表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者より最強な黒騎士  作者: 暁 桃香
黒騎士誕生編
6/43

第5話 説明と勧誘

第5話 説明と勧誘






 ガルドとか言う変なウェアウルフが去った後。


 街道から離れ、森の中の開けた場所に居る。


「「「ノームシールド!」」」


 3人の男女の魔導師が呪文を言うと、大地が盛り上がりドーム型のシールドを展開する。


「ライトリー!」


 女性魔導師が丸い光った球体を出し、辺りを照らす。

 

「ありがとうございます」


 私は3人にお礼を言う。


 現在ここに居るのは、皇族一家、侍女5名、騎士2人、剣士2人、弓兵3人、魔導師3人、馬6頭、ハヤテ、そして私だ。


「いえ、こちらこそ助けていただき、ありがとうございました」


 赤い髪に茶色い瞳をした、かわいらしい女性の魔導師が言った。


 身長は私の首ぐらいの高さの小柄で、薄いピンクのローブを着、手には赤い魔硝石のついた長い杖を持っている。


 年は私と同じ年か下くらいだと思う。


「良いんですよ」


 私がそう言うと彼女はうつむいてしまった。


 あれ~。


 顔が赤くなってるのは気のせいですか~。


「ホッホッホ、若いとは良いの~。さて黒騎士よそろそろ話してもらえんかの」


 微笑ましそうに笑いながら、皇帝が言う。


 いや、そう言う風に見られても困りますよ私。


 女なんですから。




――――カパッ




 私はアーメットを取る。


「「「「「「「「「「女!」」」」」」」」」


 アーメットから出てきた私の顔を見て全員が驚き、声を上げた。


 予想道理、声だけで私を『男』だと思っていたようだ。


 心なしか、后と姫以外の女性陣がガッカリしている様に見える。


 さっきの女性魔導師なんて魂が抜けたような表情だ。


「驚かせてしまって申し訳ございません。私は智慧・斎藤。17歳です」


 そこまで言って、持っていたアーメットを右隣に居るハヤテの背中に置く。


 ずっと抱えてるの疲れるし。


「チエ・サイトウ? 見た目も変わっているが名前まで変わっておるの」


「肌や髪の色も、顔の形も見た事のないものです」


 皇帝と皇太子の言葉に全員同意するような表情で私を見る。


 まぁ、天照様が言ってたように、この世界には黒髪、黒い瞳、東洋系の人間何て居ないもんな。


 当然黄色人種も居ない。


 そんな人間を見たら誰でも驚くだろう。


「皆さんが驚くのも無理ありません。エルドアの人間に私のような人間は居ませんから」


「じゃ、貴方は何処から来られたのですか?」


 コンラットさんが当然の質問をいう。


 てっ、あれ?


「……あのコンラットさん? さっきまでの気楽な話し方で結構ですよ」


 私みたいな小娘相手に気を使う必要ないのに。


 てか、さっきまで迷子だったし。


 だが


「いいえ、貴方のような最高の騎士殿にあのような無礼な言葉で接してしまった自分が恥ずかしい。伝説の黒い一角獣ユニコーンに乗って現れたあの時に気付くべきだったのに……」


 真剣な顔でそう言われてしまった。


 駄目だ…。


 勇介とまでは行かないが、イケメンにこんな顔されたら、思わずトキメイテしまった。


 一応私も女です!


「は、はい」


「自分相手に敬語はいりません。それとコンラットで構いません」


 ついでに敬語禁止されてしまった上、呼び捨てにするように言われた。


「解った…。ってハヤテ、あんたは何『もっと褒めろ』と言う顔してんの?」


 隣に居るハヤテを見たら自分の事のように喜んで、ドヤ顔をしていた。


 さすがに呆れるわ。


 コイツ本当に伝説の一角獣ユニコーンか?


「コホン。でさっきの質問だけど、それは複雑な事情があるから秘密なんだ」


「そうか…ではそなたのその剣はなんじゃ?見た事ないのう」


 話の解る皇帝で良かった。


 皇帝は次に朔夜の説明を要求してくる。


「これは刀と言われる、私の国の剣です。刀の名は『朔夜』と言います」


「サクヤ? って何?」


 姫が首をかしげながら聞く。


「朔夜とは月が出ない夜。新月の事です。この朔夜は刃が真っ黒な事から『月の無い夜』と言う意味です」


「その剣持って見ても良いですか?」


「はい、構いませんよ」


 私は左腰にくっ付いていた朔夜を外し、皇太子に鞘に収まった状態で渡す。


「? アレ?」


「クリスよ、どうかしたか?」


 皇太子の様子に皇帝が尋ねる。


「父上、鞘から剣が抜けないのです」


「何? 貸してみよ………ム、確かに。チエよ、どう言う事だ?」


 皇帝が疑問を投げかける。


 周りも不思議そうだ。


「はい、実はこの朔夜は私専用に作られた刀なのです」


「専用と言う事は」


「私以外に扱う事は出来ません」


 私がそう言うと、今度は后が質問をしてくる。


「しかし、鞘から抜けないだけなら、抜いた状態では意味が無いのでは?」


 后はそう言って首をかしげる。


 私は、皇帝から朔夜を返してもらい、鞘から抜き、鞘を左腰に付けながらコンラットに近づく。


「コンラット、持ってみて」


「? はい………!?」




――――ズシンッ!




 地面にめり込んでいる訳ではないが、重たいものが地面に落ちたような音がした。


「な! 何だこの重さは!?」


 朔夜を渡したとたん、コンラットはあまりの重さにしゃがみこんでしまったのだ。


「解りましたか? 朔夜は鞘から抜けた状態ですと、私以外持ち上げる事が「私が持ってみる!」ってぇぇぇぇ! 駄目ですよぉぉぉ!!」


 まさかの発言に慌て、朔夜に触れようとした姫の身体を抱き上げた。


 周りも相当あせったようだ。


「え~」


「いや『え~』じゃないですから!」


 13歳の子供に、こんな危ない物に触らせてたまるか!


 恨めしそうに頬を膨らませても駄目だよ姫。


「チエ様、申し訳ございません…」


 侍女の茶色い髪に若干白髪のは言った髪を頭の上の方でお団子に束ね、顔には皺があり、長袖ロングスカートの黒いワンピースに、白いフリルエプロンを着けた、優しそうなおばさんが姫を受け取りながら言う。


「大変ですね…」


「いつもの事です…」


 げんなりしながら侍女のおばさんが言う。


 この人だけじゃなく、他の侍女さん達や、兵士さん達、何故か皇太子までげんなりしている。


「フフフ、エレーネはお転婆ね」


「いや、笑いごとではないぞお前」


 后の少しズレているセリフに、突っ込みを入れる皇帝。


 后って天然?


 いやそれよりもこの姫、近い内になんかやらかさないか心配になってきた。


 そう思いながら、朔夜を拾い鞘にしまう。


「さて話を戻しましょう。途中で中断させられてしまいましたが、朔夜は鞘から抜いている状態ですと、私以外では持ち上げられず使用する事が出来ないんです」


――――成程


 納得し、全員が呟く。


「刀の話は以上です。次の質問はありますか?」


「あの、先刻までと声が変わっているようですが?」


「ああ、それはですね」


 さっき姫を渡した侍女のおばさんの質問に、私はハヤテの背中に乗せていたアーメットを取り、説明に入る。


「このアーメットの目の部分にあたるこの魔硝石で、声を変えていたんです。なんせ、性別も隠したかったですし、正体を隠すのなら徹底的にしないと、何処でボロが出るか解らないですからね」


「そこまで念入りに」


 コンラットが、尊敬の眼差しで私を見る。


 ん~……。


 私の方が年下だから、敬語使われたり、尊敬向けられるのって変な気分。


「じゃぁね! どうやって黒い一角獣ユニコーンに認められたの?」


 侍女のおばちゃんに抑えられている姫が質問してきた。


 この子、それが一番聞きたかったみたい。


 それは、他も同じみたいだけど。


「いや、どうやってって聞かれましても…ただ湖の辺でのんびりしているときに、ハヤテが寄ってきただけだから、特に何もしていないんですよ」


 ついでに、つい先刻出会ったばかりなんだけど、それは内緒にしておこう。


「………何も?」


「はい」


「まったく?」


「はい」


 姫の質問に本日何度目になるか分からない呆気にとられた表情を姫以外全員がうかべる。


 仕方ないか。


 私みたいに規格外にもほどがある人間や、伝説の黒い一角獣ユニコーンが一緒に登場したのだから。


 だが


「え~、つまんな~い!」




――――ズテッ!




 姫の言葉で全員ズッコケル。


「お前な~……事の重大さを分っているのか!!」


 姫を怒鳴る皇太子。


 もしかして一番苦労しているのってこの人?


「だって~」


 どうやらこの姫、刺激に飢えているようだ。


 およそ、ハヤテが出した試練で認められたとか、波乱万丈な大冒険の中での出会いを期待していたのだろうな。


 でも、私がこの世界に来て、まだ数時間しかたっていませんからね。


 大冒険期待されても困るから。


 そんな事を考えながら、皇太子と姫の喧嘩を観賞する。


「まったく、困ったものだ……」


 皇帝が頭を抱えながら言う。


 この人も苦労してるのね。


 もしかして皇族一家は、男がツッコミで、女がボケ?


「馬鹿かお前は! そもそも、一角獣ユニコーンに認められる確率が、どれだけ低いか分かっているのか!!」


「え?」


 あ、この子絶対勉強してない。


 一国の姫だったら、しっかり勉強してないとだめじゃない。


「やっぱり解ってないじゃないか!」


 皇太子、そこまで怒って疲れませんか?


「あの、止めなくても?」


 私は后に聞いてみる。


「いいんです。クリスは、ああやってストレスを解消しているんですから」


「…逆にストレスが、蓄積していっているように見えるのですが」


 后のセリフに思わずツッコム。


 いつか頭の血管切れるんじゃないの皇太子。


 そう思いながらも、周り同様止めには入らず、事の成り行きを見守る事にした。


「500年に一人だぞ!はっきり言って生きている内に、一角獣ユニコーンを目にするより、認められた騎士に出会える可能性の方が低いわ!! 」


 うわ~、さっきまでクールな皇太子だと思っていたのに、イメージが崩れた。


 まぁ、人間誰しも完璧わけでは無いか。


「それだけでも凄いのに、さらに伝説とされている黒い一角獣ユニコーンに認められたんぞ! 今まで誰も見たことが無い黒い一角獣ユニコーンに!」


「………」


 皇太子の勢いに押されて黙る姫。


 たとえるなら、猛獣に吠えられて竦みあがった小動物だ。


 かわいそうだけど、自業自得だね。


「ここまで言えば解るだろう、チエ殿がどれだけ凄い騎士か! このエルドアで最高な騎士なのだぞ!!」


 ごめんなさい皇太子、私そんなに凄く無いです。


「それなのにお前ときたら、失礼にもほどがあるだろうが。だいたいお前はいつもいつも」


 なんか皇太子が日ごろから溜まっている姫への愚痴を言いだし、話が脱線した。


 そろそろ止めようかな。


「はい、そこまで。皇太子殿下、姫様も反省しているみたいなので」


「……はい」


「……」


 ふぅ~、なんとか納まったか。


 私も兄さんに『部屋に閉じこもっとくだけじゃなくて、外に出ろ! 』って叱られてたから姫の今の気持ちはよく解るよ。


 私は落ち込んでいる姫に目線を合わせるため腰を屈める。


 姫の身長は、鎧装着状態で私の胸辺りなので155クアメイト位かな。


「姫そんなに落ち込まないでください。殿下は貴女の事が心配でつい怒鳴ってしまっただけですから」


 ニッコリと笑いながら姫に言う。


「…でも兄様、私がすることにいつも怒鳴るし…」


「どんな時ですか?」


 落ち込んでいる姫に尋ねる。


 大分落ち込んでるな。


 もし犬の尻尾と耳が生えていたら、間違いなく垂れ下がっているだろうな。


「お洋服選びが遅かったときとか、お料理しようとしたときとか、武器庫に忍び込んだときとか、こっそり城から抜け出そうしたときとか」


「「「「「「「「「「「「………ちょっと待て」」」」」」」」」」」」


 私、コンラット達軍人、侍女達の思いがシンクロした。


 いや、ホントに待って。


 最初の2つはいい。


 だけど最後の2つはいかんだろ!


「……姫お願いですから、危ない事だけはやめてください」


 侍女のおばさんが言う。


 それに私を含めた全員が頷く。


 ホントに危ないんだよ姫。


「だって、詰まんないんだもん」


 頬を膨らませて拗ねる姫。


 美少女がやるとマジで可愛いな。


 てっ、そうじゃなくて。


「姫、武器庫というのは名前の通り武器を置いている所です」


「そんなの解ってる!」


 私が言うと、姫が怒る。


 うん、一応分かっているようだ。


「だったら、扱いも分からない物に触れると危ないのも、当然分かりますよね」


「それは…」


 聞くと黙ってしまった姫。


 全く、とんだじゃじゃ馬姫だな。


 城の兵や侍女達は皇族の安全の為に頑張っているのに。


 ………。


 アレ?


 今何かが引っ掛かった。


 もしかしてこの姫…。


「あの、姫ってもしかして、今回初めて城から出たんじゃないんですか?」


「はい、よく分りましたね」


 皇太子が答えてくれた。


「ひょっとして、学校も行っていないんじゃ……」


「ええ。私はともかく、エレーネは世間知らずですから、城の外に出すと何をするか解りません。それに、今都は危険ですから」


「……と言う事は、殿下は学校に通っているのですね」


 全員が頷いた。


 当然と言う様に。


 それを見た私は、顔を引きつらせながら思った。


 やっぱり!


 そりゃ、刺激を求めて色々したくもなるよ!


 私は姫に背を向けて立ち上がる。


「……あの、大変失礼だと思いますが言わせていただきます。あんたら馬鹿かぁぁぁあ!!」


 私は思わず怒鳴ってしまった。


 しかし後悔は無い!


 周りを見ると、全員呆気に取られてしまった顔を私を見る。


 そんな中侍女のおばさんが我に返った。


「なっ! 馬鹿とはどういう事ですか! 幾ら貴方様でもそのような暴言聞き捨てなりませんよ!!」


 侍女のおばさんが怒鳴る。


 それに全員が我に返った様で、姫以外が私を睨んでくる。


 彼等も同意見だったようだ。


 そんな彼らに、私は言った。


「ええ、馬鹿です。これでは、姫が危ない事をしようとして当然です! むしろ可哀想ですよ!」


「可哀想?」


 后が、首をかしげながら聞く。


 ああもぉぉぉお!


 何よ! さっきまでは良い家族だと思ってたけど、全然駄目じゃん!


 他人の家の事、とやかく言う何てそんな無粋な事したくなかったけど、我慢出来ん!


「いいですか。普通姫ぐらいの年の子は学校に行って、勉強したり友達と遊んだするんです! そういう集団の中に居てこそ、自然に世の中の事を学習し、周りの子達に刺激されながらその子の能力が開花していくんです!」


「能力?」


 今度は陛下が言う。


「そうです! 例えば、周りを引っ張っていく人間に成長したり、周りの状況を把握し分析力を備えた人間に成長したり、人それぞれどれか一つはそう言った能力があり、それを磨きあげる事に学校は最適なんです! その証拠に殿下がいい例なんじゃないんですか!?」


「わ、私ですか?」


 皇太子が驚きながら言う。


「はい。殿下は今学校でどのような事を習っていますか?」


「え? このエルドアの歴史や、魔法、剣術ですが」


「じゃぁ、こいつにだけは負けたくないと言う競い合い手はいますか?」


「います!」


 皇太子は即答した。


「私は、次期皇帝と言う大事な役割があります! そのためにもアイツにだけには……!」


 ……相当ライバル意識している奴がいるなこりゃ。


「アイツと言うのは誰かは解りませんが…。殿下のように、学校には良い競い合い手がいるんです。そうした相手がいるからこそ、殿下は自分の役割をしっかりと理解出来ているし、目標があるんですよ」


 全員がハッとした顔をする。


 ようやく分かってきたようだ。


「それなのに、姫は危ないから城から出さないとか、子育てで一番やっちゃいけない事ですよ。城には貴方達以外にも沢山人がいるのでしょ? 誰もその事に突っ込まなかったんですか?」


 私は呆れながら言う。


 全員ばつが悪そうな顔をする。


「おまけに、自分の兄は外に出て色んな事をしているのに、自分は何もさせてもらえない何て、姫の気持ちをちゃんと考えていたんですか?」


 私は皇帝と后妃を見て言った。


「陛下、后様、貴方方が忙しい身分なのは解りますが、もしや自分の子供を侍女にまかせっきりにしていたりしませんよね?」


「「(ドキッ!)」」


 皇帝夫妻が顔をしかめる。


 どうやら図星のようだ。


「そんな事をしてたら、自分は親から愛されていないんだって錯覚しちゃいますよ?」


「え? 違うの?」




―――ギョッ!




 姫の思わぬセリフに私を含めた全員が仰天した。


 ヤバい、この姫もうそこまで思っていたようだ。


 私は姫に目線を合す。


「違いますよ姫、陛下達は姫が心配なだけです。でも、貴女の行動も問題があるんですよ。分りますか?」


「…うん」


「それじゃ、これからは自分の立場を抜きにしても、危険な事は自重してください」


「わかった」


 うん、聞き分け良いな。


「陛下達も家族の時間を少しでもいいので、ちゃんと取ってください」


 皇帝、后にもちゃんと注意。


「殿下も、姫の言い分もきちんと聞いてあげるように。兄なんですから、妹の味方でいてあげてください」


「…はい」


 よし、皇太子もこれでいいだろう。


「そして、あんた等も姫の気持ちを考えて注意するように」


「「「「「「「「…すみませんでした」」」」」」」


 兵士、侍女達は声を揃えて言った。


 まぁ、ここまで言えばいいだろう。


 ………。


 なんか、今になって嫌な汗が背中に流れてきた…。


 私、皇帝やその家族に偉そうなことを思わず言っちゃった!


 あ~、私の馬鹿!!


 先刻、後悔はないって思ったけど前言撤回!


「チエよ」


 私が脳内で後悔していた所で、皇帝が声をかけてきた。


 やばい、皇帝の怒り買ったかも………。


 彼は私の方へ歩きだし、すぐ近くで立ち止まる。


「頼む、我が帝国の騎士になってくれ!」


「………へ?」


 皇帝が言った予想外の言葉に、変な声をあげてしまった。


 ん?


 どう言う事?


「お主の様な騎士は初めてだ! いや、お主の用な人間に儂は会ったことが無い!」


「え? いや、私みたいな人間どこにでも居ると思いますよ?」


 私みたいな平凡な人間ならなおさら。


 まぁ、他より状況の判断や予測するスピードが速いとは、自分でも自覚しているけど。


「いや、お主の様にハッキリ悪い所を指摘する人間は今までいなかった。しかしお主はそれをした。儂だけではなく、ここにいる人間の事もたった少し話しただけで何処が悪かったのかを指摘した。お主の様な人間がいてくれたら、今の帝国も変わるかもしれん」


「自分からもお願いいたします!」


 コンラットも私に駆け寄って、そう言った。


「自分は貴方に付いて行きたい! 恥ずかしながら自分、これまで帝国最強と言われてきておりました。しかし、先ほどのオーガ襲撃で自分はまだまだ未熟だとハッキリ分りました。そして、貴方と出会い話をして思ったのです! 貴方こそ最強の名が相応しいと!」


 力強く断言したコンラット。


 いや、私『最強』とか興味無いし、恥ずかしいんですけど。


「特に先ほどの推理には感服いたしました。たったあれだけの情報で、あそこまで考えるとは。是非、自分達の軍に来ていただきたい!」


「「「「「「「「お願いいたします!」」」」」」」


 コンラットが言い終わると、部下の兵士達も頭を下げてお願いしてきた。


 確かに、ギルドに入るより国の軍に入った方が色々メリットがあるな。


 この国の姿を見極められるし、出世すれば部下も出来る。


 何より、出世することにより地位を獲得できる。


 どの世界にでもやはり、権力者はいる。


 その人間の中にも当然悪行を行う人間がいる。


 こういった連中は、ギルドの人間ではどうすることも出来ないが、軍人ならば話は別だ。


 この世界で生きていく以上、やはりそういう処はきちんとしておきたい。


 天照様との約束もあるし、私の出すべき答えは一つ。


「分りました」


 こうなったら軍に入って、ついでに帝国の治安を良くしてやろうじゃないか!


「これから、よろしくお願いします」


「おお! 礼を言うぞチエ!」


 皇帝は私の右手を両手で包みこみながら嬉しそうにそう言った。


 こうして、私は帝国軍に入隊を決めた。


 よし! これから出世するように頑張るぞ!








 あれ?


 そう言えばコンラット、さっき私に付いて行きたいって言ってたけど。


 コンラットの地位ってどの位?





To be continued

あとがき


第5話更新しました。


今回は説明から勧誘までのお話でした。


途中から説教モードに入った主人公。


智慧は曲がった事が大嫌いなので、悪いことはきちんと指摘出来る人間です。


これからもこんな感じで、ずばずば言っていきます。


こんな主人公をよろしければ、今後とも応援お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ