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《155万pv突破!》侯爵令嬢レベッカの追想  殺人事件の被害者になりたくないので記憶を頼りに死亡フラグを折ってまわります  作者: 北村 清
第六章 伝染病襲来

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この赤ちゃん、誰の赤ちゃん(1)(アルベルティーナ視点)

『昔々、もしかしたら未来。』


始まりは、いつも同じなのですね。


『あるところに、とても賢い裁判官がいました。ある日その裁判官の所に、辺境に領地を持つ領主が助けを求めてやって来ました。

「どうか、知恵をお貸しください。とても難しい訴えがなされて、私には判断できないのです。」

「どのような話ですか?お話しください。」と裁判官は言いました。』


さっきの馬の話よりも難解な話の予感がします。


『「私の領地に、ある富豪が住んでいました。彼は手広く商売をして、たくさんのお金を持っていましたが、子供がいませんでした。すると妻がある日彼に言いました。「旦那様、私には旦那様の子供を産む事ができませんでした。ですから、私の親戚の娘を二人旦那様の側室にしてくださいませんか?そして、子供が生まれたら、その子供を私達夫婦の養子にしたいのです。」

夫は、妻の望み通りにしました。

そして、青い目の娘と緑色の目をした娘を側室にしました。娘達は同じ時期に妊娠し、同じ日に二人共男の子を生みました。男の子は二人共夫婦の養子になり、夫婦と子供達は本邸に住んでいました。青い目の娘は、東の離れに住み、緑の目の娘は西の離れに住んでいました。

ところが一ヶ月後、大きな竜巻が起こり本邸を薙ぎ倒してしまいました。夫婦は屋根の下敷きになり二人共死んでしまいました。そして子供達の乳母も死に子供達に仕えていた侍女も死にました。そして子供の一人も死んでしまったのですが、もう一人の子供は無事に助け出されたのです。すり傷が少しあっただけでその子はほとんど無傷でした。

すると、青い目の娘と緑色の目の娘が二人共、死んだ子供が相手の子で、生き残ったのは自分の子だと言い張ったのです。

生まれた子供は二人共、父親と同じ黒い目をしていました。二人の側室は元々親戚同士なので顔がよく似ており、どちらがより赤子と似ているという事もありません。子供は、まだ一歳にもなっていないので、自分の名前をしゃべれません。その子供がどちらの娘の子かどうしてもわからないのです。」


「側室達は、本当に、子供が自分の子だと信じ込んでいるのですか?」

「自分が産んだ子なのですから、当然自分の子供なのか、そうでないのかはわかっているでしょう。しかし、その子供が父親の全財産を受け継ぐのです。なので、お金が欲しくて一人は嘘をついているのだと思います。でも、どちらが嘘をついているのかわからないのです。」

「わかりました。私が直接話を聞いてみましょう。二人の女性と赤ん坊を裁判所に連れて来てください。そのうえで判断します。」

と裁判官は言いました。


一週間後。女性達と赤ん坊が裁判所にやって来ました。女性達は二人共

「その子は私の子供です。」

と言って譲りませんでした。

「わかりました。」

と裁判官は言いました。そして、裁判所を警備する騎士に言いました。

「その赤ん坊を、剣で真っ二つにして半分ずつ女性達に渡しなさい。そして財産も女性達二人で半分ずつ分けなさい。」


青い目の娘が悲鳴をあげました。

「裁判官様!わたくしが嘘をつきました。その子は彼女にあげてください。どうか、お願いです。その子を殺さないでください!」

「何だと!」

裁判官は眉をつり上げて怒りました。


「裁判官である私を騙したのか⁉︎それが重い罪で、厳しい罰がある事がわかって嘘をついたのか?」

「・・申し訳ありません。どのような罰が私には下ってもかまいません。ですが、どうか、その子だけはお助けください!」

「其方は何か、言いたい事があるか?」

と裁判官は緑の目の娘に聞きました。


「・・ありません。裁判官様の判断に従います。」

と娘は言いました。

「わかった。」

と言って、裁判官は領主を見うなずき合いました。


「この子の母親は、青い目の娘だ。彼女こそが母親だ。」』


不覚にも涙がこぼれました。娘が書いた物語を読んで泣くなど親バカの極みとわかっているのですが、これは泣いてしまいます。

どうして、あの子は子供を産んだ事が無いのに、親の気持ちがわかるのでしょう。


「それで終わり?」

「・・いえ、あの、もうちょっと続きます。」

そう言って、ゾフィーは続きを読み始めました。

この話の元ネタは、東洋一の賢人と呼ばれたある王様の裁判記録です。

三千年くらい昔の人なので、DNA鑑定とかはできなかったんですねー。


お母様視点の話はあともう一話続きます。よろしくお願いします(^◇^)

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