第13話 インフェルノ
あれから何時間経っただろうか?
もう終わっていいはずだ。
辺りはすでに暗くなってる。
いや、まあ、サボりながらやってたからそんなに疲れてはいないんだけどね…
「へー、サボってたんですか~、マスター?」
隣から聞こえる怒りの声。
嘘だろと思いながら隣を見ると、案の定、そこには怒ってるシュリがいた。
いやいやなんで?
さっきまで俺一人だったよね?
「いえ、さっきからずっといましたよ。気配を消してました」
怖!
「それよりマスター。もちろんサボってたって事は出来てるからサボってたンですよね?それともまさか、出来てないのにサボってたなんてことは。いやいや…マスターに限ってそれは無いですよね~」
あれ、俺ってこいつを手下にしたんじゃなかったっけ?
俺の立場って…逆じゃね?
「そんなこと言ってたら、どうなると思いますか?今のマスターならボコボコに出来ますが?してほしいですか?」
No!No! 暴力反対。
「まあ、今大事なのはそこじゃなくてですね、マスター。フレイムを進化できたかどうかなんですよ?」
も、もちろん、出来てますよ、あははははー。
「へえ、出来てるんですか。じゃあ今、成果見せてもらえますか?」
げ、まずい。
「出来るんですよね?」
「は、はい」
「じゃあ、やってください。出来ないとは、言わせないですよ?」
仕方が無い、俺は腹をくくった。
今、ここで何を言ってもシュリを怒らせることになる。
ならば、シュリが言ってるコツをつかめばいい、ただそれだけだ。
俺はこの一瞬に命をかける位の覚悟で言った。
「スキル フレイム」
俺はこの一瞬に賭けた。
体の中にある全ての力を手に集めた。
そして、そんな状況で手から出た炎はいつもみたいにすぐに発射されなかった。
あれ、失敗した?
いやいや、まだ火種が手に残ってる。
まだ終わってない!
いや何これ?どこかのスポーツ漫画?
ってそんなこと考えてる場合じゃないね。
俺は手に力を入れ続けた。
そうすると、あら不思議。
火の玉がどんどん大きくなってくじゃないですか!
いや、冗談とかじゃなくてすごい勢いで大きくなっていく。
さすがに手を横にしたままにするとまずそうだったので手を空に向ける。
暗くなりつつある空に明るい火球。
きれいだな~。
ってそんな状況ではない。
このまま大きくし続けたら朱雀より大きくなってしまう。
もしかしたら、俺自身がこれで死んじまうかもしれない。
いや、そんな馬鹿なことはないか~。
まあ、どっちしろ引き際だ。
俺は手に力を集めることをやめた。
その瞬間、火球は空に向かって飛んでいき、程なくして空中で大爆発を起こした。
それはまるで花火のように幻想的できれいで…
って言ってる場合じゃなかった。
爆炎が俺の方にも落ちてきたからだ。
やばい、逃げないと、そう思った。
だが、大きな爆発、全ての炎は焼けることは出来なかった。
手、腕、足、それに額、顔とかとかにもに発か受けてしまった。
上に打ったのは間違いだったな…
火傷しながらそう思った…
その瞬間、俺の体に激痛が走った。
まあ、そりゃそだな。
全身火傷、死んでもおかしくない状況。
やべえわ、早く回復薬を。
「ツール 回復薬」
俺は慌てて回復薬を出した。
が、そこで気を失ってしまった。
《スペシャルスキル フレイムがインフェルノに進化しました。 続けて、耐性 熱耐性を獲得しました。》
そんな声が聞こえた気がした。
え、新たなスキルゲットできたの?
しかも今回も耐性を得れたのかな?
いや、今、それはどうでもいい。
どうやら俺は助かったらしい。
よかった。
「全くですよ。本当に危なかったんですからね」
隣にいたシュリがそう言ってくる。
こいつさっきはなんだかんだ言っていたが今回も俺のこと助けてくれたな…
「次からはしっかりスキルを操れるようにすること。いいですね、マスター」
まあ、前より厳しいけど…
「当たり前じゃないですか。前回は私のせいでしたが、今回は自分でやったんですから」
確かに…
にしても、自爆するなんて馬鹿だな、俺。
「笑い事じゃないですよ。回復薬無かったら本当に死ぬとこでしたからね」
全くもってその通りである。
回復薬様々だな。
…待てよ、回復薬元々二個しかなかったよな…
んで、今一個使った…
やべえな。
もう後一個しかない。
どうにかして仕入れないと。
それか、材料らしい薬草を探さないとな…
と言うことは
「より一層早く封印を解かなければいけないと言うことですね。、マスター」
やっぱり考えてること読まれるのっていやだな…
「なあ、シュリ。今、さっきくらいの大爆発だったら封印壊すことって出来る?」
「もちろん、出来ると思います、マスター」
よっしゃあ。
これでこの砂漠ともおさらばだ。
「けど、実はもう一つ問題がありまして…」
シュリが不安そうに言ってくる。
え、これの他に問題なんてあったっけ?
「はい、それはどうやって同時に封印を壊すかってことなんです。お互いに伝え合う手段がないんですよね~」
確かに…
そこは盲点だった。
「そうなんですよ~。そんなスキルがあればいいんですけど…」
こうして結局、話は振り出しに戻ってしまったのである。
サボりながらではあるが特訓して、やっと高火力のスキルゲットできたのにである。
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「嘘だろーーーーー」
俺は思わずこう叫んでしまった
小説を読んでいただきありがとうございます。
初心者ゆえ誤字、脱字、変な言い回し、話の繰り返しがあると思いますがよろしくお願いします。
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