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とあるマッサージハウスの日常

01 とあるマッサージハウス



「んっ はぁ はぁ はぁ とっても気持ち良いです。」

「そっ そこがとっても気持ち良いです。 もっと もっとお願いします。」


ベッドの上には薄着により強調された身体を火照らせた妙齢の女性が横になっている。

その傍らには、嗜虐的な映美を浮かべた銀髪の美少女の姿があった。

女性からか少女からか醸し出される甘い空気が充満した部屋には非日常から生まれる背徳がにじんでいる。

少女の艶やかな唇から紡がれるささやきの後、少女の儚く繊細な手が女性の身体に触れていく。

少女の滑らかな手は楽器を奏でるかのように女性の体の上を撫でていく。

そのたびに、女性からは歓声とも嬌声ともとれるような恍惚とした声が響く。


「お客様 そんなだらしない表情をしてどうなされたんですか?」

「ただマッサージしているだけなのに、そんなにとろけた声出しちゃって恥ずかしくないんですか?」

「小さい女の子にいろんなところ撫でられるのがそんなに気持ちいいんですか?」


子猫が虫をいたブルような表情を浮かべた少女は、ぷにぷにとした頬を上気させながら実に楽しそうに女性をもてあそぶのであった。


このような倫理的に危なそうな光景を説明するには話は少し前に巻き戻る。


厳島いつくしま 詩織しおりは疲れていた。

会社では上司の小言は止まず、仕事量も年を重ねるごとに増えていき詩織を追い詰めるばかりであった。

そな荷重労働を終えた帰り道、1つの看板が目に入った。


「マッサージハウス ごーほー」

あなたの願望ごーほーてきに解決します

最高の癒しをあなたに

という怪しげな文言の隣には、輝くような銀髪をツインテールに結った美少女の笑顔があった。

整った顔立ちは幼さを残しながらも美女へ至る片鱗を見せるかのように、少しの妖艶さを醸し出している。

服装は半そでの白衣ケーシであるが所々改造がしてあり、清潔さの中に色香とかわいさを演出している。

体系は悲しいかな絶壁幼児体系であり、ある意味ニーズを満たしている。

紅玉のような瞳は、医師の強さを示すかのように爛々と輝き、魔性に魅入られるような錯覚さえ与えている。


正常な判断能力を持てていれば明らかに怪しい看板に引っかかるものなどいないであろうが、詩織は違った。

半ば自暴自棄になっていたのか詩織のユートピアが見えたのかわからないが、詩織は光に吸い寄せられる羽虫のようにふらふらと店に入るのであった。


店に入ると外の妖しさとは打って変わって清潔さ漂う店内が広がっていた。

10畳ほどの待合室には2セットのテーブルとソファーが設えられており、入り口のそばには立派な本棚も備えてある。

また、部屋の奥にはいくつかの扉と木星のカウンターがあった。

そのカウンターには人形と見間違えるような美少女が空虚な瞳をこちらにむけたまま佇んでいる。

しおりの見間違いでなければ、看板で自信に溢れた微笑を浮かべた少女とは見た目は同じである。

ランランとした瞳はなりを潜め、死んだ魚のような目が入り口をただ見つめている。

少女は詩織が入ってきたことにも気付いておらず、近づいてくる詩織にも全く反応を見せない。

恐る恐る近づいていった詩織は、少女を驚かせないように話しかけるのであった。


あの~ 今1人大丈夫ですか? すごく疲れてるんでお嬢ちゃんに癒してもらいたいんだけど?」


養女に近づく不審者のような笑みを浮かべた詩織が話しかけると、少女の目に生気が戻り輝くような笑顔で応対した。


「いらっしゃいませお姉さん。 気付かず申し訳ありません。 はい 大丈夫です。 お姉さんが久しぶりのお客さんなんですっごく嬉しいです。 うちはコースがいろいろあるんでこの中から選んでください。」


先ほどまでの生気の抜けた表情からは一遍してこぼれんばかりの笑顔で少女が対応する。

不審者のような笑みを深くする詩織には頓着しないのか気付かないだけなのか少女は1つの冊子を手渡すのであった。


マッサージハウス ごーほー コースリスト


※ コースは延長も可能です。(秋涼の10分前にはお伝えください。)

※ 延長は60分コースより長いもののみ使用可能です。

※ 種々のオプションを取り揃えておりますので、女の子と相談のうえお決めください。


60分コース  3000円

15分コース  1000円

90分コース 4000円

120分コース 5000円

延長 15分500円


オプション (応相談のため時価となります。)


言葉攻め (ライト・ミドル・ヘビー)

脚ふみ (ソフト・ノーマル・ハード)

バブみ (入門編・中級編・上級編・転生編)

幼馴染 (辛口・中辛・甘口・激甘)

妹 (顔を見るのさえ嫌がられる・挨拶や世間話程度・たまには仲良く遊ぶ程度・一緒にお風呂に入るくらい親密)

  (実妹・義妹・親戚・近所の妹分)

※ 妹オプションは上記の2つを組み合わせてご使用ください。

先輩 (しっとり・サバサバ・オラオラ・クール)

大和撫子 (純情・微エロ・どエロ)

先生 幼稚園・小学校・中学校・高校・大学)

etc………

その他 (ご希望のオプションがありましたら薄い本にならない程度のもので女の子と相談してください。)


あえて狙って作っているのかわからないが、目の前の純真そうな少女からはかけ離れた文言の羅列には変態の片りんを見せているしおりですら軽い苦笑いを浮かべている。


冊子を読み進めていくと、注意書きの次には三人の魅力的なロリータの顔写真がありそれぞれの名前の下には微妙なキャッチフレーズと一言がついていた。

看板の少女はノアといい、


キャッチコピー

オールラウンダー絶壁店長 


一言

大腿のオプションは無難にこなせます。 容姿以外はパッとしないけど愛してください。)


とツッコミ力を試されるようなことは書いてあったが詩織は菩薩のような表情を浮かべ読み飛ばした。


しおりが三人の顔写真に息を荒らげながらオーダーを考えていると、ノアが不安そうな顔で訪ねてきた。


「やっぱり、瑠璃ちゃんとかかのんちゃんのほうが魅力的ですか? 私を愛して(選んで)くれるとうれしいんですけど好きな子を選んでくださいね。」


思い人を、友人に譲る覚悟をしたような儚くも決意のこもった瞳でノアが告げると間髪を入れず詩織が叫んだ。


「60分コースでオプションは言葉攻めのライトでノアちゃんを指名しますっ!!!」


ノアは感極まった笑顔を浮かべ、大きくうなずくのであった。


「では、60分コースで言葉攻めのライトですね。 普段ならオプションにもお金がかかるのですがとてもうれしかったのでコース代だけでいいですよ。」

「では言葉攻めなので、少し距離を取った感じでお客さんて呼びますね。 もし途中で呼び方を変えてほしい時があったら言ってくださいね。」


「うん ありがとう。 あと、さっきは思わずノアちゃんって叫んでしまったけどこれからもノアちゃんって呼んでも良いかな?」


「いいですよ 名前で呼んでもらえるとうれしいです。 では施術室に行きましょうか。 一生懸命頑張りますのでよろしくお願いしますね。」


獲物を見つけた獣のような笑顔の少女と夢見る乙女から可憐さや清らかさなどのプラス成分を差っ引いたようなだらしない笑顔を浮かべた女性は施術室へと向かうのであった。


読んでくださりありがとうございます。

なるべくギリギリを狙っていきますが、悪意はないので許してください。

特にミッドナイトとかノクターンとか・・・

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