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《155万pv突破!》侯爵令嬢レベッカの追想  殺人事件の被害者になりたくないので記憶を頼りに死亡フラグを折ってまわります  作者: 北村 清
第六章 伝染病襲来

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森の影(3)(ルートヴィッヒ視点)

グラウハーゼ。『灰色ウサギ』という意味だ。

『灰鷹』とか『灰狐』というメンバーもいたりするのだろうか?それとも『ユキウサギ』とか『パンダウサギ』という名前だったりするのだろうか?


「彼をおまえにつけよう。何でも調べてもらうと良い。彼のもたらす情報は信頼して大丈夫だ。」

「・・ありがとうございます。」

「ふふ、まあそんなに深刻に考えるな。第一王子にも一人ついているし、クラウスにもつけるつもりだ。私が父に『森影』を紹介されたのは18歳の時だった。まだ、おまえは17歳。クラウスは16歳だが、今は国家の非常の時だ。少し早いがつける事にした。」


クラウスは僕の異母弟だ。弟と言っても半年しか年は違わない。母親は夏の離宮に住む『蛍野妃』テオドーラ妃だ。


「何を調べてもかまわないぞ。ちなみにおまえの兄は一番最初に、別れた女の現在の恋人について調べたそうだ。」


・・まだ、あの人妻に未練があるんかい!と呆れてしまった。

第一王子である兄は人妻の女優と不倫していたが、その女が更に新しい恋人と浮気をしたので別れたのだ。兄の周囲は一安心したようだが、兄はまだその女に未練があるらしい。その執念深さに感心してしまった。


というか、何を調べさせるかは父に筒抜けなのか。となると、かなり慎重にならねばならない。

何を調べるか?グラウハーゼをどう使うかによって、僕に『国王』になれる資質があるかどうかを、父は確認しようとしているのだ。


王太子の地位が近づくか遠のくのか。これは重要な試験なのだ。


「よろしく頼む。」

と僕はグラウハーゼに言った。

「二人で話しなさい。」

と言って父は部屋を出て行った。


「何かお調べになりたい事がございますか?私も人間ですので、全てを調べられるわけではありません。しかし、力は尽くさせて頂きます。」

とグラウハーゼは言った。声からして、まだ20代くらいだろうか。


一瞬

「レベッカ姫の近況。」

と言いそうになってしまった。いや、しかしそれを言ったらなんか変態っぽい感じがする。

もっとこう、未来の国王に相応しいすごい情報を!


・・・思いつかん。


「無いようでしたら、私は下がらせて頂きますが。」

「ちょっと待て。・・なら。」

少し考えてから僕は言った。

「従兄弟の、フィリックスの情報を。」


「アーレントミュラー公子、フィリックス様の事でしょうか?」

他にいないだろ。と思うが、確認は重要だ。双方に勘違いがあったら、情報によっては悲劇的な事になってしまう。


「ああ、そうだ。」

「具体的に、どのような情報でしょうか?24時間全てについてでしょうか?それとも公子が起きている間だけでしょうか?誰とどのような連絡をとりあっているかでしょうか?好きな女性や脅迫に使える弱みについてでしょうか?」


・・まあ、ある程度絞らないとグラウハーゼだって困るよな。24時間全てを報告されても僕も困るし。


「元気に過ごしているか、誰とどのような連絡をとりあっているか、両親との関係はどうなっているのか調べてくれ。」

「承知致しました。どれくらいの期間調べましょうか?三日か一週間か一年間かで、殿下にいつ報告にあがるかが変わります。」

「なら、とりあえず三日。」

「承知致しました。では、三日後の夜九時、殿下の部屋に報告にあがります。」


グラウハーゼが出て行った。

僕はカップの中の紅茶を一人でぼーっと見つめていた。

フィルは従兄弟であり親友だった。

その親友を僕は、去年反逆罪の共犯として逮捕させた。

後の裁判でフィルは無罪になった。だがフィルは今も自宅で軟禁状態だ。アカデミーも休学扱いになっている。


彼の両親は彼にどう接しているのか?

彼は僕を憎んでいるだろうか?


そうだとしても。

僕は彼の支えになりたかった。なぜならレベッカ姫が言ったから。彼が立ち上がるまで支えてあげて欲しいと。(※作者注・言ってません。)


僕は、冷めた紅茶を残したまま立ち上がった。


三日後。グラウハーゼが持って来た情報は、脳の血管がブチ切れそうな内容の物だった。


ルートヴィッヒ王子は『王子が家にやって来た』で、間が持たなくてレベッカが言った世間話の一般論を、いいように勘違いしています。ルートヴィッヒ王子は、そういう人です。彼の脳内でレベッカは、限りなく心の美しい優しい女性に変換されています。

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