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《180万pv突破!》侯爵令嬢レベッカの追想  殺人事件の被害者になりたくないので記憶を頼りに死亡フラグを折ってまわります  作者: 北村 清
第二章 アカデミーへ

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お茶会への招待

お父様とお母様をお見送りした後、私は寄宿舎に戻った。


「ジーク様がアカデミーに入学して、男子寄宿舎に入るらしいよ。」

と、まずユリアに報告をした。


「まあ、大丈夫なのでしょうか⁉︎心配ですね。いろいろと。寄宿舎でのお部屋は、どのようになるのでしょう?」

「コンラートお兄様が同室になるらしいの。」

「シュテルンベルク様は、ベッキー様の弟君と同室だったのではなかったですか?」

「うん、そう。コンラートお兄様に部屋を別々にしようと言われて、ヨーゼフはギャン泣きだったよ。」

「まあ!なんてお可哀想に。私だって、ベッキー様と部屋が別々になるなんて事になったら、身体中の水分が無くなるまで泣いてしまいますわ。」


そんなに!なんで⁉︎


深く考えるのも怖いので、私は別の事を考え始めた。

私は、もう一つヨーゼフに質問をしていた。


「その、エリアスって子の双子のお姉さんもアカデミーに来るのだよね。なんてお名前?」

「知らない。」

お母様が知っていた。

「アグネスというお名前だったはずよ。」


コルネリアではないらしい。


コルネリアは、私を殺す殺人犯候補の一人で、アカデミーに通った経歴を持つ男爵令嬢の宮廷画家だ。

だけど、今時点でコルネリアという名前の女学生がアカデミーにいないのだ。

全女学生のファーストネームを調べたから間違いない。

もしかしたら『聖女エリカ』みたいに、全然違う名前なのに他の呼び名で呼ばせているのかもと思ったが、そもそも今のアカデミー内には男爵令嬢がいないのである。

伯爵令嬢や子爵令嬢はいる。男爵の姪という人もいる。だけど、男爵令嬢はいない。

という事は、これから入学してくるのかなと思っていたが、もう一つの可能性をジーク様のおかげで思いついた。

男装して、男子として通っているのかも。

アカデミーが共学になったのは2年前だ。それ以前に、アカデミーに何が何でも入りたいと思っていたなら、男装して男子と偽って入るしかない。

男子の数は女子より遥かに多いので、そうだった場合調べようがないよな。と思う。

別にコルネリアに会いたいわけではないし、親しくしたいわけでもないが、正体がわからないのは不気味なのだ。

正体がわからないと、好感度の上げようも、フラグの折りようもない。


んー。と、頭を抱えているとユリアに

「ジーク様の事を、エリザベート様に報告した方が良いのではないでしょうか?」

と言われた。

「言った方が良いと思う?」

「はい。後から、実は知っていた、というのがわかるのはよろしくないかと。」

「でも、個室を訪問するのは禁止だしねえ。」

「こんな時こそ手紙ですわ!あの、素敵な『封筒』でお手紙を出したらどうでしょう。」


ユリアはなぜか、封筒を気に入ったらしく、紙を切って封筒を何枚も自作している。ただ、ユリアが手紙を出せる相手は多くはない。お父さんや伯母さんへの手紙も、まだ巻物型で送っている。


「平民の私がアカデミー内で新しい流行を作るわけにはいきません。もし作っても、平民のやる事を真似るなんてと、無視されるだけだと思います。だから、ベッキー様やエリザベート様に封筒を広めて欲しいのです。本当に便利な形状をしていますもの。こんな物を思いつくなんて、ベッキー様は天才だと思いますわ。」

私が発明した物ではないので、そんな事を言われると困ってしまう。


だが、エリザベートに睨まれると、困るというレベルではすまなくなるので、私はエリザベートに手紙を出す事にした。

一番良い紙で作ったという封筒をユリアがプレゼントしてくれた。


書いた手紙をユーディットに届けてもらうと、その日のうちに返事が来た。

エリザベートはジークが入学してくる事を知っていた。とゆーか、エリザベートが勧めたのだそうだ。

ヒルデブラント家の三ババも、相手が公爵令嬢では反対できない。ヒルデブラント家の館や領地にこもっているより、アカデミーにいる方がまだ危険が少ないだろうとのエリザベートの判断だった。


そして。


『この手紙の形状の斬新さ、優美さに感心致しました。詳しく話を聞きたいので、週末のお茶会に参加しなさい。わたくしが主宰する乗馬クラブのメンバーを招待してあります。』

と書いてあった。


ひいいいいいぃっ!


お茶会の招待自体は、今までもいろいろな人から来た。だけど、全部お断りしていた。

しかし、これは断れない!もしも断ったら、石抱かされるかもしんない。

とゆーか、乗馬クラブ?そういえば一番最初に会った時、なんかそーゆー話をしたな。すっかり忘れていた。


そりゃあ、私だってね。文子の頃の友達としていたような、コーラ飲みながらポテチ食べてゲームする、みたいな気楽なお茶会なら喜んで行きますよ。でも、そうじゃないんだ。

ドレスコードに、無限にある謎ルール。日本人の感覚で言うと、季節のルールに従った着物を着て野点をするようなもんでしょうかね。

そこで、延々と腹の探り合いやマウントの取り合いをするのだ。本気で行きたくない!


「私まで招待されてしまいました。私、お茶会に招待されたの初めてです!」

とユリアがびっくりしている。もちろん彼女にも拒否権は無い。


「ドレスコードとか、めんどくさ。」

「でも、このドレスコードなら親切ですわ。『一番好きなバラの花の色のドレス』ですもの。手持ちの茶会服を着て、この色が好きなんですと言えば良いのですから。『乗馬服で』とか言われたら、週末までに仕立てが間に合いません。」

「お嬢様が寄宿舎に持ち込んでいる茶会服は、お嬢様の瞳の色と同じ『花色』と『緑色』と『紅色』ですから必然的に『紅色』になりますわね。」

と、ユーディットが言った。

うわ!なんか、真紅のバラが好きな女なんて、意識高そうな女!って感じがする。偏見だけど。


「ユリアは何色を着るの?」

「私は、青いドレスと白いドレスしか持っていませんから、白にします。」

うん。ユリアなら白いバラと服がぴったりだ。

私は、汚してしまいそうで、恐くて着れないけど、


ヒンガリーラントの茶会服は、必ず襟がある事と胸元にブローチを着ける事がルールだ。どのくらい肌を出すかは、季節や素肌の美しさの自信の有無によって決まる。ルール的には、バニーさんのように、ビスチェラインにつけ襟を着けるのでもかまわないのだが、女しかいないお茶会で谷間を見せても意味がないだろう。そもそも私には谷間が無い。


「問題は、ブローチですわ。寄宿舎に持って来ていないので、侯爵邸に取りに戻らねばなりませんが、侯爵夫人も侍女長もいない状況では、高価な宝石を宝物庫から出す事ができません。なら、むしろ買った方が。」

「えー。もったいないよ。どっかでレンタルとかできないの?」

「どうしてエーレンフロイトの姫君が、貧乏貴族のように人に借りた物を身につけなくてはならないのですか⁉︎ブローチの10個や20個、買えるくらいの品位保持費を、侯爵夫人より預かっております!」


その金額を具体的に聞いてびっくりした。本が10冊でも20冊でも買える金額だった。

その金額を聞いたら、ますますブローチなんかを買うのがもったいなくなった。


「でしたら、ベッキー様。レーリヒ商会にあるブローチをつけるのはいかがでしょう?ベッキー様が気に入られた物をお貸しします。ベッキー様がデザインを気に入っても、侯爵夫人が気に入られないという可能性もあるでしょう。その場合は代金は結構です。侯爵夫人がデザインと金額を気に入ってくださったら買取されるという事でいかがでしょうか?」

「まあ、それはとても良い話ですわ、お嬢様。ユリアさん。値段が高い物から10個ほど寄宿舎に持って来て頂ける。」

「かしこまりました。」


ユーディットはノリノリだ。私がいつもお茶会に行くのを拒否していたので、私がお茶会に行くのが嬉しいらしい。

だけど私は胃が痛い。

そしてこの胃の痛みはお茶会が終わるまで続く事だろう。

いつも読んでくださりありがとうございます^_^


次話、ユリアーナ視点です。

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