郡山城到着
「あれだ。あれが郡山城だよ」
二人が見る先には、立派な城が立っていた。
「あれが郡山城か。結構立派だね」
「もうちょっとだ。梅千代、行こ」
二人は意気揚々と山道を突き進んでいったのでした。
その頃毛利家家臣は・・・
「おい、そこの侍」
「なんだ。俺のことか?」
「そうだ。お前、これくらいの男の子を二人見なかったか?」
「そのくらいって、毛利、秀就て言ってたっけな?」
「そうだ、毛利秀就様。若だ。若は、若は今どこにいる?」
「いやー。そんなこと言われても、
俺が今住処にしている洞窟に泊めてやったのは
二日三日前だからなぁ・・・」
「そうか。その二人はどの方向に?」
「さあ、あっちの方向に行ったぞ」
男は東のほうを指す。
「あの方向は、郡山城の方向だ」
「郡山城?なぜそんなところに?」
「若は郡山城の話をしてからとても行きたがっていたからなぁ」
「そうか。よし、郡山城に行くぞ」
「それにしても、お前に刀、どこかで見たことのあるような・・・」
「これか?これはあの小僧に洞窟に泊めてやる代わりにもらったんだよ」
「なんですと、これは毛利家にとって大事な刀。
返してもらおう」
「いやだよ。これは俺が貰ったやつなんだからなー」
その頃二人は郡山城のすぐ近くまで来ていた。
「この調子なら夕暮れまでにはつきそうだね」
「そうだね。もうちょっとだ。急ぐよ」
「ちょっと、待ってよ。秀就ー」
二人は小走りで郡山城に向かって走っていく。
しばらく走って行ったら視界が開け、
そこに壮大な山城が見えてきた。
「やったー。やっと郡山城についたぞ」
二人ははしゃぎながら白の石階段を上がっていく。
太陽がちょうど傾いてきた夕暮れ時であった。
二人が走り続けて、しばらくすると、やっと天守閣にたどり着いた。
「ここが郡山城の天守閣かー。いい眺めだね」
「そうだね。あっ、あれ。広島城じゃないかな?」
「そうだよ。遠くに海も見えるね」
「そうだね。そういえばみんな心配してるんじゃなかな」
「大丈夫だよ。今日はもう夕暮れだし、郡山城に泊まろうよ」
「そうだね。でも秀就、どこで泊まるの?」
「そりゃあ、この天守閣で寝ようよ」
「そうだね。ここはいい眺めだし」
旅を初めて4日が立ち、
二人はやっと目的地である郡山城についたのだった。
「う、うーん。あっ、ねえねえ、秀就」
「どうしたの?梅千代」
「みてみて、星がきれいだよ」
「そうだね。きれいだ」
二人は夜の郡山城で星にうっとりしていた。
その時、下のほうから足音が聞こえる。
「だっ、誰?」
梅千代の問いかけに答えることはなく、
足音はさらに大きな音をだし上に上がってくる。
「若、梅千代様」
「元盛、どうしてここに?」
「若、何も言わずに勝手に城を抜け出すとはどういうことですか」
「ごめんなさい」
「早く広島城に帰りますよ」
「はーい」
その後、二人はすぐに広島城に連れ戻され、
きつく叱られるのであった。
何はともあれ、梅千代と秀就の大冒険は幕を閉じたのだった。