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これはコネですか? いいえ生首です。


目を開けるとそこは異世界だった。――以上。



風邪薬の用法容量を守ってたし、ドラックなんぞに手を染めてないのにこの仕打ち。



さて、ここで質問。

異世界行きキタコレと判断できるできる材料とはなんでしょうか?



答え。

いたるところに転がる死体の山。



薄暗い原生林の中、中天にある太陽に照らし出されているのは、



斬殺、刺殺、撲殺、圧殺、毒殺、轢殺。幸福なのは義務ですよ?





朝食のハンバーガーが胃の中どころか腸の中からリバースする勢いで盛大に吐き散らかすだけ吐き散らした後、鉛のように重くなった身体を引きずるようにして、死体も内臓も血も落ちていない斜面に腰をへたり込ませた。

そして死体の山を眺めることで気がついてしまったことが口からこぼれ落ちる。




「コスプレ集団が大量殺戮されてるんじゃなけりゃ、……ここは戦国時代か?」




自分で言ってそんなバカな、とあっさり否定する。

そう、着物姿どころか鎧兜をまとった連中が死んでるだけだったら戦国時代でOKだ。ところがどっこい、死体の中に猫耳だ犬耳だが混じっているときた。



「おまけにテメエの耳まで長くなってるとか、どういう罠だよ」



そう、訳がわからないと頭をかこうとして後頭部に伸ばした手に引っかかった耳を撫でること二回。

ゆっくりと耳から顔、胸、股間へと手を移動させて確認したのはアイデンティティ。


自分が自分である唯一の証拠が先ほど吐いたゲロの中身ぐらいじゃないかという事実に愕然とし、改めて確認した事実はたったこれだけ。



胃の中から出てきた朝食ったもの。

家を出る時にきていた衣服。

灰色の脳細胞。


そして綺麗さっぱり別人の身体。

それもエルフ。



これで女になってたら色々とアレがコレしたりあったんだろうが、男だったのでセーフ。

……ああ、女エルフだったら=陵辱ルートありそうだったけど。

危なかった。

あとはここが戦国時代だったとしたらお稚児さんコースさえ潰せば……。




そんなことを心臓の音が耳まで響くほどの混乱の中で考え続けているうちに日が傾き始めていた。

冷たさを孕んだ風に肌を撫でられ、ぶるりと震えることで、初めて、その場所に死体以外の、何かが動く音が耳に届いた。



誰か生きている。



それが理解できるようになったのは、引きずるような音が揺さぶるような声に変わったころだった。

まったく人気のない森林だからこそ、その声の切迫感が良く理解できた。



その声に引かれるように、後に引きずる跡に導かれるようにして声の元へと足を向ける。

その時になってようやく死体の山が二色に分かれていることに気がつく。



一つは身綺麗だったであろう着物姿のもの。もう一つは身元を隠していたのかのような鎧兜のもの。

数は鎧兜の方が少なかったが獣の耳や尻尾を見せたものが多くよほどの手練れだったのだろう、折れた木々、鎧武者に群がるようにして刀や槍を突き刺し果てた大勢の着物姿。


場所は人気のしない森の中。どうみても暗殺とか御家騒動とかの単語がついて回るシチュエーションに、今だに聞こえる誰かへの呼びかけ。



――お姫様だとかだったら回れ右したいなあ、これ



たどり着き、その姿を見たとき生きていることにむしろ驚いた。

「姿」が「欠」になっている程度。


それが視線の先、横たえられた男の姿だった。

道すがら地面を覆っていた死体と比べて質の良い着物姿が



「この森に」



吐き出すだけ吐き出してしまったのだろう、男の口からは浅い呼吸以外に漏れるものが無かった。

そしてそれは男の寿命がほんの僅かしか残っていないということでもあった。



「長寿様が居られるとは」



だからだろう、自然、遮るような言葉が口をついた。



「遺言があれば」

「かたじけない」



その言葉に笑おうとしたのだろうか、男の顔が歪む。

声を聞き取るために、自然、腰を屈め男の顔元へと耳を近づける。

視界の端、先ほどまで男へと呼びかけていたのが女だったこと、そして信じられないものを見る目付きだったが、それも男の言葉が始まることで意識の外へと飛んでいった。



「我が父に先立つことの詫び、あ、アレになお婚姻を、の、望むのであれば」



そこで一息。



「方護を、と」



親と婚約者へだろう言葉を吐き出した男の身体からはゆっくりと熱が抜けていくのが感じとれてしまった。

自分が男の背をあの世へと押し出していることが嫌でも理解するしかなかった。



「その、ほうご殿へは、なんと」

「許せ」



最期、笑おうと歪めた顔が力尽き、寄せていた耳を打ち、



「重護様!!」



女の甲高い悲鳴が耳を刺す。

TVのサスペンスでよく見かける虚ろにあいた目蓋に触れると、ゆっくりと下へと手をおろすことで閉ざす。そしてだらりと開いた口もまた。そうでもしなければ、正視に耐えられなかった。



それだけのことをして亡骸をゆっくりと地面に横たえると、それをほうけた顔で見届けていた女へと声をかける。



「遺言を届けるのに道案内と護衛を頼まれてくれないか」

「あ……」



正直、この女の身分が分からないが従者だとすれば、また戦国時代な文化感だったりすると殉死、なんて選択肢を取りかねないことから、こんな山みたいな場所からどこだか分からんところへの旅を一人でしたくない、という自己都合からの言葉だったが。

どうやら言葉の意味が理解できたのか、女がほうけた顔のままこちらへとのろのろと頭を下げ平伏の形をとるが、




「長寿様におかれましては、我が主真庭重護が最期を見届けて頂いたばかりか」




言葉はそこまで、女の身体は崩れるようにして横倒しとなってしまった。

どうやら張り詰めていたものが途切れてしまったようで、首で脈があるこを確認すると、男の血で濡れていない地面に仰向けに転がし頭、首、肩、腕、手の平、脇、背、胸、胸、腹、腰、尻、尻、太腿、脛、足の甲と一気に手を這わせ、目立った外傷がないことを確認する。



「こいつも耳がちょっと長いのな」



ひとしきりさすった後、顔を眺め気がついたことをそのまま口に出す。

目鼻立ちはエルフ、いやさっきの呼び方だと長寿族なのか? の定番通り綺麗なもので、「じゅうご」と呼ばれた男の小姓役だったのだろうか?


まあ、こんなのが小姓としてあてがわれたら間違いを侵さない自信があるな。

しかし、起きるまで……、路銀だとか情報になりそうな物だとかを頂戴するかね。



さらりと落武者狩り遺品の剥ぎ取りみたいな思考が頭に上る時点で、相当この空気に当てられていることは自覚したが、ここまで人が簡単に殺されるような状況でなんの手掛かりも掴まずに惚けて待つのはアホのすること、と割り切るしかない。


これからすることを説明抜きに見られた場合の面倒を考え、寝かせた女にきていたジャケットを被せ、「じゅうご」の物だったろう脇差を拾い上げると耳に神経を集中させる。自分以外の動く音がしないことを確認するために。



「剥ぎ取り中に道連れにと襲われたら殺される自信があるしなあ……」



何分待っただうか、辺りが葉のこすれる音以外まったくしないことを確認すると、「じゅうご」から近い死体から順に眺めてゆき目当てのもの、長槍を探しだす。



「これで突いて死んでることを確認してから、とか」



自身のイメージとしては無双の趙雲みたいな構えだが、見ればへっぴりと嘲笑されるほど引けた腰のまま、「じゅうご」を襲ったであろう鎧武者を見つけだす。

周囲に七人ほどの死体を作って死んだであろううつ伏せの熊のような姿を見つけると、その首元へと槍を突き立てた。



想像以上に槍先が身体へと潜り込んだことで、叫び出したくなるような反応が手、腕へと伝わってくる。わずかに槍を捻るとそのまま抜き取ると、抜き取りの勢いを利用して槍を手の平で滑らせると、槍先の血を確認する。



「死んでる、か」



これで生きてるならコレステロールで死んでるだろうと言わんばかりのドロドロの血が槍先にへばりついていたのを確認すると、槍をくるりと返すと槍先とは逆、石突で死体の肩を押し出し仰向けに転がす。


転がした勢いに負けて割れ裂けた鎧からは腸が千切れたものそうでないもの諸々がこぼれ落ちる。

果たしてこれが辺りに転がる刀で作れる傷なのか、と疑問符が浮かぶような裂傷に腰がさらに引けつつも鎧を結んでいるだろう組紐をにあるを脇差で切っていく。




両手で抱えきれなくなっては、「じゅうご」の元まで戻っては、鎧武者達の遺品らしきものを並べる作業を繰り返す。


悲鳴を上げるでもなく、絶叫を上げるでもない鎧武者への作業は三回を超える辺りから単調な流れ作業となり、僅かな時間で終わってしまい、それでも従者が起きないためならばと「じゅうご」の側であったろう。

頭が残っていれば髪を切り、背負った袋の中から銭形のものや家族か誰かに送るために買ったであろう品と一緒に身につけていた布地にそれを包んでいく。


羅生門とか蟹工船とかそういう何かを捨てた流れ作業をすること五十四回……。




その全てが終わってなお目を覚まさない女を見ながら、これからのことを考える。



1.自分のこと:ここはどこ?

2.女のこと:具合の確認、身分の確認、協力の可否



――協力が得られるなら、「じゅうご」の身分と、なにか襲われるような……、ヤバイ……。のんびりこの女が起きるの待つとか頭がどうかしてた?



舌打ちを一つ打つと女に被せていたジャケットを引っぺがすと、その頬を遠慮なく叩き目覚めを促す。



――そうだよ、暗殺とかだったら失敗したときの二の矢三の矢があるだろ



五回叩いてようやく目を覚ました女に向けて、漁った遺品にあった血で汚れのない着物を胸元に押し付ける。



「聞きたいことはあるが、まずはこれに着替えろ」



ぼんやりしているだろう頭であると頷いたとみて、すぐにこちらも着ていたシャツやズボンを脱ぎ始める。

シャツがゲロ臭くてズボンとパンツがアンモニア臭いのは、最初のインパクトが強すぎたからなんだからね?



「ひっ!!」




剥ぎ取った水筒の水で濡らしたこれまた剥ぎ取った手ぬぐいで股間だ太腿だと垂れたところを一頻り拭うと、やっぱり遺品の着物を身につけていく。

剥ぎ取りのために脱がせることで着付けを覚えるとかあり得ない。




「あ、あの……」



褌を締め、



――ああそうですよ。下に履くもの回収する際にばっちり確認させていただきましたよどうですか!! ファンタジー陵辱物で獣人系にヒロインが「ビーストパワーらめぇぇぇ」言ってるようなのあるけど、

ぱっとみ人類範疇超えてなかったね。長短大小うっかり出ちゃってた量も含めてね



嫌な事件を思い出しつつ、ズボンと構造が変わらないものの帯を締めるとその声に振り返る。

上半身起こしただけの女の姿に、



「身体が目当てなら寝てるときにヤってる。他所向いてるからさっさと着替えてくれ。とっととここから離れるぞ。ここまで待って助けが来ないからといって、追っ手も来ないとは言えないから。さあ。ああ、遺品だ証拠品らしきものだは寝てる間に、そこに集めてあるから、あとは逃げるだけだから」



まくしたてるように言葉を並べたことで、ようやく女は「じゅうご」の整えられた遺体と傍並べられた布地の塊に目をやると、頷きのろのろと立ち上がると御無礼を、というとこちらに背を向けるでなく半身を向けて着物を脱ぎ始める。



ばさりとはだけられだ胸に目が吸い寄せられたのもつかの間、背中の袖から腕を抜こうと動かされた背中に目が釘付けとなった。



「龍が泳いで……」



電子看板も裸足で逃げ出すほどの滑らかさで、女の首から腰、尻から脚へと続く肌の上を、龍の顔が、角が、腕が、胴が、尻尾が駆け抜け消えていった。

こちらの言葉に身体を僅かに震わせ、押し付けていた着物を手早く身にまとうと、こちらへと平伏する。

なにか謝罪の言葉が始まりそうで、時間の浪費、誤解が怖く、



「私は藤堂(とうどう) 成実(なるみ)という。あとは記憶がない」



先手を打った。



――「じゅうご」の言葉からするとこの体というか種族は崇められるような身分らしいし、そう変なことにはならないだろう。それに自分に馴染んでいない名前は偽名だとバレると信用問題とか火種にしかならないしなあ。しかし「記憶がない」とか吾輩は猫ですね。さて、こちらがノーガードになったところでどう振舞ってくるやら



「記憶が?」



言葉の意味が染み込んだようで着物の合わせを揃えていた女の質問に首を縦にふる。




「記憶が確かなのはここ、そうあの辺りに突っ立っているところからだ。ここがどこで、自分がどうしてここにいるのか、そもそも自分がどこのだれかがさっぱりでな」




――私の記憶が確かなら?、だったら「料理の鉄人」だったな




「だから、ここで『じゅうご』殿と呼ばれたか。彼に何があったか、彼の遺言をどこへ運べばよいか、諸々道中で教えてはくれないか?」



その言葉に女が



長田(ながた) (おうぎ)、と申します」




それが、後々百年続いた彼女との馴れ初めであった。






本来通るはずの道を山を一つ越え、遺品から頂戴した路銀と引き換えにした馬の上、ここまでに聞いた話をまとめ、呆れ果てる。




「欲目か負い目か嫉妬か、いずれにしてもそれで兄を殺すか」



追っ手が怖いからと、わざわざ向かいの山に登って大回りをして、真庭重護が住んでいた街へと行軍中に聞いた内容はため息の出るものでしかなかった。



長田扇が仕えた真庭重護(享年29)、引いては真庭家は、街の名になっている通り、真庭を治める領収であり、この備州北部で隣国雲州との国境を守護する辺境伯の嫡男だった。

相当に優秀だったようで、国境での小競り合いといえども軍を率いて戦に勝利すること二度、武勇はいうに及ばず、治政についても備州の学問所でも指折りの成績を残し将来を有望され、不幸続きで伸び伸びとなっていた婚儀も間近だった。



――なにそのエリート



そう、次男からすれば、そんなエリートが兄なのだ。それも年子の。

四六時中兄と比べられ引き合いに出され、勝手に将来を憂われ、ある種のテンプレとしてみごとにぐれた。



兄さえいなければ、そこそこに優秀でありそれなりの評価を得られ他家にも婿入りできたであろう身も、兄との比較が先立ちそれなりの評価すら認められず。

兄さえ、と思うに時間はかからず、とそこまでは理解できた。



「それにしてもどこをどうすれば、兄以上になれると錯覚するようになったのやら」

「……それは」



成実の前で手綱を捌く扇の口も重いものとなる。

重護の暗殺に関わったのは、隣国雲州の暗殺も生業とする探索者だろう、ということだった。



改めて扇の口から出てきた情報を整理すると、


国家としてはここ備州、境を接するのは北にある敵対中の雲州、東に播州、西の芸州、南は海を隔てた讃州。政治は、どこも王侯貴族による統治で、真庭家は伯爵だそうだ。


種族として多い順に、人間>>>>>獣人>(越えられない壁)>長寿、だそうで、大きな国ならいざしらず、小さな国では一人の長寿もいないこともあるらしい

獣人というのは、祖先が獣と交わったとも獣の加護を得たからとも言われる犬系だったり猫系だったりと複数いる種族をひとまとめにした呼び方だそうで。

そして自分が成っている長寿というのは、名の通り、長い時間を生きる種族だそうだが、あまり詳しいことが知られていないらしい。

長田 扇に耳が長いことから、そうなのか? と尋ねたところ、かなり長い間押し黙られた上で、どの程度なのかは知らないが長寿の血を引いているが、まがい物として疎んじられていると説明された。



文化というか技術というか魔法が使えるようで能力順にすると頭数に反比例するのか、長寿>(越えられない壁)>獣人>>>>>人間、だそうだ。神代の話で長寿によって海が割れた、山一つが吹き飛び平地になったなどの逸話、身近なところで獣人、強い人間だと、あの現場で見かけたような刀の一振りで大斧で切り裂いたような傷がつけられたりとするそうだ。

もっとも人間で使えるのはごく一握り、それこそ貴族だとかその親族ぐらいしかいないらしいので、なんらかの遺伝だろうか?



で、魔法が使えるのは獣も同様だそうで、魔法が使える獣のことを魔獣とよび災害として駆逐するのだが、それを生業にするもののことを探索者と呼んでいるのだそうだ。どうもこの備州の前の宰相が、組織的に魔獣を狩るなら専業の組合を作ればいいじゃない、と言い出して出来上がったそうだ。生業になるほど魔獣の数が多いのかと聞いたところ、ある程度までは減らせてもまたすぐに増えるらしく、仕事としては実入りが良い部類だそうだ。当然、死と隣り合わせだそうだ。んで、死にたくない探索者が街中の仕事などを受け持ったりで、よろず屋、何でも屋になってきているらしい。




話を戻せば、何でも屋、それこそかなり暗い仕事まで受け持つものもいて、身包み剥いだ中に、その連中が好んで身につけている図柄があったこと、それが拠点とするのが敵対中の雲州であること、襲撃されたのが真庭が人目を避ける際によく使う道であったこと、を加味し、兄弟関係を聞いたことで、次男がクロという結論に至った訳だが。


当初、山を一つ越えたことで、真庭の街まで歩きで三日程度の距離と聞いて歩きを選択していた訳だが、人気のない山中をポツリポツリと言葉を選び話す扇と言葉の意味を問い直すこちらとで事態の把握に半日を費やし出した結論は今回も、\ ヤ バ い /、というものだった。



敵国拠点にしている連中が、国境を守護する家の御家騒動に協力的とか、弟が寝返りフラグ立ててるからじゃね?


何にしても、重護が婚約者に遺した「三男」という言葉の意味が重たすぎる。重護自身にはこの騒動を内密に処理する算段が見えているからこその遺言だったんだろうが。



結果として、道沿いの農家に大枚はたいて馬を一頭買い受け、扇に手綱捌きを丸投げして、こっちは腰にしがみつくという醜態で山道をひたすら急ぐということになった。



――そうそう、馬に水を飲ませるために休んでいる際に、扇に褒美が貰えるようなら君が欲しいんだけど、と言ったら何ともいえない表情浮かべられた



後日聞いたところ、あの時点では殉死を考えていたのと、半長寿、長寿のまがい物として疎まれていると説明したのにそんなことを重護様以外から言われるとは思っていなかった、とも言われた。







「姿は和風だけど建物洋風とかじゃなくてよかった」


真庭に入った直後のそんな感想はさておき。

真庭の街に入る際だけ次男またはその誰かが網を張っている可能性を考慮して行商人の振りをしていたが、飛ばしに飛ばした結果、当初なんとか重護が到着する予定だった日の二日前に真庭へと滑り込むことができた。


道中、なぜ、ここまで急ぐので? と扇から言われたが、どうやら彼女自身はさほど学がないようで、次男が結果の成否を確認するなら街に入るまで、おそらく重護が真庭に入る二日前の場所で一度はとるだろう、と。


あっさり返り討ちどころか身バレしてるなら次男は逃げる時間が必要だし、手負いなら始末すればいいけど真庭近郊じゃ人目が避けられるかわからない、後はなにかあったときに情報伝達にかかる日数

を考えれば到着二日前がその限度じゃないか、なら確認の者が真庭に戻る前に事を収めるなら今日しかないという予想と判断を伝えたところ、蛇蝎を見るような目で見られたし。



わからなそうだから説明したのに愚痴ったところ、使用人にそこまでの学を求めよう与えようという発想そのものが稀有だと後日言われたが。



結論だけ言えば、次男は夕食、こっちでいうと夕餉の席で、重護の脇差を掲げ火急の報せとして当主に報告に上がった扇によって脇差の一振りで首が飛んだ。



乱心か!! と叫ぶ家令の声にワラワラと、リアル 出会え厨体験とか、そのまま流れるようにして庭で腹を切ろうとする扇を蹴り倒して脇差取り上げたり、長寿が間者か? と叫ぶ家令の声にワラワラと以下略。


家令マジ出会え厨。



扇を殺されないように足元に確保しつつ、遺品の包み込むを解き敵対しにきてるんじゃないとアピールして、何とか当主に重護の遺言を伝える。事前に家令の嫡男の遺品を取り出しやすいようにしておいて良かった。あと少しで家令自身が斬りかかってきそうだったからね。



三男の方護に「許せ」と遺言を伝えたのが気まずさのピーク。なにせ中学生程度。目の前で次兄は殺されるし、その次兄は長兄を殺してたときた。そして、目の前で次兄を殺す手配をしていたのは長兄でした、と目の前で骨肉の争いをまざまざと見せつけられたんだ。



当主の、すべて重護の差配かと溢した言葉と、なれば下がれという命令に潮が低くように刀を抜いた家来衆の姿が見えなくなっていくのは戸板一枚向こうで相変わらず待機してると判っていてもホッとしたね。

で、



「この度は、嫡男、次男と病にて亡くされたこと、心よりお悔やみ申します。本来ならば喪に服すべきことですが、此度のことを聞きつけた山向こうの慮外者が居るとも。下々のためにも方護殿の勇壮な御姿をお披露目されては如何か?」




取り敢えず取り潰されないように裏口は合わせるよと、万が一次男が本当に国を売ってるようなら国境で機先を制しときませんか、という提案に当主の真庭信護(まにわ しんご)は、是非に及ばず、とだけ答えを返してきた。



その後はと言えば、嫡男の面目を保った恩人扱いで、別宅と扇を当てがわれて、真庭での生活を始めることとなりました。



雲州からの侵攻は、国境への真庭からの迅速な出陣と首切峠と呼ばれる名前の峠が一つできることで戦端を開くことなく納まったそうだ。


1.「遠い国から」へのオマージュ。

2.「クロの戦記」とか「義輝伝~幕府再興物語~」とか読んでるうちにムラムラきた。

3.正月休みが終わることへの現実逃避


正解者には!!



さて、既存の続きを書きもしないでこんなのに手を出して!! と言われるのが目に見えていつつ、やる気がエタらなければ結までのおおまかプロットは仕上げてるから書くはずだよきっとたぶんおそらくひょっとするとあるいは。

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