表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《155万pv突破!》侯爵令嬢レベッカの追想  殺人事件の被害者になりたくないので記憶を頼りに死亡フラグを折ってまわります  作者: 北村 清
第六章 伝染病襲来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

310/561

新しい家族達(17)(アルベルティーナ視点)

次に我が家を訪ねて来たのは、デューリンガー伯爵の息子であり、リーシアにとって再従兄弟に当たるテリュース卿です。

エリザベート様は帰られたので、今度は伯爵令嬢であるリエがレベッカに付き添ってテリュース卿と面会しました。リーシアの体調もだいぶ回復しましたので、リーシアも話し合いに同席しました。背後にはリーシアの侍女のエイラも控えています。


そして。


「駄目だわ。あの馬鹿は!」

怒りに震えながら、リエが私に報告に来ました。何だか既視感を感じます。


「話になんない!あれが未来の伯爵になるの⁉︎伯爵家の当主といえば、13議会のメンバーにもなれる立場なのよ。もしも、コンラートがあんなだったら、床に正座させてオールナイトで説教してやるわ!」

「何があったの?」

「レベッカがリーシアの口から説明をさせたの。そしたら、あの男、開口一番

『ベロニカ夫人とマレーネが?とても信じられないなあ』

って言ったのよ!」

「まあ!それでリーシアは何て?」

「すん。と表情が消えて、後はもう一言も喋らなかったわ。だけど、それを『自分に嘘を見破られたから』とあの男は思っているようだったわ!」

「・・レベッカは何て?」

踵落としとか、食らわせていないと良いけれど。と不安になりました。


「レベッカは冷静よ。落ち着いた声で

『私からお願いしたい事は一つです。リーシア様がこの家に滞在する事を許可して頂きたいのです』

って言ったの。だけど、あの男

『ベロニカ夫人がそういう事をするわけがないから・・』

とうだうだ言い出して、今は、そんな話をしていない。滞在許可の話をしているんだから、とっとと許可を出せ!と胸ぐら掴んで言ってやりたかったわよ。でもレベッカは

『もし、リーシア様が周囲に嘘をついてでもご家族と距離をとりたいと思っておられるのだとしたら、そうした方が双方にとって益になると思われませんか?』

って優しく言ったの。立派な子だわ。」


レベッカは冷静に話を勧めたようです。レベッカの目的は、リーシアがここで暮らす為の許可をとる事であって、相手を論破する事ではありません。なので、怒りを抑えて目的を優先したのでしょう。


「なのにあの男

『嘘は良くないと思う。まあ、でも何か行き違いがあったのだろうと思うし、一度帰った方がいいよ。僕も一緒に謝ってあげるから』

って言ったのよ!何でリーシアが謝らなきゃならないのよっ!

もう、話が通じないと思って、言ってやったわ。

『滞在の許可が欲しいと言っているのに聞こえなかったのかしら?許可するの?しないの?』

って。そしたら

『僕の立場では何とも。発言には責任が伴いますから』

って言いやがったのよ。男でしょ!伯爵家の後継者でしょっ!『好きにしてください。責任は僕がとります』くらい言いなさいよ。

か弱い女の子が、しかも血のつながった再従兄弟が、両腕を血まみれにされて助けを求めていたのに責任とりたくないって、だったらこの世の果ての無人島で一人で生きてりゃ良いのよ。人間界に顔を出すな!」


「それで結局、許可は頂けなかったの?」

「一回保留にしたわ。レベッカがお願いをしたの。

『リーシア様のアカデミーの制服と教科書をとって来てくださいませんか?』

って。何か嫌な顔してたけど行ってくれたわ。

『リーシア様の部屋は本邸ではなく離れにあります。制服は壁にかけてありますし、教科書はベッドの枕元に置いてあるそうです』

と懇切丁寧教えてあげたから、奴がどんなに低能でも一時間あれば戻って来るでしょう。それから、第二ラウンドよ!」


リエが拳を握りしめて叫びました。

きっとレベッカは、リエ以上に怒っているでしょう。血を見る騒ぎにならなければ良いけれど・・。

不安になってきます。


「どうして、そこまでリーシアの方が嘘をついていると思っているのかしら?リーシアには今までも、アカデミーやユーバシャール孤児院で顔を合わす事があったけれど、嘘をついたりするような子ではなかったわよ。むしろ無口で、ほとんど喋らない子だったのに?」

私は首を傾げました。

リエが「ふっ」と、半笑いを浮かべます。


「エイラが言うには、ベロニカ夫人やマレーネ嬢が『リーシアにいじめられた』『リーシアがひどい』『リーシアは嘘つき』って、嘘を言って回っているのですって。そしてそれを全部、あの男は信じているらしいの。どうやら、マレーネ嬢に恋愛感情を持っているみたいよ。」

「・・それは、手強いわね。恋をしていたら相手の言葉を疑わないわよね。」

「というかそもそも、声が大きい人間の言う事を無条件で信じるタイプらしいの。」

「それは、政治家とか、領主に向いていないんじゃない?」

「だから、言ったでしょ。コンラートがあんなだったら説教してやるって!超、大声で!」


既に大声です。耳がキーン、として来ました。


そして一時間後。テリュース卿が再び我が家にやって来ました。

結果として相対したレベッカは、テリュース卿と自分との間にあったローテーブルを叩き割ったのです。

次の話は、テリュース視点の話になります。


かなり、イラアァッッッ!とする内容になる予定です。

そんな内容ですが、よろしくお願いします。ペコペコ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ