第一部までのあらすじ
下記二作品の内容をまとめたものです。
・序「荒国に蘭」
・第一部「金色の螺旋」
天の帝により統治される世界、天治界。神々の御座す天界には、次代の天帝となるべく定められた聖龍と、その双子の弟である黒龍が君臨していた。
弱き人間たちを憂いた双神は、それぞれ神巫女『光龍』と『闇龍』を創造し、力を与えて人界に遣わした。巫女たちは五百年ごとに人の子として転生し、各々の主である双神に仕えることになる。
その後、黒龍が邪神に堕ちて『黒神』となり、『天宮の戮』を起こして父たる天帝を弑逆する。聖龍は黒神を下界に封じ込め、天帝の座に就いて世を治め始めた。
人界に残された光龍と闇龍は、主たちが決別したため、転生する度に憎み合う敵対関係となった。死す度生まれ変わり、永久に戦い続ける螺旋輪廻を繰り返す――
其れから千五百年の後。神巫女たちの攻防の末に黒神の封印が解かれ、天治界は騒然となった。復活した黒神は、天帝・聖龍を凌ぐ力を身に付けて放たれた。
同時期に、四人目の光龍である少女麗蘭が、人界を支配する二大国の一、聖安帝国の第一公主・次期女帝として生を受けた。
その頃聖安は、人界の覇者になろうとするもう一つの大国、茗帝国との戦の渦中にあった。
麗蘭の母、聖妃――のちの恵帝は、生まれた娘が光龍であることを知り、茗の女帝・珠帝や天の敵勢力『非天』より遠ざけるため、麗蘭を女将軍風友に託して山奥へ隠す。麗蘭は光龍として武術や神術の腕を磨きながら、敵である妖王や闇龍・瑠璃との戦いを切り抜け、美しく成長した。
茗との戦で劣勢に立たされた聖安は、表向きの第一公主である蘭麗姫を珠帝へ人質として差し出す。此れにより聖安は、停戦と言う形ではあるが、事実上茗の支配下に置かれてしまう。
十六歳になった日に、帝都・紫瑶にいる恵帝の元へ呼ばれた麗蘭は、自分が恵帝の娘であり、女帝となる定めの公主であると告げられる。九年もの間茗で幽閉されている麗蘭の妹蘭麗を救うため、恵帝は麗蘭に青年将校蘢と共に茗へ潜入するよう命ずる。
旅の途中、女闘神と魔王の血を引く魁斗との出会いや、幼馴染みの優花との再会、珠帝の臣下『四神』など強敵たちとの戦いを経て、麗蘭は茗へ辿り着き蘭麗を奪い返した。その一方で、茗が聖安を煽ったことにより両国の関係が悪化し、二大国は開戦に踏み切った。
時を同じくして、かつて茗を襲い壊滅状態に陥らせ、英雄・青竜の左目に封じられていた金竜が解き放たれた。人界の脅威を前に、恵帝は珠帝に和睦を持ち掛ける。
珠帝は交渉に応じ、会談に参席したが、その場で恵帝を剣で刺し貫く。恵帝の犠牲により、麗蘭は光龍の真の目覚め『開光』を成し遂げた。
直後、龍の姿となった黒神が現れ、金竜もろとも珠帝を食い殺してしまう。元より黒神は珠帝と盟約を交わし、麗蘭の覚醒を条件として金竜を滅ぼすと約していたのだった。
失意のうちに都へ戻った麗蘭は、母の意志を継いで蘭麗と手を取り合い、偉大な女帝となることを誓う。そして裏で全ての糸を引いていた黒神に対し憎しみを深め、光龍として彼を倒す決意を新たにしていた。