけば伯州からの転入数が元の人口を上回るという嫌な数字が商会、真庭の二箇所から届けられてさぁ大変。


植民地化かエルサレム化か、このまま手をこまねけば特大の火種にしかならないこの状況。



――どうする? どうするの俺?!



って言いたながら選択できるほど手札が潤沢な訳もなく。



伯州との国境を完全に越えなくてもいいんじゃね? という末娘談話を簀巻きにした方護君と引き換えに引き出したり、それでもわんさわんさと人口が流入しては真庭一帯が開墾されていき。





ヒエとかアワとか芋とか食ってる分には食糧自給率が100%というところまであっという間に到達。



ガッチリと根を張った伯州御一行様。



餓死されたらヤバイし、と総社から開墾専な学生を大量動員した結果、あぁ、山が、山が、耕作地に、耕作地に!



名状し難いクワを振り回した開墾部隊によって荒地や沼地、傾斜地だろうと農地や牧草地に作り変えられてゆく。




――なんということでしょう!!




あまりに農地を作り過ぎて、そのまま耕作すると備州内の穀類の価格がデフレスパイラル決めるほどの量になりそうだったためほとんどを、酒だ味噌だと加工用としてさばくことに。



加工食品作る人手として移民を働かせれば雇用不安も起こりにくいだろうし、とそう思っていた時期が私にもありました。




普通に卸してもデフレスパイラルするんだから、加工品にしてもデフレスパイラルするのは当然だよね?




作ってみた、をしたところ備州内でさばき切れず、じゃあ隣国に売ろうかと持ち込んだところ価格破壊もたいがいだったらしくバッタバッタと隣国の蔵元が潰れてくことに。




驚いたところで後の祭り。備州が経済戦争を仕掛けてきたなどど播州と雲州からプロパガンダされたり。

芸州では当面備州産のものには関税かけさせて貰います、と言われて、備州国内の他の商会から睨まれたり。


讃州からはうどん用のしょうゆを要求されたし。





これらのことが心労で真庭が代替りしたというのがまことしやかに囁かれた訳でして。





――no more donndenn, no more nanameue!!


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