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お嬢様と執事

作者: たかつかさき


あっ今日はピアノの日だったわね


突然思い出したかのように話す少女。


お忘れですか?今日はピアノと茶道のお稽古とですよお嬢様


どこか冷たく突き放す声で話す青年。





なによ

そんな冷たく言わなくてもいいでしょ?

だいたいあんたは使用人の癖に生意気なのよ!誰のお陰で私の側にいられると思ってるのよ。あの時私があんたを選んでなきゃ今頃施設行きだったのよ?感謝してほしいわ



と威勢よく執事の青年に言い返す少女の顔は眉が釣り上がり折角の美貌が台無しである。


青年は無表情に


申し訳ありません


と少女に謝罪する。


その表情に少女は口を開きそうになるがなんとか飲み込み


わっわかればいいのよ!


とそっぽを向く。


昔はこんなんじゃなかった

いつからこんな関係になっちゃったんだろうと自分の天の邪鬼に嫌になりながら学校へ登校する少女



青年は少女の見送りを済ませ屋敷の業務を行い家主の帰りを待っていた







広い邸宅に黒い車が一台止まった。

車から降りてきたのはスーツを着た数人の男たち



屋敷の使用人たちは戸惑いながら荷物を抱えでていく





その光景を屋敷の窓から笑ってみている一人の男がいた。








授業が終わり屋敷に戻る少女。



玄関についた途端に異変を感じる。

いつもは執事の青年と一緒に他のメイド達も出迎えにくるのだが

一向に誰も来る気配がないのだ。




何?なんなの?なんで誰も出迎えにこないのよ!


と叫び辺りを見回すと今朝まで玄関にあった伊万里焼の壺や有名な絵画がなくなっているのに気づく。




どういうことなの?


と少女が困惑していると


広いロビーの階段からゆっくり降りてくる人影がある



おかえりなさいお嬢様


と笑顔で出迎える青年


仕立てのいいスーツをきて

髪も上げて今朝とは別人のような青年の格好に驚く少女


そんな少女に薄ら笑いの笑みをかけて


ああ、もうお嬢様ではないんでしたね

知っていましたか?貴方のお父様は事業を失敗させ夜逃げされたんですよ?大事な愛娘の貴方を残して







え?

何言ってるのよ…

あんた頭おかしいんじゃない?

私のお父様がそんなことするはずないじゃない!?

い、今お父様に電話をかけてお前が無礼なことをしたって言いつけてやる!




勢いよく言い放ち急いで父親に連絡をとる少女だが、電話の向こうでは


この番号は現在使われておりません

と虚しく繰り返すだけ




顔色が徐々に変わっていく少女がおかしくて堪らないか

体を震わせ笑いを噛み殺している青年



少女は少しづつ自分の現状を理解していった




おっお父様がいなければ

私一人で何が出来るっていうの?

全部お父様の稼いだもので成り立っていた…


着替え一つ自分じゃできないのよ?

メイドもいない

コックもいない

誰もいない



誰も…


















いた


一人だけいた


私だけのもの





目の前にあいつがいるじゃない!









ねぇ!助けてよ!


あの時私はお前を助けたでしょ!?

お父様がいなくてもお前は私に報いてくれるわね?


必死ですがる少女の姿に

青年の笑いは消える


























「いいですよ?

でも今度はお嬢様が俺に仕える番です。」



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