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《155万pv突破!》侯爵令嬢レベッカの追想  殺人事件の被害者になりたくないので記憶を頼りに死亡フラグを折ってまわります  作者: 北村 清
第六章 伝染病襲来

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王都の攻防戦(16)(フランツ視点)

翌日は朝から、仕留めた獲物の解体作業である。

騎士達だけでできる事なので、子供達は午前中はお勉強だ。


びっくりしたのは別邸に行くと、水に浸けられたシカが二匹増えていた事である。騎士が二人、夜警をしていたのだが、夜の間にまたシカの群れが畑に近づいて来たのだそうだ。それを弓矢で追い払い二匹仕留めたらしい。


「昼間の群れとは違う群れでした。仔鹿の数が昼より多かったですから。」

と騎士達は言った。どれだけいるんだ?うちの庭にシカが?


「ここの森って、どこにつながっているんですか?」

とヨアヒムに聞かれた。


「山があって谷がある。かなり深い谷だから人は通れない。だから、そこには城壁が無いんだ。でも、多分シカは通れるのだろう。つまり、王都の外からシカはやって来るんだ。」


現在の王都は、元々、貴族達の夏の避暑地だった。それが伝染病が原因で遷都した。その時には『新、王都』は現在の第一地区だけだったのだ。その頃の街は完全に高い城壁に囲まれていた。しかし、人口が増えて行くにつれ、新しい城壁を作り第二地区、第三地区と、街は大きくなって行った。

その時地形の関係で、街を完全に取り囲む事はできなかった。なので、第二地区にあるこの館は山と谷を通じて外に通じているのだ。


正直、シカやアナグマが外から入って来るのはまだ良い。密売人とか、外国の軍隊とか入って来たら大事件だ。隣の家との間の塀を、もっと高くて丈夫な物に変えなきゃ駄目だよなあ。と思う。

でも、今王都が封鎖されていて、レンガや大理石が手に入らないのだ。それに、敷地が広すぎる。どれほどの数の建材と金がいる事か・・・。


悩みながらも解体作業はサクサクと進む。

レベッカ達が、勉強を終えて駆けつけて来た頃には解体作業は終了していた。


解体されたお肉はさっそく、友人知人に配る事にした。レベッカは、孤児院に持って行きたいと希望しているし、私は、医療ボランティアに来てくれた人達の家族に配りたい。ユリア、アグネス、ユスティーナ、オルガマリー、リーゼレータの実家にも肉が欲しいかどうか聞きに帰りなさい。と伝えた。コルネにはフェーベ街のマルティナ夫人の所へ肉を持って行かせた。シュテルンベルク家にも差し入れをするべきだろう。


ヘルダーリン孤児院への配達は、リーシアとヘレーネとミレジーナに頼み、レベッカと私、ヨーゼフはユーバシャール孤児院へ向かった。医療ボランティアの家族の家に持って行くのは、騎士達に頼んだ。


ユーバシャール孤児院に着くと、転がるような勢いで院長が出て来た。

「昨日は申し訳ありませんでした!レベッカ様の判断に逆らい、反抗的な口を聞くなど許されざる行為です。言い訳をする気はありません。ただ全ては私の責任です。子供達には寛大な処置を!」


土下座せんばかりの勢いで、そうまくしたてる。


昨日アーベラは、あっさりと説明したが、もしかして「帰れ」「帰りたくない」「畑を放棄する」「そんなのやだー」と、ものすごく揉めたのだろうか⁉︎

そして、もしそうだったのだとして、翌日レベッカの父親である私が騎士達を率いて孤児院に押しかけて来たら、院長にとっては恐怖以外の何ものでもないだろう。

もしかしたら建物の中で子供達は抱き合って震えているかもしれない。失敗したー。先触れを出すべきだった。


異様な雰囲気を感じているのか、近所の人々にも注目をされ始めている。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 伏線が各所に見受けられること 他のとこでも、あーここに繋がってるのかと思うと読んでて楽しくなる 王都が遷都なんて珍しい作品だなって思ってたら ここに繋がってるんですね。他にも理由はあるの…
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