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文子の頃の思い出 PART2

第二章に同じ題があるので、PART2にしてみました。

処刑なんて、またまたー。


と私がのんきにかまえていたのにはわけがある。


実は『泥棒』の濡れ衣をかけられるのは、これが初めてではなかったのだ。

文子の頃にも一回あるのである。

アレも偶然だが、13歳の時だった。

中学生の時のクラスメイトに、児童養護施設の子供を嫌っている女の子がいた。その子と友達グループには無視され陰口を叩かれた。

後日わかった事だが、その子は弓道部員で部長をしている男の子の事が好きだったのだそうだ。で、その部長の男の子のおじいさんは、地域の民生委員をやっていて、児童養護施設の子供らはいろいろとお世話になっていた。当然、部長も児童養護施設の子らと関わる事が多くなる。

その部長の男の子は、態度が少し大柄で恩着せがましかったし、小学校にあがる前の年齢の女の子をよくかまっていたので、小児性愛者じゃあるめいな。と私は警戒していたのだが、あばたもエクボ、蓼食う虫も好き好きというわけで、クラスメイトの女の子はその部長に夢中だった。


なので、施設の子供らに嫉妬していたのだ。そして、施設の子でクラスメイトなのが私だけだったので、その子のねたみとそねみのオーラを私が一人で受けていたのである。そしてある日。その子は弓道部の部費を入れた封筒が無い!施設の子供は貧乏なので、文子がとったに違いない!と大騒ぎしたのだ。


確かに私は貧乏だった。そして児童養護施設で暮らしていた。だが、児童養護施設で暮らしている子供の全てが貧乏なわけじゃない。

私と一番仲が良かった施設暮らしの子は、両親を亡くした後たんまりと保険金を受け取っていた。しかも死因が、焼肉屋での食中毒だったので、焼肉屋から慰謝料もたっぷりと受け取っていた。おそらく、彼女は、両親が普通にいる他の同級生の誰よりも私財を持っていただろう。施設育ちイコール貧乏というのは偏見だ。


部費はすぐに見つかった。

三日前に発売された、超有名ミステリー作家が本の中で披露していたトリックと同じトリックで教室内に隠されていたのだ。

貧乏な施設の子供は、ハードカバーの書籍など買わないとその子は思っていたらしい。もしも買うにしても、文庫化されてからだと信じていたそうだ。

その子は、私の友達の施設の子がスマホを2台持ちしていて、好きな作家の本は電子書籍でバンバン買っているとは夢にも思わなかったのだそうだ。

私に封筒を見つけられ、その子は唖然としていた。


その後私は、その子が私を陥れた超くだらない動機を知った。

担任は、私に言った。

「あいつも、ちょっとしたイタズラのつもりだったんだよ。許してやれるよな。」


そして、全クラスメイトの前でその子が私に謝り、私が「許す」と言って二人でその後握手をする。という、ある意味公開処刑を行った。


私は担任をクソだと思った。

担任の言う事に従ったのは、こいつには何を言っても無駄だと思ったのと、クラスメイトやその保護者達に『施設育ちの子の方が人間ができている』と思わせる為だ。

警察に訴えようが、教育委員会に訴えようが、その自作自演犯をたいした罪に問えない事もわかっていた。

どうせ、高校生になれば二度と会う事もないはずである。

もちろん、その子とはその後二度と口をきく事はなかったし、心の中では許していなかった。

でも、私はその事件を忘れる事にして無かった事にした。


それが日本人としての慎みというものだし、日本という国の法の限界でもあった。


私はその時と同じ感覚でいたのである。


しかし、ここはヒンガリーラント。王様が治める国で、その王様が発する言葉が法なのだ。

そして、現在の王様は、他人に無実の罪を着せる奴が死ぬほど嫌いな方だったのである。


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― 新着の感想 ―
[一言] ここで「つづく」なんですか。明日?までもんもんと過ごさなければなりません。
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