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冒険へ

これはまだ、広島幕府が開かれる前のお話です。

「梅千代ー。遊ぼ」

「あっ、秀就、何して遊ぶ?」

「うー、そうだなぁ。かくれんぼも飽きたし、他も大体やったしなぁ。何しよう」

「そうだなぁ。それじゃあ、久しぶりに城の外に出よっか。秀就、どこに行きたい?」

「梅千代はどこに行きたい?」

「そうだなー。そういえば父上から聞いたことがあるけど、

 毛利家が広島城に来る前に郡山城ってところにいたんだって、

 一度行ってみたいなーって思ってたんだ」

「それじゃあその郡山城にいこう」

「でも母上が許さないだろうし・・・」

「それじゃあ、こっそり行こうよ」

「そうだね。そうしよう」

「それじゃあ、準備もこっそりね」

こうして梅千代たちは毛利家の旧本拠・郡山城へ行くことになったのです。


そして、翌日の早朝、広島城の女中たちが朝餉の支度を始めた頃、

広島城の二の丸の陰に梅千代と秀就が集まっていた。

「用意は大丈夫?」

「大丈夫だって、おにぎりも持ってきたし、水も大丈夫」

「秀就、それで郡山城ってどこにあるの?」

「さあ。知らない」

「えっ。知らないのに行こうとしてたの」

「大丈夫だって、ちゃんと地図持ってきたから。これを見ると

 郡山城は山の上にあるんだって」

「山の上っ。そんなの聞いてないよ」

「大丈夫だって。何とかなるよ。じゃあ、みんなに見つからないうちに

 さっさと城を出ちゃお」

「そうだね。じゃあ、郡山城へ出発だー」

梅千代と秀就は、朝の広島城をほかの者に見つからないように、

進んでいったのであります。

堀や門を抜け、城を出るころには、すっかり日も登っていました。

「城なんてすぐ出れると思ってたのに、結構かかったな」

「いつもは家臣の人に連れて行ってもらってるから、迷わずに行けてるんだよ」

そんな話をしながら、二人は広島城を出て、城下に出てきたのであります。

その頃、広島城では・・・


「皆、若を見なかったか」

「若様は、そういえば見てないなあ。それがどうした」

「若が居なくなっているんだ。若を起こしに行ったら部屋には誰もいなく・・・」

「そんなの、厠にでも行ったんじゃいか」

「どこもかしこも探したが、どこにもいないんだよ」

「なんだって。それは大変だ。とにかく、早く若を見つけなければ、

 もし、若に何かあったら、殿に顔向けできない」

「手分けして探すぞ」


その頃二人は、広島城での騒ぎも知らず、城下を抜け、森の中に入ろうとしていた。

「郡山城までどれぐらいかかるんだろう」

「行ったことないからわからないけど結構かかるらしいよ」

梅千代たちが森を歩いていると、大きな川が見えてきた。

「おう、小僧、こんなところで何してるんだ」

「郡山城に行こうとしてるんです」

「郡山城?それならおれの船に乗っていくといい。途中まで川で上れるからな」

「いいんですか。それじゃあ」

二人は木材運びの船に乗せてもらった。

それから二人は太田川を上っていき、太田川と三篠川の分流地点で二人は

木材運びの船から降り、また森を歩いて行った。

そして夜・・・


「もうすっかり夜になっちゃったな。今夜はどこに泊まる?」

「こんな森の中に泊まるところなんてないし・・・」

「あそこに洞窟があるから、今日はあそこで火を焚いて寝よう」

「じゃあ槇を拾いに行こう」

「ちょっと待って、あの洞窟で、だれか火を焚いてる」

二人は恐る恐る洞窟の近づいた。

「だ、誰かいるんですかー」

梅千代が呼び掛けると、中から一人の男が出てきた。

「なんだ、お前ら。もしかして宿無しか」

「そ、そうです」

「そうか。それじゃあ今日はここで寝ろ。ここはおれの寝どこだが

 今日は特別に泊めてやる。その代り・・・」

「そ、その代り?」

「いや、それは後で、うっひっひっひ」

「その代りになんですか?」

「それじゃあ教えてやる。その代りに・・・」「


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