天国でも地獄でもなくてノーティー・ワンらしいです。
「あ、あの、これはどういう状況なのでしょうか」
おそるおそる声をかけると、カウルはピクリと眉を動かした。
「なんだと?」
「ここはどこですか?地獄ですか?わたし生前になにかしてしまったのでしょうか。愛想はなかったかもしれませんが法律を破ることもなかったし、人様に迷惑をかけることもなかったと思います。SNSで調子に乗りすぎましたか?でもあれはわたしの趣味だったし、大切に育てた食物もうまく出来た料理も、誰かに見せたかったし誉めて欲しかったんです。
あ、もしかしてそっちで稼いでいたのがダブルジョブで規定違反だったでしょうか。身バレするのがいやで誰にも言ってなかったので会社にも秘密だったんです」
「はああ?なにいってるの?」
赤髪君は眉をしかめた。
「訳わかんないこと言い出してさ、それも作戦ってわけ?生前なにしたかなんて自分が一番よくわかってるでしょ。
このノーティ・ワンが財政難になったのも、お前のわがままと豪遊のせいじゃないか。敵国に攻められて、ここまでズタボロになったのも、遊ぶ金欲しさに敵国の男に城の内部情報を流して稼いでいたからだろう!」
赤髪君が叫ぶと、その周りにいた男達がそうだそうだと声をあげた。
わ、わたしが豪遊?!
質素に暮らしてきたはずなのに、まさか。
あっ…でもおとといはセールの卵じゃなくて赤卵を買ったけれども…!そのくらいの贅沢も許されないのだろうか。それに、城の情報ってなに?
「ノーティ・ワンって、なんですか?この都市の名前でしょうか。それとも国?」
そういえばみんな日本語をしゃべってる。
死後の世界は、自動的に共通語になるのかな。
「はああ?!いい加減にしろリア!!自国の名前まで忘れたふりとは俺達を侮辱してるのか!お前は心までも敵国に売ったのか?!」
リア…?もしかしてそれは、わたしの名前なのだろうか。死ぬと戒名のように名前が変わるってこと?
わけがわからない。
「え、ええと、ごめんなさい。違うんです。なにもわからなくて…その、リアっていうのはわたしの事で合ってますか…」
周りを見渡しながら聞くと、みんなは忌々しそうに歯をぎりぎりとさせた。
「てめぇ!いくら姫だからっていつまでも調子にのりやがって!!バカにしすぎだ!総長!もう俺我慢できねぇっすよ!」
後ろのほうの男がいきりたって飛び出そうとしたが、カウルが腕を伸ばして制止させた。ソウチョウってなんだ?
「リア・デルフィニウムだ」
「ーーは?はい?」
「お前の名前は、リア・デルフィニウムじゃないのか」
「ちょっ総長!!何言ってんすか!優しくしてやる必要なんてないっす!この女は頭が変になったフリをして、この場をなんとか回避できればいいと思ってるだけなんすよ!」
今にも飛びかかって来そうなほどの殺気をむけられた。この場にいるみんなが、そんな雰囲気だった。




