第10話 毒耐性ゲットだぜ! ~ツール~
いつもよりシュリが美しく見えた。
「へ、そんなことないですよ-」
そんなこと言いながらシュリは照れ始める。
あっれれ-、おっかしいな~
さっきまで涙流してたはずなのにな。
今は打って変わってこんなこと言いながら照れてる…
と言うかこいつこんなキャラだっけ。
いや、名前与える前はこんなキャラだったかも…
まあ、今はそれどっちでもいい。
はっきり言って、めんどくさい。
えー、美しく見えたって言うの撤回で。
頭の中でそんなことを思わず考えてしまった。
「そんな~」
シュリが口答えしてくる。
まあ、当然無視だ。
「無視しないでください~」
彼女が頬を膨らませながらそんなことを言ってくる。
当分シュリには話しかけないでおこう。
と思っていたのだが…
突然、俺のおなかからクーと小さい音が鳴った。
そういえばシュリに毒蛇食わされたせいで飯まともに食べれてなかったんだった。
いや、これは生理現象だし仕方が無いよね。
「シュリ、ご飯ない?」
「ここにはブラックサーペントしかありませんよ」
少し嬉しそうに答える彼女。
無視されたのがそんなにこたえてたのかな…
いや、今大事なのはそこではない。
腹が減ってるのに飯がない、この状況だ。
「本当にないの?」
「はい、ないです」
そんなこと、明るい声で言うな。
と突っ込みたいところだが、突っ込んだところでこの状況は変わらない。
無駄な行為だ…
それより、食べ物、食べ物。
どうやって食べ物探すか、これが今の課題だ。
「うーん、難しいですね~ここら辺一体砂漠なんで昼間は動物ほとんどいないんですよね~」
いやそれ、死刑宣告されたようなもんだぞ。
さすがに食べ物なしで夜まで過ごすのは…
「どうしようもないです。諦めてください」
冷たい言葉でそう言われてしまった…
だが、仕方が無い。
「と言うか、マスターもブラックサーペント食べられるようになればいいんじゃないですか?」
いやいや君、さっき俺が死にかけていたこと知ってるよね。
しかも君、さっきそれで自分のせいでとか言って涙流してたよね。
「いやいや、そういう意味で言ったのではなくてですね」
声が震えてますよ、シュリさん。
やっぱりこいつ、自分が怒られないように反省してるふりをしたんじゃないか。
「げ、ばれた」
しゅりがボソッと呟いた事を俺が聞き逃すはずがなかった。
「やっぱり当たってたんだな」
「いえいえ、そんなわけ無いじゃないですか」
また声震えてますって。
この人すごくわかりやすいな。
けど、そんなわかりやすい奴の演技に引っかかるなんて…
全く、誰がこいつが美しく見えただって。
「と・に・か・く。私が言いたいのはそういう意味じゃなくて」
あ、こいつ話変えたいんだな。
ほんと、わかりやすい。
「マスター、一回ステータス見てみて下さい」
「なぜ?」
「いいから」
俺はシュリが言うままに腕輪のボタンを押す。
そしたら俺の前に黒い画面が出てきた。
しかし、前と変わったとこは一つもないように見えた。
「別に変わったとこないぞ?」
「へ、下に切り替えれるとこ無いですか?」
言われてみれば確かに一番下に《animal,physical》と書かれていた。
俺は切り替えてみる。
animalの所にはシュリっと書かれていた。
本当に情報が反映されてるみたいだ。
じゃあ、physicalのところには?
切り替えると一番上に《耐性 毒耐性》と書かれていた。
「ほら、やっぱり毒耐性ついてるじゃないですか」
だから何と言う話なのだが…
「毒耐性ついてるならブラックサーペント食べれますよ」
あ、確かに。
じゃあ、よかった。
…じゃねえよ。
毒耐性があるとはいえ毒物食らうなんて…
「まだ不安があるのですか、マスター。大丈夫ですよ、私なんてしょっちゅう食べてるんで」
いやそれ全然励ませてないよ。
まあ、けどおそらく、きっと、多分大丈夫なのだろう。
「じゃあ、ブラックサーペント食べようか」
「はい、すぐ準備しますね」
そうして、彼女は寝床の方へ戻ってった。
さて、邪魔者はいなくなった。
やっぱり思考読まれてると変に気が張っちゃって疲れるんだよな~
そして、俺は目の前の黒い画面に目を移す。
physicalの部分には耐性の下に
《ツール 服 0
布 100
回復薬 2
剣 1》
と書かれていた。
おそらくアイテムボックス中に入ってる物だろうか?
もしそうなら…回復薬もう2個しかないのか。
え、もしさまたブラックサーペントの毒にやられたら…
やばい、やばい、どうしよう。
そうだ、この回復薬をコピったらいいんだ。
俺は回復薬に向かってスキルを打つ。
「スキル コピー」
《材料が足りません》
まあ、確かにそりぁそうだ。とみようとした瞬間、遠くから声が聞こえてきた。
「 ご飯、出来ましたよ」
そして前に肉が置かれる。
俺はそれに恐る恐るかぶりついた。
1秒経つ、2秒経つ。
変化なし。
そんな調子で一分経った。
もし毒が効くならもうとっくにきいて倒れてるだろう。
と言うことは…本当に毒が効かなくなったのだ。
俺は少しホッとした。
「やりましたね。マスター」
シュリはそんなことを言ってくる。
が、俺はこいつが何を目的で言ってるのか、今日一日でよーく分かった。
こいつはただ俺にブラックサーペントを食べさせたと言うことを忘れてもらいたいだけだろう。
「うるさい。そんなことないし」
そんなことをシュリは言ってきた。
やっぱり正しかったっぽい。
こんなことがあったが、俺は無事に今日の朝ご飯にありつけたと。
本当によかった。
小説を読んでいただきありがとうございます。
初心者ゆえ誤字、脱字、変な言い回し、話の繰り返しがあると思いますがよろしくお願いします。
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どうかよろしくお願いします。