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俺の名前は伊藤吉弘。「この子はなかったことにして!元カレの子なの!」と叫ぶ母親から誕生、そのまま孤児院へ直行。学費を必死に工面してT大学の医学部に入学した俺に待ち受けていた壁は、高額な教科書代だった。
持病の診察時、主治医に相談したら、横にいた女医さんから「君、良いバイトがあるんだ。やらないか?」と言われ、「やります」と即答。「臓器売買をする悪党を倒す」みたいな内容だった気がするが、よく憶えていない。その女医さんがものすごく美人で、見とれてしまっていたから。
主治医は止めてきたけど、俺に迷いはなかった。彼の言うことを聞かなかったのは、始めてだったかもしれない。そして、案の定そのバイトが結構きつくて、大学二年生になった途端に持病が悪化。休学して、今に至る。
他人の休学・退学・留年は蜜の味。俺の休学は高校の旧友たちに広まり、「暇そうだから、結婚式のムービー作っておいて」との依頼が来る羽目になった。そんなに深い間柄だったか疑問に思いつつも、断る理由もなく、こうして母校へ足を運んでいるのだった。




