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4、タマエの話③

拠点に戻ると、マイが目を点にしていた。


「あ、あんた・・・そのネコ耳娘どうしたのよ。」

「どうしたもこうしたもないわ。彼女はネコ玉族のタマエ。新しい仲間よ。だから、皆に改めて紹介するわ。」

「ネコ玉族!?上位種じゃん。私はマイ、魔法使いね。」


驚きながらも、マイはタマエに挨拶をする。


「私はタマエ。こちらこそよろしくね、マイ。」


マイもタマエも気さくに挨拶をかわしていた。



ロビーに集まって貰い、メディアはタマエにあらためて仲間を紹介する。


「メディアがネコ玉族を連れてくるなんてな。俺は勇者のアレク、よろしくな。」

「タマエだよ。よろしくね、アレク。」


アレクはタマエが仲間に入る事は問題ない様だ。


「おいおい、ネコ娘が入るのかよ。ここは仲良しの集まりじゃないんだぜ?」

「あら、ウォルド。そんな事言って良いのかしら?」

「ん?何の話だ?」


ウォルドは気乗りしない様なので、メディアがそっと耳打ちする。


「あのネコ玉族よ。仲間として即戦力は確定。それにあなた、最近アレクやクラウドが手合わせしないって言ってたじゃない。」

「そ、それは・・・」

「あの子と手合わせなんて大金積まれても出来ないわよ?喧嘩吹っかけたら戦えるかもしれないけど、それじゃあ只じゃ済まないし。」

「・・・分かったよ、俺は戦士のウォルドだ。よろしくな、ネコの嬢ちゃん。」


メディアはウォルドを説得して仲間に引き入れる。


「よろしくね、ウォルド。手合わせならいつでもいいよ。」

「お、そいつは助かるぜ。タマエだったな、覚えておくよ。」

「うん。」


そして問題の・・・


「俺はクラウド、テイマーだ。メディア、ちょっと・・・」


クラウドは少し離れてメディアを呼ぶ。


「どうしました、クラウド?」

「あのさ、あの子はネコ玉族だろう?だったら、テイマーの俺に使役させて・・・!!」


クラウドが言葉を言い切る前に、メディアの拳がクラウドの鼻の前で止まる。


「タマエは私達の仲間として迎え入れた。あなたも仲間だから今回は寸止めで許してあげる。もし、今度仲間を使役したいとかクズな事言ったら本気で殴るわよ。」


メディアのクラウドに向ける目は本気で、次は無いという気迫を感じさせる。


「す、すまない。」

「分かればいいわ・・・」


クラウドはタマエに向き直り


「すまなかった。自己紹介の途中で。」

「気にしてないよ。よろしくね、クラウド。」


まさかとは思ったけど・・・クラウドは上位種の使役に興味があるらしい。


「(困ったわね・・・そう言えばあの方法があったはずね。)」


メディアにはある考えがあった。

拠点には何部屋か空き部屋があり、掃除は必要になる為

タマエにはメディアの部屋で休んで貰う事にした。


「メディアは寝ないの?」


心配するタマエにメディアはニコリとほほ笑み


「少し調べものがありまして。タマエは休んでいて下さい。」

「無理はしたら駄目だよ。おやすみ、メディア。」

「おやすみ、タマエ。」


タマエが眠った後もメディアは調べものをして・・・気が付けば朝になっていた。



「メディアっ!・・・メディアってば!!」

「ん・・・あ、眠っていましたか。」


メディアは机に本や書類を広げたまま、突っ伏して眠っていたらしい。


「『眠っていましたか。』じゃないよ、きちんと寝ないと。」


心配そうに彼女の顔を覗き込むタマエだが・・・


「いえ、それが・・・むしろスッキリしているんですよ。」


理由はある。

それは、悪夢を見ていないから。


「変なメディア。」

「今日は部屋の掃除と買い物をしましょう。私の部屋は狭いでしょう。」

「そうだよね。メディアの部屋だから・・・」


タマエにも部屋があった方が良いという意味で言ったメディアだったが、タマエにはそう言う意味ではとらえられなかったらしい。


「元々この拠点には余っている部屋があって、タマエの部屋として使える部屋もあるのですよ。だから、今日はタマエの部屋を素敵な部屋にしましょう。」


メディアがそう言い直すと、誤解は解けた様で上機嫌のタマエは飛び跳ねる。


「うん♪部屋のお掃除と買い物だね。」


タマエにあてた部屋を二人で掃除をして、次は生活必需品の買い出しで街に出た。


「楽しいね、メディア♪」

「そうですね。・・・あ、これは。」


メディアが露店に目をやると、黄色の宝石が付いたペンダントがあった。


「どうしたの、メディア?へぇ、そのペンダントに付いている石綺麗だね。もしかして欲しいの?」

「えぇ、お守りに丁度良さそうですね。」

「お守り?」


首を傾げるタマエにメディアは説明する。


「えぇ、悪意のある魔法から守るお守りを作るんですよ。すみません、こちらのペンダントを下さい。」


メディアは代金を支払い、包装用紙を別に貰った。



拠点に戻った二人は部屋を整えて、メディアは用事があると部屋を離れた。

部屋に一人・・・ベッドの上で転がりながらタマエは考える。


「メディアがいないと寂しいなぁ・・・」


夕食の時間になっても、メディアは後で食べると言って一緒に食べる事はなかった。


「メディア・・・」


ベッドで転がっていると、ドアをノックする音が聞こえる。


「はーい。」

「あ、私です。」


返事をしたのはメディアだった。

タマエが部屋に招き入れると、メディアの手には包装用紙に包まれた何かを持っていた。


「タマエ、少し遅くなりましたがこれを。」

「開けていいかな?」

「ええ、どうぞ。」


タマエがワクワクしながら包みを開けると、外に出た時にメディアが買っていたペンダントだった。


「これは?」

「あなたが上位種と聞けば、きっとあなたを悪用する悪者もいるはずです。ですから、私に出来る事をと思いお守りを作りました。それと、このペンダントはあなたに合いそうだったから。・・・え?どうしたんですか、タマエ??」


メディアが焦っていたのは、タマエが泣いていたから。

泣きじゃくりながらもタマエは話す。


「・・・ありがとうメディア。私・・・ここまで大切に思われているとは思わなかったから、嬉しくて・・・」


悪夢に出てきたタマエとは違う姿にメディアは、彼女もあんなバカバカしい事をやりたくてやっていた訳では無いと感じていた。


「いいんですよ、タマエ。あなたは私達の大切な仲間なのですから。」

「うん。」


本当は訪れるか分からない悪夢。だけど、あまりにも酷い内容に彼女は回避するべく行動した。

しかし、タマエの本来の姿を見て彼女は思う様になる・・・悪夢を回避する事ではなく、みんなが幸せになれる未来を目指そうと。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

タマエのエピソード完結ですね。

タマエとの絆を大切にするメディアはタマエの為にアクセサリを用意します。

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