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ひまわり  作者: 森野かのこ
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第2話 帰宅

 家に着くと、予想通り二人とも帰っていた。

 「なんで電話に出ないの?こんなに遅くなるなら連絡くれないと困るんだけど」

 「ごめん、姉さん。ごはん残ってるかな?」

 「まあ、あるけど。自分で温めなさいよ。」

 「ありが…」


 姉にお礼を言いかけたその時、階段を駆け下りる音が響き渡る。


 「こんな遅くまで何してたの?」


 あまりの勢いに委縮してしまう


 「何とか言いなさいよ!連絡も寄越さないで!」

 「…ごめんなさい」

 「ごめんじゃなくて、どこに行ってたの!?」

 「電車で寝過ごしちゃって…疲れてるのかな。」

 「またなの?いい加減にしなさい!」


 母は、言いたい事をぶちまけたら気がすんだのか、

 2,3小言を言うとテレビを見始めた。


 「ほら、今のうちに食べちゃいなよ」

 「うん、」


 母の勢いに吞まれたのか、怒鳴られている私を見て可哀そうに思ったのかは

 分からないが、姉は少し優しい口調に戻った。


 自分から聞いた手前、今更いらないと言うわけにはいかなかったが、

 もう食欲はなかった。

 電子レンジのボタンを押して、また心の中の目を閉じる。


 =================================


  "あの人"がいる。

  そこは、見たことのあるようで、知らない世界だった。

  そよ風が心地いい。

  声は聞こえないが、皆やさしそうな()をしている。

  いったいここはどこなんだろう。

  手を伸ばせば消えてしまうかもしれない。でも触れてみたい――


 =================================


 『ピー・ピー』


 電子音にかき消され、気づけば見慣れた(うち)の台所に立っていた。

 小さくため息をついて、リビングに目をやると、まだ二人はテレビを見ていた。

 今行ったら邪魔になると思い、横にあるテーブルの端を片付けた。


 ソファの2人を横目に見て思わずため息がこぼれる。

「いただきます」 と小さく唱えて、手を合わせながら器の中の野菜を眺めた。


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