第2話 目と耳が使えなければ心で感じなさい
あれからどれだけ時間が経っただろうか?
僕は目と耳が聞こえない状態で揺られていた。
「やはり、お電話くださると思っていましたよ」
電話の向こうで嫌味な笑みを浮かべているのが嫌でも伝わってきた。
「なんで僕からの電話だとわかったんですか」
「はて?なんででしょう。まぁ、そんなことはいいじゃないですか」
全然良くないのだがこのまま聞きただしても話が進まないと思ったのでこれ以上問わないことにした。
「……さっきの実験のやつ受けさせていただきますよ」
「ありがとうございます!でもあんなに警戒してたのにすぐにお電話くださるとはなにがあったのでしょう。まぁ、気にしませんが」
「いちいち気に触る言い方をする人ですね。で?僕はどうすればいいんですか?」
「迎えに行かせていただきますので少々お待ちいただいても?」
「わかったよ…」
電話を切った瞬間にインターホンが鳴り、僕は驚いた。
ーーどこまで先読みしているんだよ…
ちょっと不気味に思いながらもドアをゆっくりと開けた。
家を出てすぐにアイマスクと耳栓をされたからどこへ向かってるのだろう。わかるのは車に乗っていることと乗ってから数時間経っていることだけだ。
「すいません、あとどれくらいで着くのでしょうか?」
質問をしてみたが、返事はかえってこない。
「…こっちは実験を受けてやる側だぞ…」
ボソリと愚痴をこぼすと今まで揺れていたものがピタリと静止した。勢い良くドアが開き、僕はその場から投げ出された。 アイマスクと耳栓を取ってもいいと許可が下り、取って見ると目の前には異様な光景が広がっていた。