魔王の裁き その1 〜バトル開始〜
「スキル 水龍」
そう叫ぶフォカロル。
そして、彼の手から突然、大量の水が飛び出してくる。
そして、それはやがて大きな水の竜へと変化した。
もちろんそれは俺らのほうへ向かってくる。
「スキル コピー」
そう俺は返した。
フレイムやインフェルノなどの選択肢はあったのだが、やっぱり、炎が水に勝てるイメージが浮かび上がらなかったのだ。
そうして、俺の手からも大きな水の竜が放たれる…はずだったのだが。
それは俺が想像していたよりはるかに小さいものだった。
「ふっはははははは、そんなもので私のスキルが抑えられるとでも?」
そう笑ってくるフォカロル。
気に食わないが、彼の言うとおりだ。
こんなの意味がなかった。
彼による濁流は俺のスキルごと飲み込んでいった。
ああ、もうだめだ。
せっかくジャンに助けられたのに。
俺は、助けてもらった奴を守れなかった…
ごめん、ジャン…
こうして、俺は死ぬことを覚悟した。
が、俺は死ななかった。
「スキル 空間属性変換」
その声が放たれた瞬間、スキルが放たれる。
それと同時に、フォカロルのスキルは俺の目の前で止まったのだ。
まるで目の前に透明な壁があるように。
そのスキルは、やはりジャンによるものだった。
「ちいい、やはり厄介ですね…さすがはホープ家の跡取りってとこでしょうか。ですがその状態でいつまでもつか、これは見ものですな」
そう煽ってくる、フォカロル。
が、彼の言ってることはあながち間違いではなかった。
事実目の前の透明な壁はミシミシと言ってひびが入ってきていた。
「ハルト…。まだいけるか?」
そう消えそうな声で話しかけてくるジャン。
事実、彼女はもう限界をとっくに超えている状況だろう…
さっき一回倒れてるしね。
が、彼はまた俺を助けてくれた。
そうだ、彼はまだあきらめていないのだ。
彼自身が死ぬことも、俺が死ぬことも。
ならば、俺もあきらめてはいけない、そう思いなおした。
「当たり前だろ」
そういう俺。
が、はっきり言って状況はかなりまずい。
はっきり言って、相手は俺より強い。
しかも、火炎系のスキルに慣れている俺にとって水を操るこいつは相性最悪だ。
それで、俺はあきらめてはいけない。
俺の命の恩人はまだあきらめてないしな。
「そうか、この状況でもあきらめていないか」
そう言って笑うジャン。
いや、まだ君もあきらめてないでしょうっと心の中でつっっこみたいとこだが、今の俺にはそんな余裕はなかった。
「すまないが、僕はさすがに限界だ。最後に言っておく。スキルはその人の思いとイメージによって強さが変わっていくものだ。僕は君のその思いの強さにかけることにした。ああ、もう限界っぽいな。後は頼んだ…」
そう言って目を閉じるジャン。
これ以上彼女に頼るのは無理だろう。
が、それは望むとこだ。
「おや、やっと倒れましたか。これで、決壊はすぐに壊れることでしょう。それが貴方の人生終了のお知らせですね」
そういって、高笑いするフォカロル。
が、冷静に考えれば当たり前のことだった。
だって、こっちの圧倒的不利は変わっていない。
いや俺、ジャンの前でかっこつけてあんなこと言っちゃったけどこれ無理ゲーでは。
いやいや、あきらめるな。
どうにか、なるはずだ。
・
・
・
だめだ、いい方法が思いつかない。
そんなこと考えてる間にも、結界にひびは入っていく。
ジャンが倒れたからかさっきより割れるスピードも速くなっている。
これが割れるのも時間の問題だろう。
俺は藁にも縋る思いで、腕輪のボタンを押す。
なにか、使えるスキルはないか?、使えるツールはないか?
切羽づまった男が悪あがきをしているだけだ。
が、その悪あがきが俺を救うことになるのだから人生とはわからないものだ。
「なんだこれ?」
おれは戦闘中にも関わらずスキルの欄に書かれていることに驚いて、俺は声を上げてしまった。
そこには、空間属性変換と書かれているスキルがあったからだ。
そう、それはジャンがいつも使っているスキルだった。
なぜだ、なぜこれがあるんだ?
が、考えてる時間はなかった。
俺はずっとジャンのスキルを見てきた。
だから、使えるはずだ。
時、同じくして結界が崩壊する。
「さあ、終わりだ。スキル 氷槍」
そうして、彼の手から氷の槍が放たれる。
そしてそれはもちろん俺のほうに向かって一直線に向かってくる。
これ、俺失敗したら死ぬな…
ただ、恐怖はなかった。
「スキル 空間属性変換」
周りの空気を固めるイメージを持つんだ、俺。
気体を硬いブロックへ。
あの氷の槍をふさぐくらいのブロックを
ジャンは最後に言った。
イメージと思いが重要だと。
まあ、彼女は俺が自分のスキル使ってるとは思ってないと思うけど…
そして俺のほうに氷の槍が飛んできた。
が、俺はよけない。
彼女が後ろにいるから。
俺のことを助けてくれた彼女が。
それ、俺は信じてる。
俺のイメージと思いによって作り出せれたジャンのスキルに。
「血迷ったか。あなたにそのスキルが打てるわけがない。これで終わりだ」
そう高笑いするフォカロル。
が、彼の予想は外れた。
そう、俺のスキルが勝ったのだ。
「馬鹿な、なぜおまえがそのスキルを使えるんだ…そのスキルはホープ家にしか使えないはずなのに…」
そう叫ぶフォカロル。
いや、俺も危なかった。
何重もの防御ブロック変えてやっと塞げる攻撃だったもんな。
「さあ、こっちの番だ」
そう言って俺は剣を出す。
「ツール 神威の剣」
小説を読んでいただきありがとうございます。
初心者ゆえ誤字、脱字、変な言い回し、話の繰り返しがあると思いますがよろしくお願いします。
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