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始まりの朝

2話目投稿です!まだ何も始まってません(笑)

ジリリリリリリ



けたたましい目覚まし時計の音に、まどろむ余地さえ与えられず飛び起きる。

就職して一人暮らしを始めるときに、娘の生態を熟知している母から渡された物だ。


それから7年、この子のお陰で遅刻することなく過ごせてはいるのだが

いつの日か私の心臓を止めるのもきっとこの子に違いない、うん、マチガイナイ


「んん―」


ベッドの上で思い切り身体を伸ばして、寝ている間に凝り固まった節々をほぐす


「あぁ~あ、また1週間が始まるのかぁ…」


ふぅっと自然に漏れるため息に「やれやれ、これも歳のせいか?」と苦笑する

まぁ、セリフ自体は中学生の頃には既に口にしていたような気もするが…そんなことは気にしない!


繰り返される変わり映えのしない毎日にやる気が出ないのも、心臓が止まりそうになりながら起きる度に思わずため息をついてしまうのも、最近ちょっと身体のラインが緩やかになってきたのも、

これみ~んな「歳のせい」、断じてものぐさ&面倒くさがりな性格のせいなどではナイヨ



よしよし、今日も無事事実確認も済んだことだし、ぼちぼち仕度を始めますか



ベッドから立ち上がる時に「よっこらしょ」なんてどこからか幻聴が聞こえてきたけど、そこは持ち前のスキル「スルー」で聞かなかったことにして、コーヒーメイカーを素早くセットし、その間にざっとシャワーを浴びる


未だ梅雨明け宣言がされていないとは言え、7月も中旬になればやはりどうしても寝起きの肌のじめじめ感は否めない

―――っていうか、年々梅雨の時期が遅くなってきているように感じるのは私の気のせいなのだろうか?う~ん、地球環境の現状に多少の不安を感じるなぁ


この時期特有の高湿度のせいでいつも以上にまとまらない髪の毛も、さすがにシャワーの水圧には屈してその頑なさもほぐされるのだから、「シャワー朝晩2回浴び」の節約とは程遠い実情も今は良しとせざるを得ない


ガシガシと頭を拭きながらパンツにキャミソールというラフな格好で台所に向うと昨日のうちに作り置きしていた数種類のおかずを適当に選んで冷凍庫から取り出し、必要分さっと火を通し直す



下手にレンジなんかで温めるとかえって悪くなってしまうこの時期のお弁当は本当に手間がかかる



とはいえ、しがない事務職員でしかない私の給料では、そうそう外食など出来ようはずもなく

なんだかんだでお弁当作りは出勤の9割を維持できているのだから、自分をほめてあげようと思う

えらいぞ、私!!


お弁当作りと同時進行で8枚切れの食パンを一枚トースターに入れるとスクランブルエッグとカリカリベーコンの作成に取り掛かる


適当にちぎったレタスに市販のノンオイルの青じそドレッシング。いい香りを部屋中に漂わせているコーヒーをお気に入りのマグカップに注げば、お決まりの朝食の出来上がり



まぁ、一人暮らしのアラサー女の朝食なんてこんなもんでしょ



「いただきます」と手を合わせてしっかり噛む事を心がけながらも、素早く平らげると食器を流しにおいて、洗面台で顔作りに突入


とはいっても、私の顔作りはとっても簡単。下地にファンデーションのみのインスタントメイク


どうせ誰に会うわけでもなし、すっぴんじゃなければ問題ない!!

―――と、私は勝手に思っているのだけど


友人からの評価はすこぶる悪くて、曰く「女を捨てている」と……

いやいやいや!捨ててないから!!失礼な!!

ただ必要性を感じないというか、そこまで気合を入れる意味が見出せないというか



あ、ほら、ばっちりメイクで実際の顔とは似ても似つかない~なんて、逆に相手に申し訳ないでしょ?



どうしたって事が進めばすっぴんでのご対面は免れないわけだしね。

私ってばそんなお互いにとって不利益にしかならない悲惨な事故回避に、全面的に協力してあげているのだよ、決して面倒臭いわけじゃないとだけ、明言しておこう。


黒のパンツに白いシャツを合わせて鏡で一応全身をチェックする。

職場では支給されている制服を着用するから、通勤スタイルには特に規制はないけど、ここ数年はめっきりパンツスタイルが定番


「simple is best!!」という私にはうってつけの基本理念に基づいた、デザイン性より機能性を重視したコーディネイトになっておりますが、なにか?


腕時計にちらりと眼をやれば時刻は7時30分

8時30分始業開始に間に合わせる為にはそろそろ出ないと厳しい時間になっている


慌てて通勤用として愛用しているオフホワイトのバッグを手に取り黒いパンプスを履く

 

「いってきます!!」


応えを返してくれる人のいないことに、若干の寂しさを感じはするけどそれもまた人生と割り切る。

ないものねだりしてもしょうがないし、自分を惨めだとは感じたくない


さぁて、

高郷たかさと 亜季あき 28歳

今日も1日がんばりますかぁ!!!
















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