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0016.週末と平日

週末の朝の公園 いつもこの時間にきみは犬の散歩をしている

学校ではほとんど 話したこともないけれど

なぜかこの時だけは きみは笑顔で手を振ってくる


学校で見かけても目も合わさないし

ツンとして 話しかけるなオーラを出しているような感じなのに

ぼくも別に 関わろうとも思わないでいたけれど



春風に桜の花びらが舞い散って きみの長い髪にもまとわりついている

それがとてもきれいでかわいくて 思わず笑いがこぼれてしまう


きみが連れているのは 薄い茶色のダックスフント

頭と背中と尻尾の先が ちょっとだけ焦げ茶色

きみはミニチュアだと主張するけれど それにしてはだいぶ大きい気がする

これはミニチュアではなく 素のダックスフントではないのだろうか


親も大きかったから仕方がないの ときみは言うけれど

それってつまりは親も 素のダックスフントだったのではなかろうか

そんなことを言うときっときみは

理屈っぽいわね とか言って機嫌を損ねそう

なので心の中だけに留めておく


それは別にいいのだけど 気になるのは

週末の公園と平日の学校の きみの態度の落差は何なのか


学校で下手に会話して 他の人からなんか言われたら面倒でしょ

ってきみは言うけれど それはちょっと気にしすぎでは

学校で女の子と男の子が会話するなんて 共学なんだし普通じゃないか

ぼくと話しているところを見られるのが そんなに気になると言うのなら

週末の公園で 二人でいるところを見られる方が よっぽと事件ような気がするけれど



乾いた暖かい空気とおぼろげな空の色に 春の匂いが溶けているような

桜の花びらの薄い紅色も 淡い水色の中に溶けていきそうな そんな気がしてくる

春の緩んだ空気の中で きみの声は不思議な柔らかさで ぼくの耳に響いてくる


ここでなら別に偶然に 居合わせただけってことでいいじゃない

それならせいぜいあいさつして すれ違うぐらいでは

ベンチに座って長々と 話し込むのはないでしょう


ここできみに話しかけるのは迷惑だった?

そうではなくて学校でもこんな風に 話してくれたらいいのにと思っただけ

それはでもちょっと恥ずかしいから


ツンとしてて冷たくて 恥ずかしいなんて雰囲気じゃないのだけど

なんだか怖くて 引いてしまうぐらいだし

何か余計なことをして 怒らせてしまったのか ずっと悩んでいたけれど

ここで話していると そうでもなくて あれは一体なんなのか


そう話すぼくを見て きみはちょっと驚いた表情

わたしってそんなに怖い顔してた? してました

きみの表情が さらに焦っている感じ

そんなつもりはないんだけど みんながいる前じゃ どう話せばいいのかわからなくて


となるとあれは 切羽詰まっている状態だってこと?

他の子たちとは 普通に話しているみたいだったけど


まだちょっと 事情はよく飲み込めないけれどでも あいさつぐらいはしてみない?

きみからしてくれるのなら それでもいいよ


春の風は桜色 暖かい陽気にきみの笑顔も少し緩んで見える

来週からは学校でも それが見られるといいけれど

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