オアシスを夢見る干物
おお~!!珍しくもあまり間をあけることなく投稿できました!!
(注:あくまで主観的判断によるものです(笑))
あれから……そう!あの「残念無念、独り勝手にドギマギ事件」からはや1ヶ月
恥ずかしくて当分片平君の顔が見られない!!なんていう私の都合なんてお構いなく、
むしろこれでもかって勢いで片平君に遭遇している今日コノゴロ……
いやいやいや!
決して会うのが嫌だとかそういうわけではないんだよ
ただ心理状況を解析すると、これが結構複雑なのですよ
独り勝手に盛り上がってしまったことへの恥ずかしさは勿論のこと、片平君の純粋な厚意からくる彼的自然行為に、私自身もびっくり!!な過剰反応をしてしまってさ~
そんな愚かな自分自身に落ち込んでみたり、いたたまれなさを感じてみたり、思い返してさらに赤面してみたり……
こんな状況で何事もなかったように顔を合わせるのは何となく片平君に申し訳ない、というか、
まぁ、それだって結局のところはいわゆる「誤爆で自爆」状態の私だけの勝手な思い込みなわけで
う~ん、なんて言うかもう「あれもこれも含めて、ほんと申し訳ない」の一言につきるって感じなんだよね
実際はさらなる被害拡大(「え?亜季さんそんな風に思っていたの?」的な発言による2次被害)を防ぐ為にも口には出来ないんだけどさ
これ以上の誤爆も自爆もお断り!!
とは言え、混乱にも混乱を重ねたこんな心理状態でも、
これだけ会っていれば逆に開き直れる、というか開き直るしかないわけで
あれは「干からびて久しい身に突然降り注いだ恵みの雨、予期していなかったオアシス出現とそれに対する免疫のなさからくる過剰反応」(無駄に長いし意味不明だけど)ってことで
無理矢理自分自身を納得させて「いつも通り」に戻る
……はずだったんだけど
どうしてだろう
会うたびに固まったり赤面したり、やっぱり鼓動を不自然にはねさせている自分がいるのは
………………。
ち、ちょっとまって!!
「おいおい、まだ勘違い野郎継続中なの?」って思ったそこのアナタ!!
弁解させて!!!
だってね、なんかあれ以来ちょっと片平君の様子に違和感を感じるというか
今まではスーパーで会っても挨拶したり物を分け合ったりした後はそれぞれ適当に買い物して、
まぁ、会計でまた会えばそのまま一緒に帰るくらいの感じだったんだけど
最近ではな、なんと!
カゴを二つ、上下にセットしたカートを引いた片平君と店内を一緒にまわったり
買い物終了後の帰り道では、さりげなく片平君が荷物持ってくれたり
はたまた、その道中での会話で何となく視線を感じて見上げると
それはもう、ものすっごく優しい笑顔でこちらを見ている片平君と眼が合ったり
目が合った瞬間にふわぁって笑ってくれる片平君を直視してしまったりと
はっきり言って私の心臓への負荷120%!!
第一級緊急非常事態も継続発令中の有様で……ほんと心臓がもたない……
おかげさまで
片平君と会った時はほぼ、赤面したり、うろたえたり、不自然な鼓動のリズムを感じたりしてるわけなのです
片平君が体調を崩した後に交換し合った連絡先も、
今ではちょっとしたやり取りを日常的にするようにまでなっていて、
会えない日のメール送受信率は、気が付けばほぼ100%の実施状況
でも、ねぇ、これって今時普通のこと!!?
メールはまぁ、おいておくとしても、それ以外は違うよね!?
私の感覚が時代遅れなの?そんなことないよね?
これで心臓の一つもはねさせなかったらむしろ病院で検査受けたほうがいいレベルだよね!!?
私が過剰反応してるだけじゃないって、だれかそう言って!!
そんなこんなで非日常的な日常により、私の心臓への負担は著しいけれど、
でも、片平君との今の関係が嫌なわけでは決してない
スーパーでの買い物も、帰り道でのやり取りも
赤面もするし心臓も踊るけど、でもなんだか自然に受け入れてしまっているんだから不思議だ
「片平君」という存在が自分の傍らにいることがとても自然に感じられて
そのことがちょっと面映く、でも心地よい
それはまるであの電車での一時と一緒で、
まぁ、こんな非日常なら悪くはないかなって思う今日この頃なのです
昼休み、久しぶりに外食する予定で同僚と外に出る
夏の日差しも盛りを過ぎて、ギラギラとした暑さからワンランクダウンして、
じりじりとした暑さくらいにはなってきている
あとひと月もすれば、徐々に秋の気配を感じるようになってくるのかな
そんなことを思いながら、ふと何気なく目を向けた先に見慣れた姿を発見!
やや!あれは片平君ではないですか!
この大学に通っているのは知っていたけど、実際目にするのは初めてだ
視線の先では片平君が今まさに大学の校門から出ようとしており
思いがけない遭遇に自然と表情が柔らかくなるのを感じた
その瞬間―――
彼の傍らにいる存在を認識して無意識に息がとまる
片平君よりも頭1つ分小さいその子は
白いシフォンのスカートに柔らかいピンクのトップスをあわせていて
肩甲骨あたりまである髪は羨ましくなるほどのさらさらのストレート
今時の子らしく、見るからに華奢な体つきは
羨ましいというよりも最早自分とは種類が違うんだと思わせる
そんな彼女は遠目から見ても穏やかそうな性格がにじみ出ていて
陽の光を浴びて楽しそうに笑いあう姿は
誰が見てもお似合いの若い恋人同士に見える
あぁ。お似合いだなと、素直にそう思った。
キラキラで眩しくて、ずっと憧れていたはずなのに
気がつけばいつの間にか忘れ去ってしまった情景
片平君が彼女はいないって言っていたから、たぶん「彼女」じゃないんだろうなとは思う
そういうところでごまかしたり嘘をついたりするタイプじゃないしね
ただ、忘れかけていた当たり前の事実を目前に突きつけられただけ
そう、彼は6歳も年下の22歳の大学生で
年上の私から見ても、見た目は勿論、中身も文句なし!の「格好良い」人
家族想いで努力家で、人を自然に気遣える、そんな「ミスターパーフェクト」
自分の隣にいるのが自然でもましてや当たり前でなんかありえない存在だってことを
それと同時に気付いてしまったもう一つの真実
それは…
私自身が完全に片平君を意識してしまっていたってこと……
否定しようのない現実と同時に自覚してしまうなんて
まったく我ながら夢も希望もないじゃないか、と思わず笑ってしまう
たった一滴のしずくさえ持たぬ干物の身でありながら
とうてい彼のオアシスになれるはずもないと分かっていても
それでも願わずにいられないのだ
少しでも長く、と
ずっと一緒に、なんて贅沢は言わない
いつか距離を置くことになったとしても、その時は年上らしく幸せにと笑ってみせる
ただ無意識に祈る自分に、それこそが心からの願いなのだと自覚する
少しでも長くこの身が彼の傍にいることを許して欲しい、と
少しでも楽しんでいただけたら幸いです♪
ではでは、次話にてまたお目にかかれますように!




