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第一話 「夏影 -The late summer-」 02

Middle Phase


01◆ 侵蝕              シーンプレイヤー:外山葵


GM: ということで、ミドルフェイズに入るんですが、シーンプレイヤーは引き続き外山です。

葵: はーい。

GM: 侵蝕率を上げてください。シーンの場所は、学校内です。

葵: てことは、さっきの続きか。

GM: です。8月28日(水)9時半。で、外山なんですが、衝動判定してください。目標値は12!

葵: なんと!?

神代: ああ、これで侵蝕率が皆と同じくらいになるね。

天道: コラ(笑)。

葵: えー……4です。そして、侵蝕率が47%に!!

天道: あ、暴走した。

葵: 衝動は自傷なんですよねぇ。

天道: じゃあ、何か得体の知れない力を体内に感じるとか? ドクン、ドクン、ジュアアアア(←SE担当)

GM: そんな感じで胸の傷が急速にふさがっていく、と。


 目の前で元に戻っていく胸元の傷に気持ち悪さを覚え、何かにとり憑かれたように胸元を自らの手で傷つける、葵。

しかしその傷もまた、すぐにふさがってしまうのだった。


GM: 今、外山の目の前には、さっき見た人影が居ます。

葵: え? は!? なんだ、これ……っ?

GM: というところで、戦闘に入りますよー! 敵は3体! 他のプレイヤーも登場可能です。そして、今回の戦闘には条件が設定されています。


   【勝利条件】

     ・敵に総ダメージ100点以上を与えると、敵が「撤退」する。

     ・葵が「逃亡」に成功すると戦闘終了。「逃亡」するには、誰にも邪魔をされない状態で、メジャーアクションで「逃亡」を宣言することが必要。ただし、暴走状態では「逃亡」は不可。

   【敗北条件】

     ・葵の侵蝕率が100%を超えると、その時点で葵がジャーム化し、シナリオが終了する。


一同: ええええええっ!?

GM: なお、1ラウンド毎に外山には衝動が発生します。

葵: マジかっ!?

天道: この戦闘……ガチだな!

神代: 《サイレンの魔女》でいくか。

GM: ええと、イニシアチブなんですが、ボスと思われる、立っていた人影が40。

葵: 早っ!?

GM: 他の2人は、14と10です。

神代: では、登場! (抑揚なく)こんな夜更けに、誰? 無粋な真似を。

葵: え? か、みしろ……さん?

天道: こちらも登場! ズゥン!!

葵: しょ、照……。

天道: 葵ぃっ!! 大丈夫かー!!

葵: なっ、何がっ!?

凪山: ではそこに、グラウンドを観音開きにして、何事ですかっ!? と出てきます。今度は女子の制服を着て。

葵: あ! なんか、顔見たことある奴も!? …………こ、この状況は、えーっと(汗)。

神代: (極めて冷静に)あ、混乱しなくていいと思う。落ち着いて?

葵: え? あ、う、うん……。

天道: よし!! ここは俺たちに任せろおおおっ!!

凪山: ってとこで、俺ら3人と、敵さん&外山との距離はどのくらい?

GM: 20メートルです。

天道: 1ラウンド目が移動で終わる……か。

GM: では、セットアップからいきます! 何かする人いる?

葵: 俺は何もしません。状況についていけてないので。

GM: はい。では、行動値40なんですが、行動を放棄します。

葵: ……はっ!? 何か、見られてる?

GM: 「予定通り、覚醒したか……。」

葵: か、覚醒? 何のことだよ!?

GM: というところで、次は行動値14! 便宜上Aにしときます。Aは乱入してきた3人の誰かに攻撃しよう。(ダイスを振って)じゃ、凪山に。

凪山: 一番攻撃力がないところを狙ってきたね?

GM: まあ、まだ力見てないしね。マイナーで《主の恩恵》メジャーで《光の弓》《主の右腕》《コンセントレイト:エンジェルハィロゥ》!(ダイスを振る)あ……しょぼい。17。

凪山: 1回クリティカルすれば……(ダイスを振る)って、ダイス1個じゃ無理!

GM: (ダイスを振る)ダメージは11点!! 次は行動値12!!

神代: はい、いきます! (抑揚なく)人に名前を問われたならば、答えるのが筋でしょう? 私の名前は神代明日弥。神に代わって明日を弥せる女よ。くらいなさい! (素に戻って)ということでマイナーで《千変万化の影》メジャーで《サイレンの魔女》! ここにエフェクトバーストを使用します!!(ダイスを振る)達成値は24!!

GM: まず、ボスは回避しません。Aは回避を試みます。《うごめく沼》《蛇の動き》《リフレックス:エグザイル》!(ダイスを振る)でも、無理!! Bはガードです!

神代: では、(ダイスを振る)35点の装甲無視が、3人に♪

GM: Bが《イージスの盾》! 20点ガードしましたので……いきなり85点もくらったのか!

神代: あともう一息!!

GM: 次は、行動値10でBの番だね? マイナーで《完全獣化》《破壊の爪》!

葵: ひいいいっ!! なんだぁコイツっっ!?

神代: ああ、いきなり目の前で人間が獣になったしね。

天道: そりゃ、そうなるよね(笑)。

GM: で、全力移動で後ろの3人にエンゲージします。

葵: ああ、よかった、こっち来なくて……じゃなくて! 一体何が起きてんだよっ!?

GM: では、行動値8!

凪山: ほーい。では近づいてきたほうにマイナーで《オリジン:レジェンド》メジャーで《コンセントレイト:バロール》《死神の瞳》《流血の胞子》!(ダイスを振る)達成値は13!!

GM: それは避けられない。

凪山: では、邪毒レベル3のバッドステータスと、次の攻撃をくらったときにダメージが+2Dされます。

GM: さて、次は外山の番なんですが……。

葵: えー、じゃあ目の前の光景に怯えてるってことで、待機!!

天道: そして、俺の番!!《コンセントレイト:サラマンダー》《憎悪の炎》《炎の刃》! 寄らば斬るっっ!!(ダイスを振る)36で攻撃!!

GM: ガードします!

天道: (ダイスを振る)ダメージが41点!!

GM: こちらは装甲値が9点で、ガード値が19なので、13点通った。

天道: そして、憎悪のバッドステータス。

GM: 次、Bは天道を攻撃しなきゃいけないってことね? はーい。では待機してた外山の番。

葵: ……1回手番捨てちゃっても、平気?

天道: いいんじゃない?

葵: わかった。では、戦闘前の神代さんの言葉を思い出して、少しだけ落ち着いてきた。マイナーで暴走を解除。メジャーは放棄。

天道: 大人な動きだ(笑)。

GM: では、クリンナップ!

凪山: 邪毒ダメージを9点食らってください。

GM: では、それで総ダメージが100を超えるので、「……これ以上の戦力の消耗は認められない。」と、ボスらしき人影が、他の2体を包み込むように影を展開します。

天道: 逃げるのかあっ!!

GM: 「戦略的撤退、と言ってもらおうか。」

天道: じゃあ、ここでBにロイスを取ります!

GM: Bに!? ……いいですよ(笑)。

葵: 俺は、相手が居なくなったから安心して気が抜けて、そのまま気を失う。

GM: と、そんなところで、シーンを切りましょう。


02◆ 予感             シーンプレイヤー:神代明日弥


 飾り気のない白い部屋に飾り気のない白いベッド。小さな箪笥。

それ以外の家具は何もない部屋で、今日も神代は目を覚ます。


GM: えー、日時は8月28日。少し時間は戻って、朝7時です。朝の演出をしていこうと思うんですが……。

神代: あ、部屋はとてもシンプルな感じで、白い壁に白いベッドみたいな。

GM: ああ、わかりやすい。

神代: そんな部屋で目覚まし時計が鳴って、それを止める。(ダイスを振る)侵蝕率が9も上がった……。(抑揚なく)……今日は何かありそう(。一同爆笑)

GM: で、部屋を出ようとするときにですね。留守電にメッセージが1件入っていることに気がつきます。

神代: ピ。(と、ボタンを押す仕草)

GM: 「高円寺の使いの佐々木でございます。指定の口座に当面の生活費等を入金しておりますので、ご確認ください。」

神代: ……じゃあ、出ようとして玄関のほうに向かってたんですが、一旦部屋の奥にあるタンスのところに戻って、棚をすっと開けて、通帳を鞄に入れて学校に向かいます。(一同笑)

GM: ちなみに、交友関係はどんな感じなの?

神代: 交友関係としては、ほとんどないです。でも、許せないこととかがあると首を突っ込んで、「神に代わって~」のくだりを言ってるので、周りはみんな私のことを知っています。

葵: ん? 学校でそう呼ばれてるってこと?

神代: いや、学校ではきっと神代さんって呼ばれてる。近所の子供たちには、神に代わって明日を弥せるおねーちゃんって呼ばれてる。

葵: ああ、そんな関係なさそうなトコにも首突っ込んでんだ(笑)。

神代: そう。ちなみに相手が明からさまにFHだったりって時には“ゴッドハンド”って名乗る。

GM: …………はい。じゃあ、そんな感じで。

神代: では、学校に向かう途中、商店街のおじさん達に声を掛けられながら登校します。もう、商店街ではプチ人気者。

葵: 何故……?

神代: 毎晩、商店街で買い物をして、自炊してるから顔を知られてるの。家で軽くフランス料理作って、自分で食べてる。(一同笑)

GM: なんか、生活感が、あるようなないような……。

神代: お姉ちゃんが言ってた。きちんと食べないと、これから先、生きていけないって。

天道: ちなみにさ、このシーンに登場って出来る?

GM: ああ、いいですよ? ここは単に明日弥のキャラを掘り下げようというシーンなので。

天道: では、登場するぜ!(ダイスを振る)よう、明日弥! おはよう!!

神代: (モノローグ風に)そう言って駆け寄ってきた彼はタンクトップ姿。彼は私がお世話になっているUGNの……一応先輩という形。でも、どこか頼りないから、私が守ってあげなくちゃと思っている……まる(一同笑)

天道: あ、タンクトップ姿で、学ランは肩に担いでます。

神代: (抑揚なく)おはようございます、照さん。

天道: 今日も明日弥のことを、バックアップしにきたぜ!! と、横にぴったりとくっついて歩きます。

神代: (抑揚なく)はい……では、バックアップということなので後ろをお願いします。

天道: わかりました!! と半歩後ろに下がって、周りに鋭い視線を送ります。

葵: ……ここに俺登場したら、侵蝕率上がる?

GM: 時系列的に、上げなくていいですよ(笑)。

葵: じゃあ出る! はよー、照!

天道: おっす、葵!!

葵: 今日も相変わらずな格好してんなぁ。

天道: お前、肉食ってんのか!?(バンバンと背中を叩く)

葵: 痛ぇ、痛ぇって!!

天道: 今日も暑いな!!

葵: おー。……あ! 神代さん。おはよー。

神代: (抑揚なく)…………どうも。

葵: ってことで、神代さんは今日もキレイだなーと思いつつ、俺は駆け足で先に教室に向かう!! ので退場!

神代: あ、いなくなった(笑)。

凪山: そんな光景を私は校門の上に立って見ています。(ダイスを振る)7も上がった!

GM: 皆、こんな序盤で上がりすぎてない?(笑)

神代: (モノローグ風に)私の周りはこんなにも騒がしい。でも、私には此処が私の居場所じゃないように感じられる……。というところで、校舎に入ります。

GM: はい。


03◆ 依頼               シーンプレイヤー:凪山陵


GM: さて、次のシーンプレイヤーは、凪山です。

凪山: (ダイスを振る)9も上がった! 現在76%でございます。

GM: 上がってるねえ。さて、時刻は8月29日(木)午前10時です。ミハエル金谷が、接触してきますね。

凪山: じゃあ、金谷が学校の敷地に入った時点で声を掛けるよ。本日はどのようなご用件ですか?

GM: 「いきなりですみませんが、貴方の力を貸して欲しいのですよ。」

凪山: どのようなことですか?

GM: 「学園に関係することならば、助力を頂けるということでしたよね?」

凪山: ……まずは内容を聞かせてください。

GM: 「この学園の生徒が危険な状態に陥っている為、現在UGN支部で収容しています。その生徒の様子を見て欲しいのですよ。」

凪山: そうですか。ここの学生さんが……。そういうことならば行きましょう。

GM: ということで、所変わってUGN凪山市部です。そこに寝かされて居るのは外山ですね。

葵: ぐー。(←寝てる)

GM: 「彼は、覚醒したばかりのオーヴァードなんですが、通常とは違う衝動状態のようなので、貴方に見識をお願いしたいんですよ。」

凪山: なるほど。

GM: ということで、<RC>で判定してください。達成値が高いほどいいと思ってください。

凪山: では、《オリジン:レジェンド》! 15!!

GM: では、次のことが分かります。

   ・現在の葵は、衝動が定期的に強制的に引き起こされていて、このままでは近い将来ジャーム化する。

   ・葵に、別種のRBと思われるものがとり憑いている。

凪山: 人の身には危険な状態と言えます。と、分かったことを伝える。

GM: 「……やはり、貴方に見てもらって正解だったようですね。恐らくそうだろうとは思っていたのですが、RBについては、我々にも分からないことが多いもので……。彼が危険な状態であることは分かっているので、何とかしてあげたいのですが。」

凪山: 私も、学園に関係するものとして、協力したいと思います。

GM: ただ、現状どうすればいいかは、君にもまだ分かりませんので、情報収集で解決策を見つけるなりしてください。

凪山: はい。


04◆ 現実               シーンプレイヤー:外山葵


GM: さて、外山のシーンなんですが、登場侵蝕率は上げなくていいです。

葵: お? ということは、襲われる前?

GM: そう。8月28日(水)朝8時。ホームルーム前ですね。

神代: 私の登校シーンの直後だ。

葵: じゃあ、教室についてすぐ、クラスの頭いい奴からノート借りて、やってなかった夏休みの宿題写してます。

GM: そんな風に必死こいてる君の頭が、パシンと丸めた紙で叩かれます。

葵: てっ!? 誰だ!! と振り向く。

GM: 「なに朝から似合わないコトしてんのよ?」

葵: その声は、小茉莉ですよね?

GM: ですね。

葵: じゃあ、うっせーな! 一応、やろうとしました的な跡は必要なんだよ!!

GM: 「宿題やったところで、それに左右されるような良い成績じゃないでしょー?」

葵: 選択問題とかなら、結構いけるんだぞ!!

GM: 「そーいえば。」

葵: 無視かよ!(笑)

GM: 「おばさま、最近の様子はどうなの?」

葵: ……相変わらずだよ。仕事頑張ってるみたいで、帰り遅いし。

GM: 「おばさま大変なんだから、あんまり迷惑かけるんじゃないわよ?」

葵: お前が俺のおふくろかよ!?

GM: 「わ……私は! あんたじゃなくて、おばさまの心配してるの!!」

葵: (ふて腐れて)あーあー、ハイハイ。悪かったよ、不良息子でよぉ。

GM: 「(嘆息して)とりあえず、今日は早く帰って来なさいよ? おばさまに夕飯頼まれてるし、作りに行ってあげるから。」

葵: えー? って顔します(笑)。

天道: これは、幼馴染的な感じなの?

GM: ですね。家が近いので、色々世話焼いてる感じ。

葵: …………今日、何作んの?

GM: 「カレーでいいでしょ? あんた、カレー好きだし。」

葵: ん……。あ! あんま下校してすぐとかに来んなよ? 誰かに見られると恥ずいし……。

GM: 「わかってるわよ!」


         ◆       ◆       ◆


GM: というところで、シーンはそのままなのですが、場所と日時が変わります。8月29日!

葵: お! 時間は?

GM: 夜7時ですね。

葵: ……これ、俺、約束ブッチして丸一日くらい寝てたってことか!?

天道: さっきまでのシーンは、夢の中ってイメージかな?

GM: そうです。

神代: しかも、29日は外山くん、学校にも来てないよね。

GM: そうなりますね。

葵: じゃあ、はっ!! と目が覚める。

GM: ではそこで、衝動判定をどうぞ。

葵: うえぇい!? 普通の衝動判定?

GM: です。目標値が9。

葵: (ダイスを振る)衝動判定には成功! でも、侵蝕率が11上がった! じゃあ、寝汗をびっしょりかいた状態で、荒い息をつきながら、辺りを見ます。

GM: 周りを見回すと、白で統一された病室のようなところに居ることが分かります。そして、スモッグのようなものを着せられていますね。

葵: えっ? ここ何処だ!? ……そうだ! 今、時間……と、携帯を探します。

GM: そんな君の元に、橘と御子柴が入って来ます。

葵: (びくっとして呟く)な……なんだ?

GM: まず、橘のほうが、困ったような顔で言います、「気分……は、あまり良くないようですね。本当なら記憶を処理して帰してあげたいところなんだけど、そうもいかなくてね。苦渋の選択をさせてもらったよ。」

葵: …………はぁ??

GM: そこから先は、御子柴が眼鏡をくいっ(持ち上げる仕草)とかしつつ、説明をしてくれます。(一同笑)


 御子柴、と名乗る人物の説明は、信じがたいものだった。

彼の言によると、葵はレネゲイドというウイルスに感染・発症し、“オーヴァード”と呼ばれる存在になった為、UGNという相互扶助組織に保護されたのだそうだ。

“オーヴァード”には特徴があり、ウイルスが活性化することで、ときに強い衝動に駆られることがあるそうだ。それに流されてしまうと、“ジャーム”と呼ばれる化け物になってしまうらしい。


葵: そこで、昨晩のことがフラッシュバックして、……あれ、夢じゃなかったってのかよ? と呟く。

神代: あれは《完全獣化》しただけだけどね(笑)。

GM: 「――――更に、悪い知らせがあるんだ。」と橘が言葉を引き継ぐ。


 通常であれば、こういったケースは当事者の記憶を処理して、以降は経過観察という形をとるらしい。ただし、現在の葵には定期的にウイルスの活性化が起こっており、極めて“ジャーム”になり易い状態なのだという。


葵: さっき起きたことを思い出して、胸元の辺りをぐっと握ります。

GM: 今度は御子柴が引き継いで言う。「今の傾向がそのまま続く場合、衝動がピークなのは、あと数日と思われます。ですので、その日が過ぎるまでは、こちらで待機していただきます。」

葵: ちょ! ちょっと待った!! それって八月末まで、家には帰れないって言ってんの!?

GM: (眼鏡を持ち上げて)「ええ。」

葵: マジかよ!? ありえねー!!

GM: 橘のほうは、御子柴の案にあまり賛成ではないようですね。

葵: んー…………ね、俺のケータイは?

GM: 「君の所持品はこちらで預かっているよ。」

葵: (ほっとして)そっか。

GM: 「君に定期的に起きる衝動を抑える手段は、今のところ分かっていないんだ。ただ、僕の経験上、君の中の日常を示す人との思い出を大切にして欲しい。」

葵: 日常を示す……?

GM: 「我々の研究では、そういったよすがを持つオーヴァードはジャーム化しにくいという結論が出ているんだ。」

葵: じゃあそこで、母さんと、何故か小茉莉の顔が浮かぶ(笑)。

GM: 「というわけで、御子柴君。」

天道: (御子柴になって)「なんですか、支部長。」

GM: 「彼を支部内に拘留するのは、いかがなものかなぁ?」

天道: (御子柴で)「いえ、支部長。ここは断固として彼を拘束するべきです。そうでないと、もっと大きな被害が出てしまいますよ。」

GM: 「でもねぇ……。」

葵: 俺は二人が言い争ってるうちに、こっそりドアから出ようとします。

神代: GM! シーンに出てもいいですか?

GM: いいですよー。

神代: (ダイスを振る)じゃあ、ドアを開けたら外山君とぶつかりそうになります。(抑揚なく)……良かった。目が覚めたのね。

葵: え? 神代、さん?

神代: (こくりと頷いて)まあ、落ち着いて? と暖かいココアを差し出す。

葵: あ、ああ、ありがと……って! そんな場合じゃなくって!!

神代: (抑揚なく)大丈夫だから。と、部屋の中に促します。

GM: と、そんなところで、橘が押し切る形で、二人の言い合いも決着がつきますね。

天道: (御子柴で)「支部長、僕は認めませんからね! 何かあったら始末書は支部長が書いてくださいよ!!」

神代: (抑揚なく)何はともあれ、本人の意向を無視するのは良くないと思うの。

天道: 御子柴は、怒りながら出て行ってしまいます(笑)。

葵: よし、怖そうな人居なくなった!

GM: 「(外山に)こういう言い方をするのも変かもしれないけれど……。」

葵: え?

GM: 「君がターニングポイントに来ていることは間違いない。会いたい人が居るならば、今のうちに会っておいたほうがいいと思うよ。」

葵: …………。よく分かんないので、神代さんのほうを見ます。

神代: (冷静に)そんなこと言われても分からないわよね? とりあえず、帰っていいってことじゃない?

葵: じゃ、支部長さんのほうをちらっと見て、ぺこりとお辞儀をして、今度こそ部屋を出て行こう。

神代: (抑揚なく)待って。私も行く。

葵: あ! 神代さん、俺のケータイって……。

神代: これよね。と渡します。

凪山: 着信126件です。

葵: 後半全部ワン切りじゃねーか!!(一同笑)

神代: 携帯が気になるのも分かるんだけど、ちょっと話を聞いてくれるかな? と、外に出るルートを案内しながら、話をします。

葵: ん……。


 神代が話した内容は、橘や御子柴が話した“この世界の真実”と、ほとんど変わらないことだった。

ただ、神代自身の実体験を踏まえて話しをしてくれたからか、先程聞いた話よりは、いくらか現実味を帯びているような気がした。


神代: 私は、こうなってしまったから今此処にいる。でも、此処に居るから、高校にも通えているの。

葵: …………。

神代: あなたがどういう選択をするのか。それによってどんなことが起こるのかは分からないけれど、何かあったら言って欲しい。

葵: うん、わかった……。

神代: GM、支部の場所って、凪山市郊外ですかね?

GM: ええ。そう設定してますね。

神代: じゃあ、場所が分かりそうな処まで送って。(抑揚なく)ここまで来たら分かるかな?

葵: ああ、うん……。

神代: それじゃあまた明日、学校でね。

葵: また……明日……。

神代: では、私は支部のほうへ帰っていきます。

葵: 夢じゃ…………ないんだな。ってとこで、GM! 今ウチに帰ったら、小茉莉居る?

GM: ああ、そういうシーン演出しましょうか。

神代: はい! じゃあ私は暴走が心配だったので、こっそり外山君の後をつけてまーす。(←嬉しそう)

葵: ウチに向かって歩きながら、とりあえず電話してみます。……怒ってっかな? こえー……。

GM: ワンコールで出ます。

葵: 早っ!? あ、えーと……。

GM: 「バカっ! 今何処に居んのよ!?」

葵: ……ん、と。凪山の郊外のほう。――――お前は、どこに居んの?

GM: 「あんたの家よ! 心配したんだから!!」

葵: 「いやー……なんつーか、すまん。」

GM: 受話器越しに、ぐしぐしと鼻をすするような音が聞こえるね。

葵: うお!? それは気まずい……。(わざとふざけて)な、何泣いてんだよ?

GM: 「なっ!? 泣いてないわよ、バカっっ!!」

葵: …………カレー、あんのか?

GM: 「帰ってきたら食べさせたげるから、さっさと帰ってきなさい!!」

葵: うん。……というところで電話を切って、電車でウチに帰ります。

天道: その2本の健康な足は、何の為についてるんだ!!

葵: お前と一緒にすんな!(一同笑)郊外から今日中に帰れるかよ!?


         ◆       ◆      ◆


GM: さて、ではこれ以降、以下のレギュレーションになります。

   ・葵には衝動判定が登場シーン毎に発生する。

   ・9月1日になった時点で、クライマックスに突入する。

   ・8月30日から半日に一回、各PCは能動行動を行える。

   ・GMの設定したイベントシーンは、上記にはカウントしない。

   ・半日の中での時系列は、PL側が自由に設定してよい。

   ・学生組は、午前中は学校に準じた行動をとること。授業をサボることは可能。

   ・現在出ている情報項目は、葵の衝動を沈静化させる方法(→凪山が調べると有利・他の人が調べる場合は<知識:レネゲイド>)と、青い瞳の人物が関係するFHエージェントについて(→<情報:FH>または<情報:UGN>)の2点。


05◆ 進展             シーンプレイヤー:凪山陵


凪山: んじゃ、まずこっちが衝動の沈静化方法を調べてみようかねー。と! その前に外山にロイスを取ります。

GM: はーい。ちなみに、凪山が調べる場合は、<知識:レネゲイド>ではなく、<RC>になります。

凪山: おっけー。では《オリジン:レジェンド》を使用! 淡く、緑色に輝きます。(ダイスを振る)17!!

GM: では、外山の異常な衝動というのは、彼の中に居るRBが衝動を起こしているのが原因だということが分かります。

凪山: なるほど。

GM: なので、鎮静剤を打ち込むなり何なりして、そのRBの衝動を抑えられれば、外山を普通のオーヴァードと同じ状態にまでは戻せるだろうということが判りますね。

凪山: うん。

GM: で、君は泉華代が、そういうことの専門家だったことを思い出します。

凪山: ほう。

GM: ということで、情報項目として、外山の衝動を沈静化させる方法2が出てきます。判定は<交渉>。成功するといいことがあるかもよ?

神代: これ、判定出来るのは凪山だけ?

GM: コネクションを持っているのが凪山だけなので、凪山のシーンに一緒に登場してもらえれば、他の人が判定することは可能です。

神代: わかりました。

凪山: じゃあ分かったことを、皆に伝えよう。


06◆ 敵を知り……            シーンプレイヤー:天道照


天道: では次は私が。(ダイスを振る)私は、学校には行かずに、UGNの支部長室に居ます。で、色んなところに電話をかけまくっている。

葵: あれ? 照、来てねーんだ(笑)。

天道: 何をしているかと言うと、青い瞳の男……の部下Bについて調べています。(一同笑)という名目で、青い瞳のFHエージェントが居るセルについて情報調べまーす。

GM: なんていうか……いや、いいんだけどさ(笑)。

天道: ダイスボーナスがついたので、3D!(ダイスを振る)お! クリティカルして13!!

GM: んーとね、まず、最近活動履歴が出てきたFHのセルの中に、そういうセルがあるということは分かるね。

天道: ふんふん。

GM: それから、最近新しい番号を襲名したマスターレイスが居ることも判明します。15番目・オミクロンですね。“碧い邪眼”という異名を持っています。

天道: はい。

GM: 最近まで活動のなかった謎めいた人物なのですが、コードウェル博士の指名によって誕生した新しいマスターレイスです。

天道: ふん。相手にとって不足はないな。

GM: 彼の下には、意思の無いエージェントが沢山居るという情報も得ます。

天道: なるほど。

GM: ここで、更にFHのセルについて調べることが出来るようになります。

天道: 使用技能は、同じ?

GM: はい。

神代: その情報、私にくれる?

天道: 勿論。ということで、天を仰いで、待っていろよ……! と呟いて、シーンを閉じます。


07◆ 学校にて              シーンプレイヤー:外山葵


天道: さて、30日午前。あと二人動けるわけだが……。

神代&葵: 学校に行きます。

GM: じゃあ、外山は登場侵蝕率を上げてから、衝動判定をしてください。

葵: ほーい。(ダイスを振る)あ! 登場で9も上がった。

神代: やばいやばい……。

葵: そして、衝動判定は(ダイスを振る)9で成功! ううー……心がざわざわする。

GM: 朝、家を出て少し行ったところで、偶然を装って小茉莉が来るね(笑)。

神代: 私は、外山君のことが心配で、朝からずっと彼の家の近くに潜伏していました。そして、小茉莉さんが、13分間彼の家の近くで待っていたのも知ってます。その上で、小茉莉は外山にぶつかってきました。(一同笑)

葵: 心配かけたのは悪いと思ってるので、お……おう、みたいな感じで一緒に歩いてく。……昨日は、さんきゅな。

GM: 「おばさまに心配かけるんじゃないわよ?」

葵: それは、悪かったと思ってる。

神代: (呟く)良かった……彼の能力はまだ、暴走していない。

GM: 小茉莉が君の背中を叩いて、「ほら! 早くしないと遅刻するわよ!」と。

葵: おう、そだな! と走り出す。

神代: 前の二人は走っていった……。でも、私は優雅に歩く――――フォルムで早足で学校に向かいます(笑)

葵: で、校門に入る直前で、恥ずかしいのでちょっと離れます。

GM: 「ちょっと待ちなさいよ!」

葵: (嫌そうな顔で)なんだよ。と、学校モードになります。

神代: (呟く)うん、いつもの通り外山君は学校モードに移行。……でも、不安そうにはしてるんだよね?

葵: うん、そりゃあね。

神代: じゃあ、ホームルームが終わったくらいの頃に話しかける。(冷静に)大丈夫。今、仲間達が、そのざわめきを何とかする方法を調べてるから。

葵: そう、なんだ……。

天道: じゃあそこに、さっき私が調べた情報が、メールで明日弥に届きます。画像添付で。

神代: (呆れたように)画像添付で来ちゃった……。

天道: 本文は、青い目のFHエージェントについてのことが書いてあり、画像には、にかっと笑った私の写真が。(一同爆笑)

神代: 写真には目もくれず、本文だけ読みます。

葵: ――――なあ。俺、大丈夫なんだよな?

神代: ……私は、今、大丈夫そうに見える?

葵: (こくりと頷く)

神代: じゃあ大丈夫よ。

葵: ……? と、困ったような顔になる。

神代: どんな状況になったって、自分を貫いていれば大丈夫なんだって、おねえちゃんが言ってた。

葵: 神代さんにとって、そのおねえちゃんは“日常を示す大切な人”?

神代: (こくりと頷く)他にも、沢山居るんだけどね。ちょっと違うんだ。

葵: ふぅん……。

神代: 外山君も大切な人(と、ちらりと小茉莉を見る)、守れるといいね。

葵: ええっ!? と、赤くなる。てなところで、神代さんにロイスをとります!

GM: はーい。

神代: さて、私も皆に負けていられないわ。FHセルの情報について調べてみよう。えい!!(ダイスを振る)……5。

GM: それじゃあわかんねーな(笑)。

神代: 外山君は、何か調べる?

葵: え? 噂話くらいしか技能無いけど?

神代: とまあ、こんなひそひそ話をしてるところを、小茉莉ちゃんに見られます。(一同笑)

葵: だよね! そのパターンだよね!(←嬉しそう)

GM: 小茉莉はそっちをチラチラ気にしだすよ(笑)。

神代: そうすると、普段は窓際で大人しくしてる筈の神代さんが、外山君にアプローチしてるように見える。

葵: 小茉莉の視線がイタイ……(笑)。あ、凪山について調べとこうかな? 今のところ接点がないし。

天道: そうだね。

葵: じゃあ<情報:噂話>で!(ダイスを振る)12!! 出たけど……。

一同: (凪山のプレイヤーを見る)。

凪山: え? 俺の情報!?

GM: だから、あれでしょ? 学園の七不思議として存在してるんでしょ? 今。

凪山: うん。

GM: で、外山はオーヴァードになったわけだから、君のことを知ることができるようになったわけだよ。

凪山: じゃあ、半透明の俺の姿が……。

外山&GM: 怖ぇよ!!

天道: 居ることは認識できるけど、居なくても何も変わらないっていうのが、一般人の感覚なんだよね? うーん、不思議だなぁ……。

葵: んー……。じゃ、あの噂話の奴が存在してることに疑問を持ったってことで、ロイスの表の感情を猜疑心に変えておこう。

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