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努力 + 想い = 奇跡?

お久しぶりです(笑)楽しんでいただけたら嬉しいです♪

爽やかイケメ……もとい、片平君との出会いから5日目。


実はあれからもう一度片平君とは顔を合わせた。

なんと言っても活動範囲がそれなりに被っているので、―――と言うか、ほぼ家と職場の往復という私の活動エリアが片平君のそれにすっぽり納まってる感じかな?

そんな状態なので、今までは気づかなかっただけで実は遭遇率はそれなりに高いのかも。



まぁ、2回目の邂逅もスーパー丸八というなんとも生活感溢れた場所だったけどね(笑)

その時も魚の切り身4個入り1パックの中身を分け合った。ナンだろう、まるで主婦友のような連帯感が芽生えつつある気がするのはきっと気のせいじゃないと思う。



なんせ2回目の時は、相変わらず4個入りパックを目の前に悩んでいた私に、片平君のほうから提案してくれたし。彼も少なからずそう感じているのかもしれない。



そもそも需要の問題なのか、2個入りとか4個入りは良くあるんだけど、1個入りとか3個入りとかはなかなか数が少ないんだよね。で、これを機に、満場一致(二人しかいないけど)の可決により片平君とはパックの中身分け合い同盟を結成することと相成りました(笑)


3つ必要な片平君と1つしかいらない私。併せて4つでなんてぴったり!



うん、「たった2回会っただけなのに?」って意見はとりあえずスルーね。

自分でもびっくりしてはいるんだよ?これでも。

でも、話してて全然違和感が無いから、大丈夫かなぁと。その辺は自分の野生の感を信じることにする。―――その場の勢いというものも多少はあるだろうけどね(笑)



ま、どこのカテゴリーに位置しているのかはイマイチ微妙なんだけど、強いて言うならやっぱり「主婦友」なのかな。「片平君は主婦じゃないでしょ!」という至極最もなご感想もさっきと同様スルーさせてイタダキマス。

―――なんていうかスキル「スルー」活用しまくりなんだけど(笑)「主婦友」はあくまで感覚的に、だから。



もしかしたらこれっきりかもしれない、なんて思いは良い意味で裏切られ、とりあえずもうしばらくは続いていきそう、かな?







※※※※※※

 




「それじゃ、とりあえず、お疲れ~」


向かい合って座った憂有紀と「とりあえず生!」の中ジョッキで乾杯する。


ぷはぁ~

仕事終わりのこの最初の一杯がほんとタマラナイ。




気の置けない友人との飲み会ほど楽しいものはない。

ガヤガヤと小うるさい周囲の物音をBGMに、言いたいことを言い合って笑い合い、美味しいものをたくさん食べる。


私が今一番幸せだなぁって感じるのはこんな時。


毎日仕事して一人きりの家に帰る。やっぱりちょっと人恋しいのかも。

だからこうした人との触れ合いはほっとする。

自分の居場所はまだここにあるのだと、一人じゃないと、確かめることが出来るからかもしれない。



「で、憂有紀。高塚さんとは上手くいってるの?」


「勿論よ。誰に言ってるのよ?」


ふふんと笑いながらもちょっと照れくさそうにする憂有紀は本当に可愛い。


高塚さんとは5歳年上の憂有紀の彼氏さん。フルネームは高塚雅貴たかつかまさきだったかな。

私も数えるほどしか会ったことはないけど、穏やかな性格の本当に素敵な人だ。


憂有紀と高塚さんは実家が近い、いわゆる幼馴染というやつで。


憂有紀曰く、彼女の長年の片思いが見事に実った結果とのことだけど。

高塚さんが憂有紀を見る目が、本当に優しくて、愛おしそうで。

実は高塚さんもずっと憂有紀が好きだったんじゃないか、なんてちょっと思っていたりもする。

さすがに確認したことはないけどね。


上手くいってる?なんて聞いたけど、関係をしっかりと築いてきている二人だから、言うほど心配なんてしてない。たぶん、二人はこのまま順調に進んで、いずれはウェディングベルを鳴らすのだろうと確信できるほどには。



そんな相手にめぐり合えている憂有紀がちょっと羨ましい。

―――本音を言うと、ものすごく、だけど(笑)



「亜季の方こそ、何かないの?」


「それを聞くぅ?ないよ。家と職場の往復人生送ってる私に、新たな出会い、なんてそうそうないよ。」



羨まし気に、恨めし気に憂有紀をねめつける。

分かってるくせに!!



「ま、そうだろうとは思ったけど。」




憂有紀が3杯目になるカクテル系のグラスに口をつけながらしらっと断言してみせる。




「でも、待ってるだけじゃダメだってことはもうこの何年間かで嫌というほど分かったはずでしょ?少しは自分から動き出さないと。亜季は結婚願望あるんでしょ?」


「もちろん、あるわよ!……分かってはいるんだけどさ……。もう、そもそも『動くって何すればいいの!?』って感じなんだよねぇ。」



憂有紀のごもっともな意見に反論など出来ようはずもなく。

テーブルに懐く私の姿に、憂有紀は「まったく」と小さくため息をつく。



「あんたいくつよ?今更恋愛初心者です、なんて言わせないわよ?合コンとか友達の紹介とか、色々あるじゃない。最近じゃ気軽にお見合いパーティーだってあるんだし。」


「そうなんだけどさぁ。紹介は上手くいかなかった時がめんどくさいし、合コンもこの年になるとそうそう誘われないし。……お見合いパーティーはまだちょっと敷居が高すぎる……。」



紹介は以前一度だけしてもらったことがあるんだけど……。

もう、なんて言うか。

会った瞬間から「ないな」と思ってしまうような人で。


イヤイヤ、相手が最悪だった、とかいうわけじゃなくて。ただひたすら「性格が合わない」の一言に尽きたんだよね。


こっちが白と言えばあちらは黒って感じで、とにかく会話がかみ合わない。

時間にすればほんの1.2時間だったけど、もんのすご~く疲れた。


やっぱり「相性」ってほんと大切。

少なくとも会話に何の含みもなく、素直に自分の意見や考えを言える人じゃなきゃ、絶対に無理だと思う。―――当たり前だけどね?



会話するだけで疲れるって、相当だよね……。



それ以来、紹介はちょと遠慮気味。

本当にお互いの好みや性格をある程度理解して、「この二人なら」って紹介ならいいんだろうけどね。


実際は友人やその友達がフリーだからどう?って感じの紹介のほうが断然多くて。

ま、紹介してもらえるだけありがたいでしょ、って言われてしまえばそれまでなんだけど。


自分の時間も大切にしたい(決して面倒だからじゃないよ!)私としては、まぁ、あまり無駄に知り合いを増やしたいとは思えず。




最近はもうお見合いしかないのかなぁ…なんて少し思ってしまう自分がいる。




―――結婚はしたい。できれば子供だって欲しい。

でも、今更一からまた関係を築いていかなきゃかと思うと、ちょっとげんなりしてしまうのも事実で。


この煮え切らない態度のまま、気がつけば目の前には「30」の二文字。

自業自得とは言え、現実って本当に厳しいよね……。



漫画や小説のような出会いなんてそうそう転がってない。

これは私が28年生きてきた経験から、断言できる。そんな美味しい話は現実ではほぼ0。あってもせいぜい一握り。「ある日王子様が」なんて絶対ありえない。



人と人が出会うって、本当に奇跡なんだと、そう実感せずにいられない。



そんな奇跡をしっかりと自分のものにしている憂有紀は本当にすごい。

でもそれは決して偶然なんかじゃなくて、ひたむきな努力と確かな想いで憂有紀自身が自らの手で手繰り寄せた「奇跡」---だからこそ、その価値は計り知れない。


憂有紀と高塚さんを見てると本当に幸せそうで。お互いを大切にしてるのが言葉や行動の端々から感じられて。それは一緒にいると、それだけでこちらが照れてしまうほどで。


だけど、素直に素敵だなってそう思える。

いつか私も、とそう思わずにはいられないほどに。


こんな自分でも必要としてくれる人がいると、そう感じさせてくれる相手が必ずどこかにいるのだと。

その人のためなら努力さえも苦じゃない、そう言い切れるほどの相手に……いつか出会えたらいいな。




って、なに恥ずかしげもなく本気で語ってんの!!?

酔ったの!!?飲んでもいないのに酔ったのか!!?私よ!!!


うぅ~恥ずかしすぎる。

28にもなって「何夢見る少女みたいな発言しちゃってるのよ」って絶対笑われる。

いや、私なら笑っちゃうね。


思わず上目遣いで憂有紀の顔をちらりと盗み見る。


でも憂有紀はそんな私の予想とは違って、ちょっとびっくりしたような、どことなく嬉しそうな、そんな表情だった。



「ありがと、亜季。うん、なんか、雅貴さんとのこと。そんな風に言ってもらえるなんてちょっとびっくりしたけど。---すごく嬉しい。」



うっすらと頬を桜色に色づかせて、嬉しそうにはにかむ。

まさかの不意打ちに完全ノックアウト!!

―――くぅ~、なんて可愛いんだ!!高塚さんがホントうらやましい!



「ふふっ、亜季が意外にもしっかり考えてて、ちょっと安心した。ま、あとは行動あるのみね。」


「……デスヨネ。何よりもそこが問題なんだけどネ。」


「『奇跡』手に入れたいんでしょ?しっかり頑張りなさい。」



今度は少し意地悪そうな笑みを浮かべて、「楽しみだなぁ」なんて一人で満足そうにカクテルを口に運ぶ。



「はぁい。」



本日何度目になるのかわからないため息をつきつつ、お、そう言えば、と気分を浮上させる。



「ね、そう言えばさ。新しい出会い、あったの忘れてたよ。」


「何よ!?いつ、どこで、誰と?」



私の言葉にすぐさま食いつき、身を乗り出して立て続けに聞いてくる。



「今週の月曜日に近所のスーパーで。イケメン君と♪」


「何よそれ!!ちょっと、もっと詳しく教えなさい!」



言わないうちは帰さないから、と鋭く睨み付けてくる。



「聞いて驚け!今週の月曜日、仕事帰りにスーパーに寄って帰ったのね。で、秋刀魚が1匹48円っていう安売りやっててさ。もうこれは買いでしょ!って陳列されてた最後の1パックを手に取ったんだけど、これが4匹も入ってて。さすがに一人暮らしに4匹は多すぎると思ってちょっと悩んでたら、声をかけてきたのがそのイケメン君でね。ま、色々話してるうちにあっちは3匹欲しいって言うからちょうどいいって思って分け合いっこしたのさ。」



ふふん、と話を締めくくると、憂有紀がちょっと呆れたようにこちらを見ているのに気が付く。



「……で?」


「で?って、なによ。」


「出会いってそれだけ?」


「いやいや、なんとそのあともう一回会ってね。彼とは今後もパックの中身分け合い同盟を結成したんだよ♪」


「……」


「いまどき礼儀正しいいい子でね。話してるとホント癒されるっていうか。」


「……ちなみに年齢は?」


「えぇ~っと、確か22歳、だったかな?大学4年生なんだって。しかも驚くことに我らが職場のすぐそばにあるS大!!」


「22って……。6歳も下じゃない。」


「そうなんだけどね。あ、その子片平君って言うんだけど、彼に出会って『いまどきの若い子は』ってあれ、ちょっと見直しちゃったよ。」




片平君との出会いからそのやり取りや彼の人柄(とはいっても、私も2回しか会ってないんだけど)なんかを思いつくまましゃべり倒す。


うぅ~ん、やっぱりイケメン効果は絶大だね。

さっきまでは底辺を這っていた気分が一気に急上昇。


これから落ち込んだ時は片平君効果に縋ることにしよう、うん。ナイスアイディア!!



「ふぅ~ん……。」



そんな私を横目に、憂有紀がにやにやと相槌を打ってくる。


「な、何よ?」


「べ~つに~?ただちょっと、ね?」


「何よそれ、失礼な!!片平君はほんといい子なんだよ?」


「はいはい。別に否定なんかしてないでしょ?」



それはそうなんだけど……

何か、憂有紀の様子がちょっと引っかかるというか。


絶対何か企んでるよね!?

その黒い微笑みは!!?



「……ふふっ、面白くなってきたじゃないの」



グラスに口をつけながら囁かれた言葉は残念ながら私の耳には聞こえず

ただどことなく、何かやらかしちゃった感がぬぐいきれないまま、この日の飲み会はお開きとなった

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