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新しい家族達(10)(アルベルティーナ視点)

辛い話が続くので、今回はちょっとインターバルです。

「何があったの⁉︎どういう事?」

午前中の一件を知らないリエとメグ、ヨーゼフが私に聞いて来ました。

私はかいつまんで、事情を説明しました。


「オットーって子、どういう子なの?」

とメグがヨーゼフに聞きました。


「弱い者いじめをするしか能のない、卑屈な奴だよ。」

ヨーゼフは不快そうな顔をして言いました。


「司法大臣の甥の派閥に入っているんだ。派閥の序列は下の下でさ。上の連中の使い走りばっかさせられてるよ。前にさ。お姉様に教科書拾わせて『使用人扱い』した事件あったじゃん。アレも本当は『上』の連中にやれって言われてやったんだ。『勇気があるならやってみろ』『そんなにパパが怖いのかよ』って煽られてさ。だから尚更ルートヴィッヒ殿下は怒ったんだ。だって、ほら。司法大臣って、第一王子派閥だからさ。」

「そんな事件あったの?」

とリエが呆然としたので、私が話を補足しました。


「近衞騎士団の副団長なら最低でも、準男爵位持ってるでしょ。その息子のカーストが下の方って、そんなに高位貴族の多いグループなの?」

とメグが聞きます。


「カーストの上位を占めるのは、心が強くて声が大きくて、暴力に長けていて、トップのお気に入りな人だよ。親の身分は関係ないんだ。オットーは顔がまあまあ良くて、成績が良くて、身長が低い。カーストの下の方に追いやられる条件全部持ってるもん。」

「え⁉︎顔や成績が良いと『下』になるの?なんか『上』の方に行けそうだけど・・。」

「トップのアルブレヒトが、バカで醜男だから、顔の良い奴は嫌われるの。」


「どうして、そんな『派閥』に入っているの?父親のアードラー卿は、別に第一王子を支持しているわけではないのに。」

私がそう言うと

「一度入ってしまえば、抜けられないのが『派閥』だよ。お母様は、ブランケンシュタイン公爵夫人の派閥が嫌になったからって抜けられるの?」

とヨーゼフが逆に聞いてきます。

「・・・。」

「どこの派閥に入るか、最初が肝心なんだよ。オットーは、父親が嫌いだから、父親の友達の子供の派閥には入りたくなかったんじゃないの?」


「顔の良い子が、下に追いやられるものなら、ヨーゼフは下の方なんじゃない?」

からかうような、心配するような口調でメグが言いました。


ヨーゼフが考えこみます。

「僕・・は一番下かな。」

「そうなの⁉︎」

私はびっくりして叫びました。


「トップって誰なの?」

とリエが聞きます。

「コンラート。」

「・・え?なのに、あなたが一番下なの?他にどんな子が派閥内にいるの?」

「僕とコンラートとエリアスとジークレヒトの四人。まあやっぱ、なんだかんだ言ってもNo.2はジークだよね。で、僕とエリアスのどっちが上かと言うと、難しい質問だけどエリアスかなあ、って。コンラートもジークも、僕には『頑張れ』とか『やれば出来る』って言うクセに、エリアスには『無理しなくていいんだよ』とか『君は頑張ってるよ』って優しいんだもん。」


それは『優しい』のではなく『期待してない』の間違いではないかしら?

ヨーゼフの方が、まだ『やればできる子』と思われているのではないのかしら?


ようするに、この四人は兄弟みたいな関係なのでしょう。

しっかり者の長男。

補佐役の次男。

甘やかされる末っ子。

放置される三男。


上と下に結託されると、中間子は下よりも下になりますからね。


「人数が少な過ぎでしょ!四人って。もっと増やしなさいよ!」

とリエが言います。


「でも、伯爵家以上で一人息子なのって、僕達四人しかアカデミーにいないんだ。」

「あ、そういうグループなのね。」

「将来頑張って、13議会を目指しなさいな。」

とメグが言います。

「そうそう、あと一人いたら、議会内で権力握れるわよ。」

リエもヨーゼフを煽ります。しかし、ヨーゼフは冷静でした。


「第一王子殿下が王位についたら、僕ら四人全員粛清されると思うけど。」


少しびっくりしました。ヨーゼフはまだ11歳なのに、そういう事がわかっているのですね。というか、そういう話題がアカデミーでのぼるのですね。権力闘争や序列競争は、もうとっくに始まっているのです。


「あ、レベッカお姉ちゃま戻って来た。」

と、ルオが言いました。

さっき、レベッカが乗って行った馬車が戻って来て、玄関の前に止まったのが窓から見えました。

・・・あら?


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