第24話 各隊と予選・3日目、闘士隊
第24話 各隊と予選・3日目、闘士隊
・皇族専用観客席
「黒騎士!!」
「わっと!」
入り口から駆け寄ってきた姫が元気よく抱きついてきた。
予想外なことに、思わずバランスを崩しそうになったが、体勢を立て直す。
今日は陛下の命令で、一緒に観戦することとなっている。
陛下曰く、皇太子と姫のリクエストだそうだ。
命令を下す時の陛下と后様の顔がほころんでいていて、理由を聞いたら皇太子と姫が一緒にお願いして来たらしい。
それがこの夫妻は嬉しかったらしく、是非とも叶えてやりたくなったらしい。
一応護衛任務と言うことになっているが、主に兄妹の話し相手だ。
姫の後から入ってきた皇太子も姫の様な子供っぽい行動は取らないが、表情がワクワクしているように見える。
正直、私みたいな普通人間、どこも面白いところ無いと思うのだけど。
「黒騎士、今日はよろしく頼む」
皇太子の一言に一礼する。
初めの頃は何故か敬語で話していた皇太子だが、私は皇族に使える身であるから、敬語はいけませんと何度か注意して、ようやく敬語が無くなった。
それまでの間本当に胃が痛かった。
主に宰相閣下の視線で。
現在進行形で皇帝夫妻と一緒に来た彼に睨まれて、胃が痛くてしょうがないが。
「レイズ……お前はいい加減、黒騎士を認めんか」
陛下が呆れながら閣下に言った、
隣の后様も頷いている。
私はその場で膝をつく。
「陛下、后様。本日の任、全身全霊で勤めさせていただきます」
そう告げると、陛下と后様が頷く。
「頼むぞ黒騎士よ」
「さぁ、お立ちになって。今日は私達も貴方と一緒に観戦できることを、心待ちにしていましたのよ」
許しが出たので私は立ち上がり、今度は宰相閣下に向き直り一礼しながら言った。
「閣下、本日はよろしくお願いいたします」
「………フン!」
…………。
やっぱり、いきなり公爵になったり、騎士隊長になったのが気に入らなかったのかな?
嫌われなれてるから、今更傷つきはしないけど、いい気はしない。
ちらっと陛下達の方を向くと、彼らは苦笑を浮かべていた。
どうやら宰相閣下はまだ、私を認める気は無いと陛下にも言っているようだ。
認められるまでの道のりは険しそうだな。
「黒騎士~! 早く席に着きましょ!!」
私が沈んだ気持ちでいると、姫が右腕にしがみついてきた。
右腕に体重がかかり、少し傾く。
どうやら姫は退屈しているみたいだ。
近くにいる皇太子は、そんな妹に呆れて、ため息を吐いている。
陛下達は、娘の可愛い行動に頬を緩めていた。
「これはいけないな」
「黒騎士、エレーネのエスコートをお願いしますよ」
「かしこまりました」
彼らに返事をして、姫に一度手を離してもらい向き直る。
「姫様、私で良ければエスコートさせていただきます」
そう言って右手を胸に、左手を姫へ差し出す。
それにニッコリと笑った姫は、スカートの裾を掴み、優雅に一礼して、私の手を取る。
なぜか、エスコートの知識も天照様から貰ってたんだよね。
本当は男性がするものだけど、私で我慢してくださいね姫。
**********
チエがエレーネをエスコートして、席へ向かうのを見届けながら、儂はレイズと向き合った。
「レイズ、お前も頑固だな」
「陛下の警戒心がなさ過ぎるのです」
儂の言葉に不機嫌そうに返すレイズ。
「やれやれ、お前は子供の時から堅物だったからな。しかし、もう半年だ。コンラットからの報告にも問題は無かったはずだ。何がそんなに気に入らない?」
「そうですよ。それに民の信頼も寄せられるほどの、器の持ち主。どこに不服があるのです?」
儂とクレアが聞く。
若干クレアに黒い物が見えるが気のせいだ。
「実力は認めましょう。ですが、やはりどこの馬の骨ともしれない輩に、あの計画を任せられるとは思えません。何より見たこともない形の剣。呪い竜『ファフニール』を葬るほどの武器。もしや魔剣では」
レイズのもっともな話を聞く。
確かに『サクヤ』という剣、すべてが黒く、一見禍々しい印象を受ける。
が、実際は真逆で、神聖で不思議な剣だ。
神官達が『サクヤ』からは清い気を感じると言っていた。
魔剣でないことは間違いないのだが、レイズはまだ疑っているのか。
「やれやれ、『サクヤ』は大丈夫だ。神官達からお前も聞いただろう」
「いえ、もしかしたら神官達の目を欺く魔法が」
また、この男は。
警戒心が強いのは宰相としていいことだが、警戒する相手を間違っているぞ。
いい加減頭が痛くなってきた。
「レイズ」
――――ビクッ
今まで黙っていたクレアが静かな声を発する。
い、いかん。
この様な時は、彼女に近づいてはいけない。
さり気なくクレアとレイズから離れる。
以前チエから聞いた諺とやら。
『触らぬ神に祟りなし』
まさにその通りだ。
「き、后様?」
レイズは、しまったと言う表情でクレアを見る。
「貴方、さっきから何ですの? 陛下が自らの目で選んだあの者が怪しい怪しいなどと。その場には私やコンラット、貴方の息子もいました。勿論反対などしませんでしたわよ。それに黒騎士のこの半年を貴方も知っているはず。あの者がどれほど優秀で尚かつ、この国や民のことを考えているのかを。確かに黒騎士の素性は定かではありませんが、『何処の馬の骨』ではありませんよ? 何せ黒い一角獣に選ばれた騎士なのですから」
クレアの言葉を、真っ青になりながら聞くレイズ。
確かに『馬の骨』は無いな。
我が帝国の守り神と言える一角獣に選ばれている時点で。
そしてクレアのとどめの言葉。
「レイズ、今日貴方はお帰りになってよろしくてよ? 私は黒騎士や家族達と楽しく観戦したいの。それなのに貴方が横で不機嫌にしていたら、とてもじゃないけど台無しになるわ。はっきり言って邪魔ですの」
クレアはそう言った後、側にいた使用人達に指示を出し、レイズを追い出してしまった。
「お、お前達! 離せ!! 陛下!!」
「諦めろレイズ。クレアを怒らせたお前が悪い」
出入り口の扉が閉まる瞬間、レイズが叫んでいる様だったが、今日は無視しよう。
儂も正直、レイズには退場してもらいたかったからの。
「さぁ、私達も参りましょう、陛下」
「そうだな、子供達も待っている」
そう言ってチエにならい、妻をエスコートして席へと向かった。
**********
「黒騎士、あの武器なに?」
「どれですか?」
試合を観戦しながら、姫に解説をする。
全く、女の子が武器に興味を持つなんて…。
刀オタクの私が言えた事じゃないけど。
「黒騎士は色々な武器を知っているな」
「恐れ入ります殿下」
皇太子から感心の言葉をもらい、一礼する。
こういう振る舞いにもなれてきたな。
まぁこの半年、貴族のパーティーやら、皇族との食事会やら色々出席してたから、当然と言えば当然だけど。
初めは大変だったな。
元々ただの女子高校生に過ぎない私が、異世界とは言え、皇族や貴族との交流の機会がくるとは思ってもなかったし。
正直ストレスがたまった。
今なら分かるよ、お父さんが言ってた会社付き合いの苦労が。
私の場合、貴族の奥様方の相手もしなければならないから、もっと大変だけど。
「クリス、エレーネ。ここにはチエの事を知っている者しかおらん。普通に名前を呼んでも構わないのではないのか?」
陛下がニコニコしながら言った。
そう言えば、周りの使用人さん達は、私の名前や性別を知っている人達、オーガに襲われていた人達だった。
宰相閣下、何処行ったんだろう?
「レイズには休暇を取らせました。その方が貴方とゆっくりお話が出来ますし」
后様がにこやかに言った。
ああ、なるほど。
宰相閣下、后様を怒らせたんだな。
后様は普通だが、陛下と使用人さん達が遠くを見ているから、直ぐ分かった。
皇太子も何となく察したみたいだ。
顔が若干引きつっている。
「今日は名前で呼んでも良いのね!」
そんな中、一人だけ嬉しそうに声を上げる姫がいた。
周りがこんなにも分かりやすい反応しているのに、気がつかないとは。
このお姫様、将来大物になりそう。
「はい、構いませんよ」
私は声を元に戻して、姫に返事をした。
実際、怪しい気配も感じないし、この観客席には結界が施されていて、声は聞かれない。
入り口の外には部下が配備に就いている。
流石にアーメットは外せないが、名前を呼ぶぐらいなら大丈夫だ。
「では、私もチエと呼ぶとしよう」
そう言った皇太子の顔も嬉しそうだ。
そんなに私の名前を呼びたかったのか?
「チエ、どうして闘士隊には武器を持っている者と、持っていない者がいるの?」
姫が首をかしげながら聞いてきた。
確かにどうしてか気になるだろう。
特に無手で戦う者は不思議でたまらないだろうな。
「それは、闘士は二つの分類に分かれるからです」
私は姫に説明する。
「一つは打撃武器を使う者。メイス、バトル・アックス、ホースマンズ・フレイルなどと言った破壊力重視に作られた武器を持ちいて戦う者です。そしてもう一つは、体術で戦う格闘家。彼らの武器は肉体そのものです。もっとも手甲やブーツは強化魔法が掛かっていて、それらが武器とも言えます。」
ここまで説明して、なぜか姫を見ると目を輝かせていた。
だから、お姫様がこんな事に興味持っちゃ駄目だって。
説明してちょっと後悔。
「……姫様、貴方は武器や戦闘の事ではなく、オシャレやダンスに興味を持たれた方が良いのでは?」
とっりあえず注意しておく。
使用人さん達も頷いていた。
「ムー、そう言うチエはどうなの? 女として貴方もオシャレするべきだわ!!」
頬を膨らませ抗議する姫。
やれやれ、そうきたか。
でもな、私と姫とじゃ全然違うんだよ。
「私は騎士で、貴方は帝国の姫君。同じ女でも、立場が違います。無論私も皇族専属騎士として、マナーに気をつけております。姫君である貴方は私以上に気をつけなければならない、分かりますね?」
なるべく厳しくならない様に話す、
しょんぼりとした姫だが、これだけは分かってもらわなくてはならない。
もうすぐ姫は14歳、成人まで一年と数ヶ月しかない。
勿論遊ぶなとまでは言わないが、姫にはこの国の立派なレディになってもらわなくてはいけない。
帝国第一皇女として。
「そうだぞエレーネ。私達皇族は帝国を背負っていく身だ。そんな皇族がだらしなかったら示しが付かないだろう?」
殿下も優しく言い聞かせる様に話す。
うん、前みたいに怒鳴る事は無くなったな。
お転婆な子は怒鳴るより、優しく言い聞かせた方が効果があると、分かってきたみたい。
「分かった、気をつける」
姫がションボリしながら言った。
分かってもらえて良かった。
まぁ、元々素直な娘だから、ちゃんと納得する理由を指摘すれば聞き入れられるんだよね。
でも、ちょっと落ち込ませ過ぎたかも。
確かに姫に必要なのは社交性だけど、興味があるのに学べないと言うのは可愛そうかもしれない。
………仕方ない。
「と、言いましたが」
「?」
「一国の姫として、我々兵士の事を理解するのも重要な事。ですので、今後姫の自覚を持っていただけるのでしたら、私が答えられる範囲でお答えしましょう」
「! ありがとう!!」
嬉しそうに姫は、私に抱きついてきた。
何だかんだ言っちゃうけど、私も甘いな。
などと思いながら、皇族一家に試合の解説をし、時間は過ぎていった。
**********
・軍人関係者専用観客席
「はぁ~」
「コンラット、そんなに落ち込むなって。今朝謝って許してもらったんだろ?」
俺がため息を吐いていると、右隣りのアドルフが、俺の左肩に手を置きながら言った。
昨日俺の不注意で隊長を怒らせてしまい、槍兵隊の試合が終わって直ぐ隊長は部屋に戻ってしまった。
どうして怒ってしまったのか分からなかった俺は、家に帰って直ぐ妹のアリスに経緯を話したら
『兄上……それはあの方が怒って当然です』
と呆れられ、くどくど説教されてしまった。
アリス曰く、また女心が分かっていないと言うので、どうして隊長が怒ったのか詳しく説明され、理解したと同時に後悔した。
何をやっているんだ俺は。
隊長を支える立場の俺が、傷つけてどうする!
「しかし、彼奴も子供っぽい所あるよな?」
「いや、普通怒るだろ? 友人がいないと思われていたり、国の代表を決める大舞台で緊張しない様な鈍感だと思われていたら」
「え? そうなのかいセレス?」
「……アデルはともかく、まさか帝国軍隊長達がここまで鈍感だったとは」
アドルフとアデルバートとの会話で、セレスティアが片手で頭を押さえながらつぶやく。
成る程、あの時の俺達は一般的に失礼だったのか。
「もしあの方が女性だったら、無視ですんだか分からないぞ?」
セレスティアの『女性』と言う発言にドキリとした。
いや、今の発言は隊長のたとえ話だ。
ばれた訳ではない。
「いやいや、彼奴が女って無いだろう!」
「黒騎士みたいなお淑やかの欠片もない女性がいてたまるか!」
アドルフが笑いながら、アデルバートは顔を歪めながら言った。
その発言は、かなり失礼なのは俺も分かった。
「言っておくがお前達の今の発言、昨日あの方に言った発言並に女性にとっては失礼だからな」
その言葉に俺は衝撃を受けた。
今の発言と同列!?
確かにそれは失礼すぎる!
だから昨日アリスが
『そう言う時は、さり気なく庇って欲しいのが女性なのですよ?』
とため息をつきながら言っていた。
そう言うことか……。
思えば、今までの俺って女に対する態度最悪だったな。
大概の女は一回切りの関係。
一応恋人同士になった奴は何人かいたが、長くて三ヶ月。
それも俺からじゃなく、よってきた相手を適当に選んで、飽きたら俺から別れる。
当然、相手の事なんか一切考え無しで。
………俺最低じゃねぇか!!
「俺……女遊び、控える」
「おまっ! どうした悟り開いたみたいな顔して!?」
俺がどんな顔しているのは分からないが、何故かあたふたしている周りを余所に決心した。
乙女心勉強しよう。
**********
・闘士隊決勝戦グラウンド
「あ、今日騎士隊長、皇族護衛任務だったんですね」
現闘士隊副隊長ピーター・アンカーソンが皇族専用観客席へ視線を向けて言った。
そこには皇太子と姫様に、なにやら質問されて答えている黒騎士がいた。
いったい何を質問されているのだろうか。
「まぁ、彼奴は皇族専属騎士だからな。皇族の相手をするのも仕事なんだろう」
「それ、隊長も似たようなものでしょう」
ピーターの言う通り、隊長である以上皇族専属で無くても、護衛任務にはしょっちゅうある。
黒騎士が来てからそれも減ったが。
「まぁな。 さてそろそろ始めるか」
「はい」
そう言って距離を取り、それぞれ構える。
俺が持っているのはバトル・アックスと言う斧型の武器。
勿論木で出来た訓練用だ。
対するピーターは何も持っていない。
それは、此奴が素手武道家だからだ。
強いて言えば手にはめている、魔法が掛かったガントレットとブーツが武器だ。
今回ピーターがしているのは補強魔法が掛かった物で、普段任務で使っている物は強力なマジックアイテムであるため使用していない。
そんな物使われたら訓練用なんて、補強がしてあっても粉砕される。
服装は紺色のレザーアーマーに焦げ茶色の皮パンツ茶色いガントレットとブーツ。
短髪の灰色の髪に同じく瞳を持った、俺と同じくらいの大男だ。
年は俺より三つ下だが中々優秀。
しかし、俺達闘士隊は顔が厳ついのが自然にそろっていて、此奴も例外ではなく子供には泣かれていた。
子供好きの此奴が、影でしょげているのを知っている俺達は同情する。
厳ついのは顔だけだからな。
そんな事を一瞬考えてから、俺は顔を引き締め、審判の合図を待つ。
審判は構えた俺達の様子をうかがってから
「それでは、始め!!」
と大声で合図をし、それと同時に俺達は一気に踏み込んだ。
俺がバトル・アックスを振り下ろし、それを頭上でクロスした両手で受け止めるピーター。
副隊長達が以前より腕を上げた。
それはピーターも含まれている。
此奴の場合今までパワー重視だったが、今ではそれにスピードが付いていた。
「お前、以前より早くなったな」
「ええ、騎士隊長が魔導師隊に組み込んだ『鬼ごっこ』を、隊長が俺達にもやらせたおかげで!!」
そう言って腕に力を込め俺を後ろに飛ばし、バランスが崩れるのを見計らって踏み込むと同時に殴りかかる。
ギリギリでバトル・アックスの柄で受け止め踏ん張り、何とか耐えた。
正直今のはやばかった。
俺達は同時に距離をとり、また一気に距離を詰め激しく打ち合う。
ピーターが殴りかかればそれを避け、バトル・アックスを振り打撃を与え、またピーターが俺の攻撃を避けると、俺に拳をぶつけてくる。
それが何分が続けているウチに
――――バキッ!
ついにバトル・アックスが限界で折れてしまった。
それをチャンスと思ったピーターが大きく振りかぶり、俺めがけて拳を放つ。
一般の観客は決まったと思っただろう。
だが!
――――カランッ!
――――ガシッ!
折れたバトル・アックスを捨て、両手で受け止める。
衝撃で後方へ下がったが問題ない。
「相変わらず、ガントレットを素手で受け止めるとか、どんな身体してるんですか?」
「普段鍛えているだけだ」
「何言ってんです。普段手加減するために武器使ってるの、帝国軍全員知ってるんですよっ!」
そう言って距離を取りお互い構えて、にらみ合う。
「だから、武器壊したのか?」
「当然、本気の隊長が相手じゃないと、意味ありませんから」
「ハハ! そうだな。だが……」
少し笑った後、俺は顔を引き締め
――――ダンッ!
一瞬で距離を詰め
「まだ、お前には早い」
と、驚いた顔をしたピーターに向かって一発
――――ドゴンッ!
拳を腹にたたき込む。
「ガハッ!」
その一撃でピーターは後ろに飛ばされ、地面に仰向けで倒れた。
「勝者、ブランドン・アダムズ! よって闘士戦優勝者はブランドン・アダムズ!!」
――――ワァァァァァァァア!
歓声を聞きがら、ピーターの元へ向かう。
「イテテッ、やっぱり無理でした」
「当たり前だ、素手の状態でもかなり手加減したんだぞ」
「うわぁ、いったいどれだけ差があるんですか?」
まいったと言わんばかりに苦笑を浮かべたピーター。
俺もよく分からんが、少なくとも今の副隊長達、コンラット以外は隊長格には勝てない。
それだけは言える。
「まぁ、それでも半年前より腕が上がったな。黒騎士の凄さを再確認した気分だ」
「ご本人は当たり前の事しているだけと言っていますが」
ピーターを助け起こして、退場しながら会話をする。
ピーターの言う通り、黒騎士自身は凄い事をやった自覚が全くない。
以前、そのことについて話したときは
『え? 私は単に基礎を教えているだけだ。知識があるだけの普通の人間だぞ?』
と、あくまで普通を自称する。
ホント敵わん。
「初めは気にくわなかったが、彼奴が無欲な人間だと言う事だけは分かったな」
「そこがあの人が軍に馴染んだ要因の一つで、良いところ何ですけどね」
グラウンドから退場し廊下を歩きながら、黒騎士の事について暫く話した後、俺達は別れた。
さて、この後は休暇だ。
昼食を買って、妻と息子がいる一般観客席に向かおう。
場所はグラウンドで把握したことだし、急ぐか。
**********
・皇族専用観客席
「ねぇ! 今の試合ブランドンが一瞬消えたけど何したの!!」
姫が興奮した様子で聞いてきた。
確かに普通は何がおきたのか、分かるはずがない。
「特に何もしていません。ただ高速で走っただけです」
「走っただけ!?」
それを聞いた姫は信じられないと言う顔で驚いた。
「ええ、元々彼は武器を使わないのですが、如何せん周りとの力の差がありすぎ、手加減するためにあえてバトル・アックスを使っているんです。そして、もう一つの持ち味はスピードです。まぁ、頭に血が上ると完全にパワータイプになってスピードが無くなるのが、たまに傷ですが」
そこまで言って初めてあった時の事を思い出す。
あの時は普通に突進してきて、力だけで襲いかかってきたからな。
暫くしてオーガの討伐任務で一緒になった時、あのスピードを見て驚いた。
その後に武器を持っている理由を聞いて納得したんだよな。
武器持ってる時との差が激しすぎるんだもん。
それでもコンラット以外の副隊長から下は、敵わないらしい。
でも軍が全体的にメキメキ力を付けてきたから、副隊長達なら武器所持状態の筋肉兄さんにそのうち勝てるようになるんじゃないかと、最近思えだした。
それ位には、なってもらわなくちゃ困るけど。
地道に訓練あるのみだね。
「ハハ! それでは昼食にするとしようか」
「ええ、黒騎士の解説が解りやすくて、つい何時も以上に興奮してしまいました。」
陛下と后様が使用人さんを呼び、昼食の用意をさせた。
当然、出された料理は何処の高級レストランかと思うぐらいの豪華さで、ちょっと引けてしまった。
普段私が食べているのは、私からお願いして使用人さん達と同じメニューにしてもらっている。
何故かって言うと、二日目の夕飯が豪華すぎて私の身の丈に合っていなかったからだ。
どうやら陛下達が同じ料理を出すように言ったらしいが、正直困る。
マナーが分からない訳では無いけど、食事は普通に取りたい。
そう思って何かと、この豪華料理から逃げてたけど今日はそう言う訳にもいかない。
これも仕事だと思い、皇族一家と楽しく話しながら、渋々、でも相手に悟られないように食べた。
美味しかったけど、やっぱり普通が一番良いと再確認しました。
To be continued
あとがき
大変お待たせいたしました!
第24話いかがでしたでしょうか?
今回ちょこっと状劇的事実や、智慧の食事事情、コンラットの決意など色々考え、どうやったら皆様に分かる文章になるか考えていたら、またもや遅くなってしまいました。
今回も誤字や脱字があると思います。
いや絶対あります。
こんな駄目作者ですが、待っていてくれた皆様には感謝しても仕切れません。
次回も楽しみにしてもらえたら嬉しいです。




