表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《160万pv突破!》侯爵令嬢レベッカの追想  殺人事件の被害者になりたくないので記憶を頼りに死亡フラグを折ってまわります  作者: 北村 清
第二章 アカデミーへ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/561

新しい年

人によっては不快に思われるかもしれない表現が出てきます。

黒くてカサカサする虫が苦手な方はどうかご注意ください。

新しい年がきた。

大陸歴312年である。


我がエーレンフロイト家は、四半世紀前に親戚がことごとく死んでしまったので、一緒に新年を祝う親族がいない。

なので、使用人の皆さんとごちそうを食べ、歌ったりハンドベルを鳴らしたりして楽しく過ごした。

両親は、1日ほど王宮の祝賀会に出かけたが、その日にはコンラートが遊びに来てくれた。


だけど、楽しかったのはその日までだ。

新年祭が終われば、アカデミーが待っているのである。


私はガタガタゴトゴト、ドナドナドナドナと荷馬車に・・じゃなかった、箱馬車に揺られてアカデミーへ向かった。

新入生の入学式は昨日だったので、一足早く弟のヨーゼフはアカデミーに行っている。

馬車に乗っているのは、私とユーディットの二人だった。


侍女はアカデミーに、絶対ついていかなければならないものではないらしい。侍女を連れていない女の子もけっこういるそうだ。

それを知って私は一応、ユーディットの同伴をお断りしたのだ。

だって、ユーディットには二人の子供がいる。ベティーナの方は12歳だが、マリウスはまだ7歳だ。

母親と別々に暮らすのは、不安だと思う。と言ったのだが、ベティーナに

「私は、もう12歳なんだし、弟も私がいるのだから大丈夫です。姫様だって、家族と離れて暮らすのではないですか。同じ王都内にいるのですから問題ありません。」

と言われてしまった。

更にお母様に

「あなたを一人で野放しにしておくなんてあり得ません!ユーディットには、週に一度館に戻って来てもらって、あなたが何か問題を起こしていないかきっちり報告してもらいますからね。」

と、言われた。


お母様ったら、三日前から機嫌が悪いんだよなー。

三日前の事なのだけど、室内はあったかくしているからか、この極寒の時期にイニシャルがGの虫が出たのですよ。まだ小さい、子供状態の。

その時、家族四人で午後のお茶を飲んでいたんだけど、私が

「あっ!虫だ。」

と言って、机の上のGをグーで叩き潰したら、オシャレな木製のローテーブルにぴしぃっとひびが入ったんだ。

それを見たお母様。声もたてずに気を失ってしまって・・・。


慌てて、離れに常駐してくれている主治医を呼べ!と、使用人さん達は大騒ぎ。

お父様は、私の手の方を心配してくれて、テーブルももっと丈夫な物にしようね、と笑って許してくれたんだけど、気を取り戻したお母様は延々と泣きながら怒り続けて、正直かなりうざかった。


今日の朝も朝ご飯を食べながら、頼むから騒ぎを起こしてくれるな、とエンドレスで言い続けるので

「わざとじゃないのに・・。」

と愚痴ったら

「わざとだったら、なお許せません!」

とキレられた。

私だって、好きでアカデミーに行くわけじゃないし、だからこそ自衛の為に日々筋トレをやっていて、ちょっとやり過ぎてしまっただけなのに・・・。

そもそも、この世界にスプレーすれば、対象物が凍るグッズが有れば、直接手ではいかなかったし。




アカデミーは、私の家から馬車で20分ほどの場所にある文教地区に建っている。

建ったのは100年以上昔だから、建物はかなり古ぼけていた。

周囲は、めっちゃ高い塀に取り囲まれていて、それをユーディットはじろじろと見ていた。

お母様がユーディットに

「とにかく、家門の恥となるような騒ぎを起こさぬよう、しっかりと見張って押さえつけておいてちょうだい。目を離したら塀くらい、軽々とよじ登って脱走する腕力と根性を持っているのだから。」

と言ったからだ。


とりあえず、私とユーディットは職員の案内で校長室へと向かったのだった。



でもって、30分後。


校長室で、私は校長と副校長からの歓迎の言葉もそこそこに、アカデミーのルールと、寄宿舎のルールを延々と説明されていた。

30分も聞いていると、最初に聞いたあたりのルールはすでに忘れてしまっていた。

紙が貴重な世界だからだろうか。『入学のしおり』的な物がない。メモをとっておけば良かった、と思ったがすでに遅い。


「わかりましたか?」

と聞かれたが

「・・はあ。」

としか答えようがなかった。

この量の説明を、一度で記憶できる秀才ばかり通っている学校なのだろうかと思うととても辛い。


と、そこへ。

秘書風の女性職員が部屋に入って来て

「ブランケンシュタイン様とヒルデブラント様がお越しになりました。」

と、言った。


びくん!っと

心臓が不正脈を起こしそうになる。


ブランケンシュタイン様とはきっと、ルートヴィッヒ王子の従姉妹、エリザベート・フォン・ブランケンシュタインの事だ。


えっ!何で⁉︎

と思う間もなく女の子が二人、校長室に入って来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ