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お腹の中にある地球

作者: 中西 ぴこら

私の弟か妹が母のお腹の中にいる。


「この中で赤ちゃんは小さな玉から人の姿になっていくんだ。進化を中でしているんだよ。」


父は言った。


進化をこのお腹の中でしているの?


ならこの丸く大きなお腹には地球が入っていて、その中で進化をし続ける人間がいるんだ。


お腹の中の地球も青いですか?

木々が沢山ありますか?

1人で寂しくないですか?


答えてくれない。

まだ早すぎるのだろうか。

もしかしたら赤ちゃんはまだ進化の途中の木ねずみかもしれない。

嗚呼、待ち遠しい。


君は何て神秘的。


水の膜に手を触れ一瞬来るあの冬のように、新しいことをする時の陽気な春のようにゾクゾクが止まらない。

いつか生まれる。

もうすぐ生まれる。

呼んだら出てくる?


楽しみだなぁ。


母が家から消えた。


赤ちゃんを産むために病院に入院してしまった。

電気の消えた暗い家で私は今日もアニメを見る。


父が電話を終えて私のところに来て言った。


「お母さんの所に行くのとおじいちゃんおばあちゃんの家に泊まりに行くのどっちがいい?」


おじいちゃんおばあちゃんの家は少し暗くて怖いから私は泊まったことがない。


「お母さんの所に行く!」


と答えると父は答えた。


「お母さんすっごく泣いててすっごく痛くて血を流してるけどそれでも行く?」

「嫌だー。じゃあおじいちゃんおばあちゃんの家に行くー。」


だってそんなことを言われたら行きたくなくなるでしょう?

赤ちゃん早く出て来てよ。


お母さん痛いんだってよ。

泣いちゃうんだってよ。

早くお腹の宇宙から、地球から出て来てよ。


まだお猿さんでも大切にするから。


私はその日一晩中泣いて初めておじいちゃんおばあちゃんの家に泊まった。



「元気な男の子が生まれましたよー。」


「生まれたね、よっちゃん。名前何にしようか。」

「俺ね、昨日龍が夢に出てきたんだ。」


ある日、母からは宇宙が流れ出て地球を産み落とし私の弟を産んだ。




4歳の頃の話です。進化…!って感じでしたね。

ああー・・・あの時くらい清々しく生きたい。

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