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7、サリナの話③

メディアはタマエと買い物をして拠点に戻ってくると、サリナがひどく落ち込んでいて・・・


「師匠、今日はタマエと服を見てきたんですよ。どうされたのですか?」

「サリナも見に来ればよかったのに・・・どうしたの?」

「・・・。」


そのままサリナは去ってしまう。


「変なサリナ。」

「そういえば、マイたちが何か知っているかもしれませんね。」


確か今日はサリナとマイとウォルドがオーガを退治に行っていたはず。

マイの部屋の扉をノックすると「どうぞ」と言われたので、メディアとタマエはマイの部屋に入った。


「!!・・・どうしたの、その傷。」

「あぁ、これ?さっきウォルドと師匠とオーガ退治に行ってきたでしょう?その時に出来た傷よ。」


座って本を読んでいたマイの左指にグルグルと巻かれた包帯。

それ以外に大きな傷はない。


「えっと・・・お大事に?」


キョトンとしたメディアはとりあえずマイに言葉をかけた。


「いや、あんた聖女なんだから回復魔法かけなさいよっ!」

「マイ、もしかしてだけど・・・そのケガと師匠の件関係あったりする?」

「まぁね。師匠、攻撃魔法は強いけど回復魔法は使えないじゃない?それで、私がケガした時に慌てふためいて・・・ウォルドが包帯持ってたから応急処置をしたんだけど、その時にはあんな感じだったね。」


サリナは攻撃魔法が得意で、回復魔法に関しては使えないからオーガ退治に同行していた2人もその点は把握している。

彼女が落ち込んでいた理由は師匠でありながらケガをしたマイの傷を治せなかった事なのだろう。

気にしなくてもいいのにと思いつつ、メディアはサリナに声をかける事にした。


「はい、これで良いでしょう。」

「ありがとう、メディア。行くんでしょ?」

「えぇ、元気の無い師匠を見るのも辛いですし。マイも来ますか?」

「うん。」


サリナの部屋に行くメディアとマイ。

メディアがノックすると落ち込んだ表情のサリナが出てきた。


「師匠、マイのケガは私の方で治しておきましたので安心して下さい。」

「師匠、心配かけてすみませんでした。」


メディアとマイの言葉を聞いて、サリナは首を横に振った。


「ううん、私の方こそマイにケガさせてしまって不注意だったわ・・・。」


その反応はやっぱり落ち込んだままで明るくなる兆しがなかった。


「あの、師匠。」

「どうしたの、メディア。」

「その、私達で良ければお手伝いさせて下さい。先程から落ち込まれているではありませんか。」

「それは・・・」


サリナは天井を見上げ、少し大きく息をはいた。


「ふぅ・・・あなた達には敵わないわね。」

「えっ、そんな滅相な!」

「違うの。」

「???」


サリナは竜魔族として、他の種族に接してきた分・・・

誇りがある反面、何処かで鼻持ちならない対応を取ってしまう事があった。

彼女にとってはそれも1つのアイデンティティなので、メディアもその事はあんまり気にはしてなかったのだが、彼女は気にする様になっていた。


予知夢?で見た彼女はクラウドに使役される事でクラウドが面と向かって言えない事を代わりに言っている感があったけど、決して彼女の本心からくるものではない様だ。


「その・・・タマエとあなた達の関係を見て、私もその・・・あなた達の師匠じゃなくて・・・と、友達になれないかと思っていたのよ!!」


サリナから発せられる正直な気持ちを聞いた2人はキョトンとして、それから2人で笑い合った。


「ちょ、ちょっと何なのよ。竜魔族だって同族じゃなくて、他の種族の人と仲良くしたい事だってあるのよ!」


少し頬を膨らませるサリナにメディアとマイは微笑んだ。


「もちろん、私達は仲間なんですから。あらためてよろしくね、サリナ。」

「うん・・・。」


サリナからこぼれる大粒の涙をメディアは優しく拭い、あらためてサリナは勇者パーティーの一員となった。


数日後

サリナの部屋


「オーラーイ、オーラーイ。よし、ここで良いだろう。」

「ありがとうございます。こんな大きなベッドを運んで頂いて。」

「良いって事よ。竜の姉ちゃんには世話になってるからよ。こいつでゆっくり休みなよ。」

「ありがとう、大事に使わせて貰うわ。」


ベッドを納品に来たおじさんとサリナは知り合いだったみたいで、この間街で絡まれていたのを助けたそうだ。

頼んでいた大きなベッドも納品されて、サリナは一息ついていた。


「これで安心して寝返りがうてるわね、ありがとうメディア。」

「どういたしまして。サリナとタマエが入ってから私達も楽しいのですよ。これは私達から仲間に来てくれた記念ですね。」


メディアは用意していた小箱をサリナに手渡した。

その箱は片手に収まるくらいの大きさで受け取ったサリナは首を傾げている。


「えっと、開けてもいいのかな?」

「どうぞ。」

「まぁ、これはブローチね。赤い宝石が綺麗ね。」

「そのブローチには私の加護が込められていて、一度だけであれば悪い事から身を守る事が出来ます。」


サリナは攻撃魔法こそ得意ではあるが、回復や補助に関しては苦手なので悪い人に狙われないか心配だった。

そうメディアが説明をすると、サリナは笑顔を向けてメディアに返事する。


「綺麗な宝石で気に入ったわ。大事に使わせてもらうわね。」

「はい。それでは、みんなの所に行きましょうか。」

「えぇ。」


メディアはサリナの手を取りみんなの待つ広間へと向かう。

この時は全てがうまくいっている・・・メディアはそう思っていた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

サリナエピソード完結になります。

更新が遅れていた理由につきましてはメインでやっている別の話とリアルでの仕事の都合により、編集がかなり遅れた状態で大変申し訳ございません。

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