第7話 ねぇねぇ、どんな気持ち?
「すみません、少しお話良いですか?」
振り向くと、知らない女性が居た。
「はい?どちら様ですか?」
レオンは、人族の女性の足元から頭の先まで、見回す。
「あ?えっと、このギルドで初めて見る人なので、声をかけさせてもらいました。」
「はぁ……っでお話って何ですか?」
「あ、ここではちょっと……外で良いですか?」
「え?はぁ……分かりました。では、出ましょう。」
(クス…クスクス…)ギルドを出る時に、数人がこちらを見て、声を抑えて笑っているのが見えた。
「こ、こちらの路地に来て、もらえますか?」
女性は手招きをして、路地にレオンを誘い込むと、ダッシュで走り出した。
「ん?おーい!………どしたの?」
っと声をかけると、路地の奥と入り口から、屈強な男が2人ずつ現れて、ゲスな笑い方をした。
「グハハハハ!グヘw、あんちゃん…有り金全部置いて行き………グヘポ…」
リーダー格の大男が、テンプレのセリフを吐き終わる前に、レオンの剣が大男に突き刺さる。
「うぉー!」っと残りの3人は路地から飛び出し、逃げ去っていった。
「おい!バカ、体が細くても強い奴はそれなりに居るって、分からんのか?」
呻いている男を踏みながら、レオンは罵声を浴びせた。
レオンが大声で罵声を浴びせている最中に、先程の女性がギルド職員を呼んで駆けつけてくれた。
恐らくレオンが、痛めつけられて転がっていると思っていたのだろうが、レオンが転がっている男を踏みつけながら、罵倒している姿を見た女性は………。
レオン「ほっそい奴にやられてどんな気持ち?」《ドカドカ》
「うわぁぁ~……何か……最低。」
っとポツリと女性が発した言葉が聞こえた。
レオン「ねぇねぇ、どんな気持ちかって聞いてるだろ!」《ドカボコ》
「………ん?」
レオンは、女性の発した声を聴き、自分の事を指差しした。
すると女性は、「うん、うん。」っと頷いた。
「いやいやいやいや!人を路地に誘い込む様な奴に、最低とか言われたくないわ!むしろありがとうとかないの?ねぇねぇ?」
レオンは、男の顔を踏みながら、女性に突っかかる。
その光景を見ていたギルド職員も、引き気味にレオンに声をかけた。
「あの~すみません、そちらの冒険者を治療したいのですが、踏むのをやめてもらって良いですか?」
≪主、その辺りで良いのでは?ギルドの方が困っておりますぞ!≫
「え?あぁ…、……どぞ!」
ギルド職員は、ギルドの中に男を運び、他のギルド職員が、事の経緯を尋ねて来た。
「とりあえず、お2人共、詳しくお話をお聞かせください。ではギルドの中へ。」
レオンと女性は、応接室に通され、事の経緯を話した。
今回は、レオンが被害者とみなされて、剣を抜いた事もお咎めなしで話は済んだが、人族の女性『ル・ミファ』という女性は、こってり怒られていた。
レオンは、解放されたので、宿屋に帰り翌日ギルドに顔を出すと、
『プッツリ』というあだ名になっていた。
どういう意味かと聞いてみた所、手を出すとプッチンと切れてプッツリと刺すからだそうだ。
だがそのあだ名のおかげで、みんなから声をかけられるようになり、楽しい日々を過ごしていた。
そんな楽しく過していたら、女神様が夢に出て来るようになった。
面倒くさいので、2か月程無視していたら、神殿から呼び出しの手紙が、ギルドに届いた。